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国家安全保障会議 日本版NSC 必要ない 第1次安倍政権 法案まとめ役 柳沢氏
2013年2月1日 東京新聞[核心]
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013020102000130.html
首相官邸の外交・安全保障機能の強化をうたう「国家安全保障会議」(日本版NSC)の設置。安倍晋三首相が6年以上前からこだわり続けているテーマで、今国会に法案を提出する方針だ。だが、首相官邸で5年半にわたり安全保障と危機管理を担当し、第一次安倍政権で法案とりまとめ役を務めた柳沢協二元官房副長官補は今、NSCの新設に疑問を示す。その考えを聞いた。(大杉はるか)
──小泉政権の時から危機管理を担当しているが、当時と今は、どう違うか。
「当時は、かなり官邸主導が徹底し、必要に応じて官房長官、防衛、外務の3閣僚会議を開いていた。小泉純一郎首相(当時)は会議に入らず、最後まで判断を留保する賢いやり方だった。小泉氏はブッシュ米大統領(同)との信頼関係が強固で、日米関係はそこを軸に回っていた。安倍首相は、小泉氏の芸当ができないから、制度化しようという意志があったのかもしれない」
──NSCはあった方がいいか。
「『形』をつくらない方がいいというのが、私の5年半の経験から導いた結論だ。法律で制度化してしまうと、(メンバーなどが固定し)逆に形骸化を招いてしまう」
──アルジェリア人質事件では、官邸の情報分析力強化が課題になった。
「今回、NSCがあれば、犠牲を出さない手が打てたのか。NSCをつくっても、情報が限られていれば同じだ。官邸の職員を多少増員しても、テロリスト情報が入ってくるわけではない」
──多くの情報が集まっても取捨選択が難しい場合がある。
「集まる情報には矛盾した要素がある。情報の評価は大変だが、機械的にインプットすればアウトプットが出てくるような便利な制度ではない」
──安倍首相は6年前と同様、NSCの必要性を強調している。
「当時は自衛隊のイラク派遣など、米国の国際秩序をサポートする一環としてNSCはそれなりに説明はついた。集団的自衛権の行使容認も同じ。だが、今は中国への対応が課題になっている時代。6年前と同じツールなのか。国際情勢が変化しているのに、首相はいまだに同じことを言っている。どのような政策を展開し、NSCで何をしたいのか分からない。結局、立派な看板をつけたいということが理由のようにみえる」
──米国と似た組織をつくることの意味はないのか。
「米国の場合、世界中のことにかかわりがあり、米軍が出ているから大統領に報告が行われる。今の日本で、何のために同じことが必要なのか。大統領的な首相を夢見ているのかもしれないが…」
◆NSCって?
日本版NSCは、米国で外交・防衛・安全保障政策について大統領に企画立案や助言を行う国家安全保障会議(NSC)をモデルにした新組織。第一次安倍政権で、首相の肝いり政策として設置を目指した。
政府には現在、首相と、外務、防衛など8閣僚をメンバーとした安全保障会議がある。防衛大綱や北朝鮮がミサイルを発射した際の緊急事態への対処方針を議論しているが、形骸化も指摘される。
第一次安倍政権が2007年に提出したNSC設置法案では、議論の対象を外交政策の基本方針まで広げ、緊急時には機動性をあげるため出席者を首相、官房長官、外相、防衛相と安全保障担当首相補佐官に絞り、事務局の設置も盛り込んだ。
しかし、同年7月の参院選で自民党が惨敗した後、安倍首相が退陣。引き継いだ福田康夫首相はNSC設置に消極的で、衆参のねじれ国会では成立は困難との判断もあり廃案となり頓挫した。
昨年の衆院選で自民党はNSC設置を公約。安倍首相が再び実現を目指している。アルジェリア人質事件では、邦人の安否情報が錯綜したことを受け、首相は情報・分析力の強化の観点からもNSCの必要性を強調。政府は関連法案を今国会に提出する方針で、2月に有識者会議を立ち上げる。
[やなぎさわ・きょうじ]
1946年生まれ。東大法学部卒、70年に旧防衛庁入庁。運用局長、官房長などを経て2004年4月、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)に就任し、小泉、安倍、福田、麻生の4政権で同職。現在はNPO法人国際地政学研究所副理事長。66歳。
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