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2013年02月01日 「ジャーナリスト同盟」通信
<日揮と日本共産党>
光陰は矢の如しという。もう2013年2月1日だ。事情通が、予想外な情報を持ち込んできた。それは、古い「しんぶん赤旗」の記事だ。なんだろうと思って開くと、それは北方領土に建設されたムネオハウス事件のことである。鈴木宗男を追い詰めた事件だ。知らなかったが、この工事の受注業者は目下、話題の日揮なのだ。日揮と外務省の内部文書で、この事件の“真相”を暴いている。検察・外務省・日揮の宗男追及に貢献した日本共産党というのだ。この件から共産党と日揮・外務省のパイプの太さを印象付けている、と事情通は指摘する。
<ムネオハウスを受注した政治力>
この事件で鈴木宗男は、官憲に絡め取られてしまうのだが、彼からすると、敵は本能寺よろしく、鈴木が面倒を見てきたと思ってきた日揮と外務省だ。地団太を踏む鈴木の無念も、わからぬわけではない。
北方領土返還工作の一環として、このムネオハウスは日本政府が用意したものだろう。そこに不正があった。犯人は鈴木や秘書だった、と検察と共産党は決めつけている。裏事情を知らない筆者などは、鈴木を多少なりとも知っている関係から「さもありなん」と検察の取り調べを信じ込んできた。
いま冷静に眺めてみると、官邸と外務省を手玉にとった日揮の政治力に驚く。エネルギー関連プラントの雄である日揮である。お目当ては、ロシアの石油・天然ガスの巨大なプラント建設工事なのであろう。
日揮のドンは世界に顔が利くやり手だという。しかし、ロシア人脈はCIAに遠慮して、これまで手をつけなかったと仮定すると、新たな窓口に鈴木を使おうとしたのか。その関連で、鈴木主導のムネオハウスに手を出した?この分析は単純過ぎて自信が無いが、それにしても当時官房副長官だった鈴木を容易に手なずける。そのために、外務省高官を手玉に取る日揮の政治力に感服するばかりだ。
<「しんぶん赤旗」で大きく報道>
2002年7月19日の「しんぶん赤旗」記事の冒頭を、日揮の下請けとなって工事を受注した鈴木の地元業者の「お陰さまで」という感謝の言葉と、それに応じる鈴木の「よかったな」が飾る。
前日の東京地裁での、ムネオハウスにからむ偽計業務妨害事件初公判での検察の冒頭陳述であると、共産党機関紙は報じている。
これらの事実は「日本共産党の佐々木憲昭議員が国会で明らかにした外務省内部文書の内容を裏付けるものだ」と自画自賛している。
日揮と外務省の双方から得た情報は正しく、検察はその情報に沿っている、と決めつけているようなのだ。
<日揮エネルギー利権を追及しない>
事情通は、そこで「共産党は日揮の政治利権について詳しい情報を手にしながら、なぜそのことを国会で追及しようとしないのか」と言って、首をかしげるのだ。
三井や三菱の財閥系プラント建設業界を凌ぐ実績を有する日揮の闇の部分を、なぜ追及して国民の前に明かそうとしないのか。
さらに、こんなことも口にする。「共産党は3・11の1年以上前から、国会で津波の危険性を追求してきた。それなのに肝心の事件後に国会で追及しないのか」と。
これは初耳である。津波の危険性を指摘してきた共産党であれば、真っ先に東電の重大過失責任を問うべきだろう。東電追及を共産党や公明党、社民党が厳しく追及するものだと国民のほとんどが期待した。福島や東北の人たちは特にそうだろう。しかし、追及らしい追及をしなかった。確かだ。裏がある。
東電と癒着する自民党や民主党は分かりきっているが、こと共産党は少しましだと思っていたものだから、こんな共産党に失望した市民は多かったろう。12・16の得票にも、それが現れているのだろう。
嘘かまことか、事情通は「日本共産党は中国や北朝鮮から足元を見透かされている」とも指摘した。
<アルジェリア・日揮を追及しない>
そこで今回のアルジェリア人質事件である。裏事情を知る日揮から本当の情報をとれる。少なくとも日揮のドンは承知している?そうした背景を知る立場の共産党である。
日揮のドンを国会に招致して裏事情をとろうと世論に問いかけることが出来る、というのが事情通の見方である。日揮だからこそアルジェリアの巨大ビジネスを受注できた。そこには現地政府だけではなく、欧米の諜報機関との連携もあると睨んでいるのだから。
それゆえにこそ、日揮のドンは姿を隠したままではないのか。そこを鋭く追及する能力が共産党にある。日刊ゲンダイはドンの雲がくれを追及しているのに、どうして事情を知っている共産党は、真相究明に動かないのか、と事情通は懸念を示すのだ。
<共産党への疑問>
そういえば、ある意味で権力に妥協しないと今も信じる市民が少なくない共産党が、選挙の投票用紙から器具一切と投開票の全てを独占している「ムサシ」ビジネスについても、問題にしない。これも不思議な共産党を印象付けている。
東電福島原発事件で「おかしい」と感じた国民は多い。その結論を出せる総選挙を「ムサシ」が独占して処理したことに疑問を抱こうとしていない。「ムサシ」の背景にはアメリカ資本が注入されていることも判明している。
日本共産党は、東電問題や「ムサシ」のこと、日揮問題について見解を明らかにすべきではないだろうか。政党助成金に手を出さない共産党は、自民・民主・公明・維新などと比べて立派な対応である。東電や「ムサシ」「日揮」から金をもらっていないはずだ。
どうして沈黙・追及しないのか、という事情通の指摘に応えるべきだろう。
<領土問題にこだわり>
日本の知識人の中には、今も共産党をそれなりに評価している。そんな一人がいつも「おかしい」と口にするのは、領土・領有権に関するかたくなな姿勢である。
尖閣問題は日中双方が「自分のものだ」と主張している。この事実は否定できない。それをどうして認めようとしないのか、と懸念を示すのだ。「なぜ小さな島にこだわりを見せるのか、不思議でならない」とさる知識人は語っている。
こと領土に関しては右翼と同じというのだ。そのことにも無関心な筆者だったが、指摘されると、その通りである。
その点で、先に訪中した鳩山由紀夫は正しい。領土問題は存在している、のである。
<宇都宮徳馬は「党名変更せよ」>
宇都宮徳馬はリベラリストの立場から、共産党の将来を厳しく認識していた。それは伸び悩む党勢について、である。与野党がどんなに腐敗しても、国民の支持が集まらない。人気が出ない共産党だ。
どうしたらいいのか?彼は「党名にある。党名を変更するしかない」と断じていた。
日本の議院内閣制は、2院制によって一方の暴走を食い止める、独裁政治を排除するという点に特徴がある。しかし、両院ともに政党が主導するため、2院制の意味を失っている。
衆院もそうだが、参院の定数を半減して血税投入を激減すべきだと考える筆者だが、まさにそれゆえに暴走する与野党政治の抑制を共産党に期待が集まる。東電・ムサシ・日揮などは、格好の追及材料ではないだろうか。
事情通の指摘は、大いに理由がある。社会党解体、ついで公明党が崩れ、共産党も、となると、この国はおしまいになるしかないだろう。
2013年2月1日8時25分記
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