http://www.asyura2.com/13/senkyo143/msg/392.html
Tweet |
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130201-00000301-bjournal-bus_all
Business Journal 2月1日(金)7時57分配信
安倍晋三首相の日銀攻めは、「2%の物価上昇」を日本銀行(日銀)がのむことで第一幕が下りた。攻防は4月に任期を終える白川方明・日銀総裁の後継者選びへと移った。「後任は私たちの考えに理解のある総裁を選ぶ」と首相は繰り返している。だが、首相のツルのひと声で決まるほど簡単ではない。麻生太郎財務相は「安倍の暴走」に歯止めを掛けようとしているが、背後には財務官僚がいる。
人事は、権力者が誰なのか示す、わかりやすい目安だ。新内閣は安倍主導に思えるが、閣内の力関係は微妙だ。経済財政諮問会議の委員を選ぶ時、こんな一幕があった。
安倍首相は竹中平蔵慶応義塾大学教授を指名したという。だが竹中は選ばれなかった。「『委員をお願いします』と頼んだのは安倍首相本人だったのに、あとになって、安倍首相は『申し訳ない』と詫びを入れたと聞きました」と関係者は言う。麻生財務相の抵抗があったといわれる。
「麻生さんの竹中嫌いは有名です。小泉政権で総務大臣だった麻生さんは守旧派扱いされ、郵政改革でさんざん煮え湯を飲まされた。『竹中だけはダメだ』と拒否を貫いたと聞いています」
財務官僚はそう解説する。首相が決めた人事を財務相がひっくり返す。そんなことが政権内部で起きている。
安倍・麻生は悪い関係ではない。昨年9月の総裁選では、石原伸晃に傾きかけていた流れに棹を差し、安倍総裁を誕生させたのは麻生だった。安倍は恩義を感じ、先輩格である麻生を立てている。
だが人事で自らの意向を通せないのは、単なる遠慮で片づけられない危うい権力構造が投影されている。アベノミクスと呼ばれる経済政策の根本にかかわる問題でもある。
「大胆な金融緩和や日銀批判は党内以外で受けがいいが、選挙中に安倍さんが言っていたことを本気でやったら大変なことになる」
そう語る政府関係者は少なくない。
日銀が輪転機をじゃんじゃん回してお札を刷って、建設国債を引き受けてもらい、公共事業をすれば景気はよくなる……。総選挙の前、安倍首相は自民党総裁として「大胆な金融緩和」と「公共事業による国土強靭化」をこう説明していた。
これを受け、「国債発行や公共事業を膨脹させ、財政節度を歪める危ない政策だ」と当時の野田佳彦首相は強く批判した。この発言は、財務省の懸念を代弁するものだった。
●財務省、膨張財政への協力は6月まで
安倍政権が誕生し、財務省はアベノミクスに従い、公共事業満載の補正予算や2013年度予算を組んだ。だが、「国債をじゃんじゃん発行して予算を膨らますことは、あってはならない」という姿勢は変えていない。
「短期的には膨張予算に協力する。4〜6月の経済指標がよくないと、来年4月から消費増税に踏み切れない。自民党も参議院選挙まで財政をふかしたい。しかし、その後は締めます」
と財務官僚は明かす。ことあるごとに麻生財務相も「短期は機動的な財政運営、中長期は財政節度に配慮する」と言っている。
だが、一度膨脹させた財政を再び引き締めるのは、生やさしいことではない。
そこで日銀総裁の人事が問題になる。財政に理解のある人物を総裁に据えたい、と財務省は考える。「輪転機を回してお札を刷って、その資金で国債を買って金融を緩和する、というトンデモ総裁が現れたら、国債暴落の恐れさえ出る」というのだ。
アベノミクスは政府の考案ではない。首相を辞めて不遇の時代、「安倍の話し相手になった学者や官僚OBが吹き込んだ危ない政策」というのが財務省の見立てだ。
大胆な金融政策は、竹中平蔵や浜田宏一など、日銀に批判的な学者の意見だ。だが浜田らは、「国債を引き受けて公共事業を」という財政膨張は支持していない。財政出動で国土強靭化を進言したのは、藤井聡京大教授などのグループで、これに自民党の土建議員が群がった。
内閣府OBのエコノミストは、「アベノミクスは、財政ファイナンスという禁じ手を金融緩和の名の下に行う政策です」と指摘する。
財政ファイナンスとは、中央銀行が国債を引き受けて財政を支える手法を指す。日本では戦前・戦中に行われ、戦後の大インフレの原因になった。政治の言いなりになる人物が日銀総裁に選ばれたら、財政ファイナンスに踏み切る可能性が出てくる。「アベノミクスで、安倍を支える学者から総裁が選ばれたら大変だ」と、財務省はガードを固める。日銀も同じ思いだ。
●武藤なら財務省・日銀の勝ち、それ意外なら痛み分け
総裁候補の下馬評に挙がっているのは、
・元財務次官の武藤敏郎・大和総研理事長
・元日銀副総裁の岩田一政・日本経済研究センター理事長
・元財務官の黒田東彦アジア開銀総裁
・伊藤隆敏東大教授
・竹中平蔵慶応義塾大学教授
などだ。
財務・日銀連合が推すのは武藤である。財務次官、日銀副総裁を経験し、安定感には定評がある。政権の意に添いながら、財務省や日銀の立場に配慮する舵取りができる、とされている。だが安倍周辺でアベノミクスを担ぐ人たちは「武藤だけはダメ」という。面従腹背で日銀寄りの舵取りをする、と見るからだ。
では誰ならいいのか?
竹中平蔵なら文句はないだろうが、経済財政諮問会議の委員就任を政府は拒んだだけに、可能性は薄い。アベノミクス派はすでに排除されているともいえる。
総裁人事は、安倍・麻生の力比べという展開だ。財務省の主張する「武藤がダメなら、財務省の立場がわかる黒田で」という選択もある。だが、アジア開銀総裁のポストを空けると、中国に取られる恐れがあると政府は警戒する。
金融学者の起用には、麻生が「学者は総裁に向かない」と拒否。間隙を縫って官庁エコノミストの岩田一政が浮上する芽も残っている。武藤に決まれば財務・日銀の勝利。それ以外なら痛み分け、という状況である。
(文=山田厚史/ジャーナリスト 元朝日新聞編集委員)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK143掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。