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2013年1月29日 植草一秀の『知られざる真実』
第183通常国会が召集された。会期は6月26日までの150日間。
安倍晋三氏は1月28日、所信表明演説を行った。
本年7月21日に実施されると見られる参院選に向けて、経済問題に重心を置いた演説になった。
本年夏の参院選を終えると政治情勢は一変する。
参院選直後には消費税大増税を最終決定するタイミングを迎える。
また、参院でも改憲勢力が3分の2を突破すれば、憲法改正が一気に推進されることになるだろう。
参院選までは牙を隠し、国民に受けの良い経済対策を前面に出す戦術が鮮明に浮かび上がる。
7月参院選で改憲勢力が参院3分の2を確保すると憲法改正が一気に推進される。
その内容がどのようなものになるか。
判断材料はすでに提示されている。自民党が昨年4月に公表した憲法改正草案である。
天皇を元首とし、国旗、国歌に対する尊重義務が明記される。
基本的人権が生まれながらにして天から与えられた侵すことのできない権利であるとする「天賦人権説」が否定され、公益及び公の秩序に反する場合には基本的人権が制限を受けることが明記されている。
「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由」についても、公益及び公の秩序を害する場合には、これを認めないとすることが条文に明記される。
この場合に問題になるのは、「公益及び公の秩序を害する」かどうかを誰がどのように判断するのかということである。その運用によっては、「公益及び公の秩序を害する」との名目下で集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由が制限されることになる。
さらに、自民党憲法改正草案においては、新たに「緊急事態」の章が設けられ、政府が「緊急事態」を発する場合には、国民が「公の機関の指示に従わなければならない」こととされる。
「緊急事態」の名の下に国民の権利が著しく制限される事態が生じることが懸念される。
焦点のひとつの「平和主義」に関しては、自衛権が明確に肯定されるとともに、自衛隊が「国防軍」という名の軍隊に衣替えされる。
集団的自衛権の行使はなし崩しで容認される方向にあり、日本が戦争に加担し、戦争を遂行できる国に変質させられる。
ここでは、これ以上憲法の問題に立ち入らないが、7月参院選に向けて憲法問題は最重要のテーマになる。
知らないうちに、気付いてみたら憲法が変わっていたということは許されない。国の基本法である憲法について、自民党がこれを改正するとの意志を持つなら、国民的論議を深めて徹底した議論をしなくてはならない。
本年7月の参院選後に憲法改正の行動を起こす可能性が存在するなら、参院選までに徹底した論議を尽くさねばならない。
安倍氏の所信表明演説では、外交・安保についての言及があった。このなかで安倍氏は次のように述べた。
「何よりも、その基軸となる日米同盟を一層強化して、日米の絆を取り戻さなければなりません。」
安倍氏は日米基軸を大前提に置く。しかし、その基本姿勢は対米従属として国民から強く批判されているものである。
外交における対米従属、憲法改正における自衛権の明文化および国防軍の創設は、米国が主導する戦争に日本を引き入れる道筋である。
総選挙で自民党を支持した国民は全有権者のわずかに16%に過ぎなかった。主権者国民はこの点を踏まえて、安倍政権の暴走を抑止しなければならない。
安倍氏が所信表明演説でもっとも時間を割いたのが経済政策である。
経済を改善させ、国民の暮らしを改善させるなら異論はない。
しかし、安倍氏の演説を聞く限り、国民生活が改善される姿はまったく浮かび上がってこない。
安倍氏は経済再生にこだわる理由について、まず、
「長引くデフレや円高が、「頑張る人は報われる」という社会の信頼の基盤を根底から揺るがしていると考えるから」だと述べた。
より具体的には、
「政府がどれだけ所得の分配を繰り返しても、持続的な経済成長を通じて富を生み出すことができなければ、経済全体のパイは縮んでいってしまいます。そうなれば、1人ひとりがどんなに頑張ってみても、個人の手元に残る所得は減っていくばかりです。」
と述べた。
演説の冒頭部分で経済問題について総括した部分では次のように述べた。
「デフレと円高の泥沼から抜け出せず、50兆円とも言われる莫大(ばくだい)な国民の所得と産業の競争力が失われ、どれだけ真面目に働いても暮らしが良くならない、日本経済の危機。」
日本経済の現状をこのように認識したうえで、
「今こそ、額に汗して働けば必ず報われ、未来に夢と希望を抱くことができる、真っ当な社会を築いていこうではありませんか。」
とした。
結論として安倍氏が目指すべき方向として示した言葉は次のものだ。
「世界中から投資や人材を惹(ひ)きつけ、若者もお年寄りも、年齢や障害の有無にかかわらず、全ての人々が生きがいを感じ、何度でもチャンスを与えられる社会。」
どこに問題が所在するのか、その問題にどう取り組むのか。いずれにおいても安倍氏の発言は、焦点がずれていると言わざるを得ない。
「頑張る人が報われる社会を目指す」という言い古された言葉が多用され、しかも、この言葉がかつてと同様に、単なるうわべだけの言葉で終わっている。
これでは、小泉・竹中政治の二番煎じとしか言いようがない。
安倍政権の経済政策がかつての小泉・竹中政治の延長上にあることを示す所信表明演説の中身である。
「頑張った人が報われる」という言葉をどのような意味で使っているのかが判明しない。
演説冒頭の「デフレと円高の泥沼から抜け出せず、50兆円とも言われる莫大(ばくだい)な国民の所得と産業の競争力が失われ、どれだけ真面目に働いても暮らしが良くならない、日本経済の危機」の部分は意味不明である。
50兆円というのは、日本の名目GDPがピーク時である1997年の523兆円から2011年には468兆円へと50兆円以上も減少したことを指しているのだろうか。
これを「国民の所得と産業競争力が失われた」ことだと理解しているのだろか。
そして、この現状を「どれだけ真面目に働いても暮らしが良くならない」状況だと言っているのだろうか。
意味が分からない。
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