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確かに安倍政権になり株価は上がり、円は安くなった。しかし、アベノミクスは容易に小泉・竹中路線へと転換しうる恐れがある。それは閣僚の人事からも言えることだ。
我々は目先の景気回復に騙されず、アベノミクスの本質を見極める必要がある。
『月刊日本』2月号
東谷暁「アベノミクスに潜む新自由主義」より
http://gekkan-nippon.com/?p=4724
まだ十分ではない財政出動
さる二〇一三年一月十一日、安倍晋三首相の「緊急経済対策」記者会見をテレビで聞いたとき、私は軽い眩暈を覚えた。このところ私の体調は十分とはいえないから、ひょっとしたらそのせいかもしれない。しかし、語られている経済政策と、そのときまでに安倍首相が作り上げた内閣とのあまりの懸隔を考えると、朗々と語る首相の声がしだいに彼方に遠のいていくように感じられたのである。
麻生太郎氏を副総裁・財務金融相にすえるという人事は、経済再生を謳う安倍政権の目玉と考えてよいかもしれない。その意味では、野田佳彦前政権などと比べればよっぽど現実を見据えているということができる。世界がさらに不況に落ち込もうとするときに、条件付きとはいえ消費税増税に血道をあげた野田政権はあまりに異常といえた。
発表された緊急経済対策は、「三本の矢」という言葉に見られるように、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の三つからなっていて、国の支出だけで十兆三千億円、地方負担分を加えれば二十兆二千億円に達する。
この規模は鳩山由紀夫政権の総額二十四兆四千億円よりは少ないものの、鳩山政権が社会保障の増額を試みていたのに対して、安倍政権はもっと直接に景気対策に向けた政府支出を目指していることはあきらかで、その意味では久しぶりの大型経済対策といえる。
朝日新聞などはこれを「膨満財政」と揶揄しているのだが、もっと膨満だった鳩山政権の財政には好意的だったのだから笑ってしまう。
実は、私は「少ないな」と感じたのだが、国土強靭化計画を取り入れて、インフラの改修を行うことが予定されていることを考えれば、これは継続され、一時的な景気刺激策で終わるとは思えない。
経済再生にそぐわない閣僚人事
しかし、いっぽう、麻生財務金融相以外の経済関連閣僚を見ていけば、それが必ずしも喫緊の課題である経済再生とはそぐわない人物が抜擢されているように思われる。たとえば、林芳正氏は英語が堪能でアメリカとのパイプを持つ優秀な人物なのかもしれないが、はたしてTPP問題をかかえるいまの農林水産省のトップにふさわしいといえるのだろうか。また、元マッキンゼー・コンサルタントの茂木敏充氏が経産相というのも、いま進行しようとしている拡大路線とはずれがある。
甘利明氏が経済再生相に就任するというのも、ちょっと違うと感じさせる。甘利氏は元ソニー社員で、小泉政権時代は商工部会長、衆議院商工委員長を務め、経済政策は小泉構造改革をひきついだ第一次安倍政権で経産相に就いている。そして何より、菅義偉氏が官房長官だというのだから、これはやはり小泉─安倍構造改革路線の布陣ということになる。
菅氏はいくつもの派閥を渡り歩いているのでいまひとつ思想が分かりにくいが、第一次安倍内閣では総務相をつとめ郵政民営化担当相を兼務した。このとき、急激な民営化をしぶる当時の生田正治日本郵政公社総裁に辞任を迫って、日本郵政社長に就任していた西川善文氏に総裁を兼務させたことを思い出すべきだろう。
こうしてみると、生産性向上を目指す構造改革政策を推進してきた人間たちが、今度はデフレを阻止して金融緩和と財政拡大の経済再生を推進することになる。安倍首相は日本が果てしないデフレに突入していったのは小泉構造改革が大きかったことを忘れているらしい。あるいは、忘れたふりをしているのだ。(以下略)
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