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「今次の大戦(太平洋戦争)の中心は、中国にあったのであり、・・しかも相手は暴虐の限りをつくした日本に対して、仇を恩で返すことを国是とし、いっさいの報復主義を排して逆に手を差し伸ばして来ている。それが容易でないことは、立場をかえてみれば自明である。」(「池田外交路線に望む」1960年8月8日『朝日新聞』)
と石橋湛山は述べています。
彼は、中国が15年戦争の賠償を放棄してくれたおかげで、日本経済は再生できたのであり、その仇を恩で返すごとき行為に対して、日本が独自で(アメリカの意向ではなく)中国と国交を回復すべきであると主張しました。湛山が病気で倒れた後、弟子の田中角栄が自民党多数派の反対を抑えてそれを果たしたのが40年前のことでした(それゆえに角栄はアメリカ政府の陰謀で潰され、最近では小沢一郎もまた同じ目にあいましたが、それについては、外務省国際情報局トップだった孫先享(まごさき うける)さんのミリオンセラー『戦後史の正体』をご覧ください)。
しかし、昨年、中国憎しの感情を持つ石原前都知事の画策で尖閣(魚釣島)が国有化されたのをキッカケに、大変な事態になってしまいました。
ネットウヨクや安倍政権の「明治への復古と軍拡路線」の正当化を後押しするような報道がNHKを中心に連続で流され(中国や台湾の領海・領空侵犯という解説と映像)、わが日本国民は理性を失いつつあります。
安倍政権は、国民の国家意識を強めさせ、国防軍をつくり、「皇室尊敬」を徹底させるように教育改革を進めるというのですから、開いた口が塞がりません。
(なお、領土問題の核心については、 『白樺教育館』ホームページに書きましたのでご参照ください。)
いま再び言いましょう。「何よりも一番大事なことは、中国と手を結ぶことだ」と。それは、最大の国益となり、同時に世界益となるのです。石橋湛山が生きていたら、間違いなくそう言うはずです。
武田康弘
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