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考えられる最大の津波に備える?
安倍新首相のもとで次なる大震災に備えての地域防災計画が各自治体でまとめられつつある。東北地方太平洋沖地震が起こったことで、今後確実に日本各地で大きな地震が起こるのでそれに備えるのは当然だ。しかし、幾つか問題がある。
まず、1000年に一度起こる程度の津波に対しても「住民の命を守ることを最優先にハードとソフトの両面で何重にも対策を行い津波に強い地域づくりを進める」とし、具体的には「およそ5分以内に徒歩で避難できるよう避難ビルを整備したり、学校や公共施設の津波に対する安全性を高めるたりする」というような計画が作られつつあることだ。
これは多分安倍新政権が公共事業予算を大幅に増やしたことを見て、土木工事をやりたいということだろう。しかし、1000年に一度の津波という考え方はとてもあいまいで、考えられる最大限の大きさの津波と言うことになれば被災想定地域が非常に広く取られてしまうだろう。更に、もともと海岸に近く、津波被害を受けやすい地域でも建物を高くしたり強度を増したりする必要が出てくる。結果的に工事費用が莫大になり、工事をしたはいいが国の財政が破たんしハイパーインフレを招くことになりかねない。そもそも、津波のように一過性の被害に対しては1000年に一度と言うような発生確率であれば対策を立てることはない。今回の震災で20万人と言うような規模で犠牲者が出てしまったが、だからと言って1000年に一度の津波に対して建物を強化するなどの対策は立てることは無理だし、現実に人間活動でそういったことはしてない。非常に発生確率の少ないリスクにも対策をするというのなら生活そのものが成立しない。そのことは自動車事故や地震対策を考えれば分かる。
原発の安全対策で数万年とか数十万年の安全性が求めれているが、これは放射能汚染が一過性のものではないからだ。半減期が30年の放射性物質でも元の量の10分の1になるのに100年程度はかかる。もし最初の放出量が多ければ100年経ってもその地域は安全になりえない。更に、放射能汚染はかなり広範囲に及ぶ。チェルノブイリ事故では日本の本州が丸々おさまる程度の地域がかなりの汚染を被ってしまった。つまり、原発事故は国家そのものの存続を危うくするほどの影響があるため、数万年とか数十万年に一度と言う発生確率でもそれを考慮しなければならないのだ。
もう一度、1000年に1度の津波に備えるということを考えてみよう。建築物の耐久性は普通100年もない。仮に今1000年に一度の津波に備えるものを作ってもその多くは1000年に一度の津波が発生するずっと以前に造り直しを迫られてしまうだろう。一度作った頑丈な建築物はそれだけ維持管理が大変だ。維持管理ができなくなれば、荒れるだけで却ってその存在がいろいろな危険性をもたらしてしまう。
次に、備えるべきリスクは津波だけではない。地震だってあるし、少子高齢化による地域崩壊だってある。1000年に一度の津波に耐える頑丈な防波堤ができてもその内側にだれも住んでいないとか、100億円かけて作った防波堤の内側に100人しか住んでいないという事態になっては意味がない。
本来、1000年に一度の津波とか地震と言うものは広範囲に影響を及ぼす。それは県の守備範囲を超え、地方の範囲さえ超えることがある。このことだけを考えても、1000年に一度の津波対策は単に「およそ5分以内に徒歩で避難できるよう避難ビルを整備したり、学校や公共施設の津波に対する安全性を高めるたりする」と言うことではなくて、どのような地域にどのような産業を起こし、どのような暮らしをするかと言うレベルでの対策になることが分かる。つまり、農業や工業をどのように配置するか。学校や役所はどこへ作るのかという問題であり、国づくりそのものと言っていい。だから、1000年に一度と言うようなリスクに対してどう対処するかは、国がもっと指針を決めて示す必要があるのではないだろうか。
まして、既に日本の財政は危機的な地点まで来ている。これ以上無駄な金を使うことは許されず、多少かじ取りを誤っただけで財政破たんに陥るのは確実だ。1000年に一度と言うリスクにどう向き合うかをもう一度考えるべきではないだろうか。
安倍内閣としても、単に1000年に一度の津波に対して「5分以内に徒歩で避難できるよう避難ビルを整備」と言うような対策は想定されてはいないだろう。ただし、1000年に一度程度の発生確率の最大限の津波が今後30年程度でかなりの確率で発生する場合はそれなりの対策を今とる必要がある。例えば、既に過疎化が一定程度進行している地域は地域ごとの移転なども考えられていいのはないだろうか。
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kagoshima/5055143471.html
県が津波災害対策編の骨子案
鹿児島県は、見直しを進めている地域防災計画に盛り込むことにしている「津波災害対策編」の骨子案をまとめました。骨子案では、比較的頻度の高い津波と、最大クラスの津波の2つのレベルの津波を、想定した上で津波に強い地域作りを進めるとしています。
鹿児島県がまとめた地域防災計画の「津波災害対策編」の骨子案は30日、県庁で開かれた防災の専門家らでつくる有識者会議で示されました。それによりますと、津波の想定については東日本大震災の津波が過去数百年間の資料をもとに想定していたレベルを超えていたことを教訓に、100年に1回程度の比較的頻度の高い津波と、1000年に1回程度と頻度は低いものの最大クラスの津波の、2つのレベルの津波を想定するとしています。このうち、最大クラスの津波に対しては住民の命を守ることを最優先にハードとソフトの両面で何重にも対策を行い津波に強い地域づくりを進める方針を掲げています。具体的にはハード面では、およそ5分以内に徒歩で避難できるよう避難ビルを整備したり、学校や公共施設の津波に対する安全性を高めるたりするとしています。またソフト面では、スムーズな避難できるよう避難地図の周知や、避難の誘導方法を定めるとしています。「津波災害対策編」を含めた県の地域防災計画はことし3月の防災会議で最終的に決まる予定です。
01月30日 18時37分
*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています。<<1311>>TC:38197, BC:18090
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