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2013年01月29日 世相を斬る あいば達也
安倍首相の所信表明演説は、参議院のネジレや公明党への配慮か、安倍カラーの片鱗も見せないありきたりの内容だった。ただ、全体に言えることは、安倍晋三は、所信表明通りの日本になって欲しいと願っている気持ちは伝わった。そういう意味で、小沢一郎の評が正しいだろう。「良いことをしゃべっていたが、言葉をどう現実の政治で実現するかはなかった」、安倍首相にしてみれば、三本の矢まで打つのだから、好転するに違いない。
事実、株価も上昇しているし、為替も円安に大きく振れている。そう思うのも尤もだが、事実は、過度の円高を修正する潮時が、政権交代を起きたと見た方が妥当だし、ユーロ圏の落ち着きが、緊急避難的に起きていた円への一極集中が終わっただけだろう。株式も、PER、PBRのどちらから見ても、日本株は割安だったわけで、チョッと視点を変えれば、買いが優勢になることは株式の原則だと言えるだろう。株式の場合、そのようなファンダメンタルな要素+期待値と云うものや、相場が持つ期待感と云うものが日本に欠けていた。それを、安倍晋三の発言が埋めた点は認めても良いだろう。
安倍首相の演説で一番彼が言いたかった点は「おわりに」の部分だったような気がしている。野田佳彦のように美辞麗句ではない、一人の政治家の思いは語られていた。此処の部分は、筆者は好きである。勿論、こちらの持論は、そうそう日本が経済成長する筈もなく、余程の産業構造の転換に必死にならない限り、成長などあり得ない。これはグローバル化した世界における必然であり、そのことを認める潔さがないと、あらぬ目標に向かって、馬鹿な国民に夢想な政策を押しつけることになると確信している。ただ、馬鹿な国民が経済成長を望む限り、政治家はその為に、無駄な努力をする運命にあるようだ。その哲学が、最近多く語られる、「資本主義の凋落であり、民主主義の限界」なのだ。
≪【おわりに】
わが国が直面する最大の危機は、日本人が自信を失ってしまったことにあります。確かに日本経済の状況は深刻であり、きょうあすで解決できるような簡単な問題ではありません。
しかし、「自らの力で成長していこう」という気概を失ってしまっては、個人も国家も、明るい将来を切り開くことはできません。芦田(均)元首相は戦後の焼け野原の中で、「将来はどうなるだろうか」と思い悩む若者たちを諭してこう言いました。「『どうなるだろうか』と人に問い掛けるのではなく、『われわれ自身の手によって運命を開拓するほかに道はない』」と。
この演説をお聴きの一人ひとりの国 民へ訴えます。何よりも、自らへの誇りと自信を取り戻そうではありませんか。私たちも、そして日本も、日々、自らの中に眠っている新しい力を見いだして、これからも成長していくことができるはずです。今ここにある危機を突破し、未来を切り開いていく覚悟を共に分かち合おうではありませんか。
「強い日本」をつくるのは、他の誰でもありません。私たち自身です。
ご清聴ありがとうございました。≫(時事通信抜粋:安倍首相所信表明演説より)
安倍晋三は政治家なのだから、「おわりに」のような発言が出ても咎めることは出来ない。野田や菅の演説に比べれば、充分に政治家らしかった。民主党が終わると云うか、分裂するのは必至だろう。生き残る為には、民主党と云う仮面を剥がないと、先は見えてこない。橋下が、ちょっかいを出すように「維新・みんな・民主の一部で新党を」等と発言していたが、その方が良いのだろうが、橋下の本心から出た言葉なのか、話題作りなのか、本気で橋下の言葉を分析するのは徒労に終わるのでやめておく。今や、時に話題を独占した「船中八策」など、殆ど姿形を変え、何処でどうしているのやら、皆目見当もつかない。
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