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2013-01-25 06:26 永田町幹竹割り
だがその魂は迷い続ける
<とんぼつり今日はどこまで行ったやら>は加賀千代女の句とされているが、シークレットサービスも付かなくなった小沢一郎も、深く潜って行方が分からんのだ。時々水面上に顔を出して鯨のように潮吹きしてまた潜る。結構自由な生活を楽しんでいるかも知れないが、数少ない潮吹きで現れた姿を分析すれば、まだまだ枯れていないことが分かる。自民党、細川政権、羽田政権、新進党、民主党と政権が変わるたびに陰に陽に主役を演じて、古希まで来た。ところが先の総選挙でチルドレンの大半を失って、完膚なきまでにたたきのめされた。それでも、夢よもう一度と頑張ろうとしている。頑張っても無駄なのに“妄執”がそれを許さないかのように見える。
空元気かも知れないが、小沢は正月から元気。毎年100人前後が小沢詣でをするが、今年は閑古鳥が鳴いてたったの13人。けれども決してめげない。「自民党の一人勝ちを許すわけにはいかない。今夏の参院選が勝負だ」と怪気炎をあげた。地元岩手でも「反攻の第1ステップとして参院選に全力で当たっていきたい」と、まるで大政党の代表のようなお言葉だ。
しかし凋落ぶりは覆うべくもない。琵琶湖周辺の山に潜んでいた欲深山姥(やまんば)を「100議席は当選する」とだまして、乾坤一擲の勝負に出たまではよかった。突然浮上させて、マスコミも大騒ぎ。朝日新聞は“家訓”の脱原発がこれで実現するかのように大げさに取り上げた。マスコミや婆さんをとことんだました小沢のスキルは相当なものであった。ところがこともあろうに国の生命線であるエネルギー政策を錦の御旗に掲げたのが失敗だった。「卒原発」なる婆さんの訳の分からんキャッチフレーズも空しく響いて、公示前勢力61議席は9議席に激減。国民は原発政策まで政治に利用する小沢流ご都合主義を「愚弄するな」と愛想を尽かしたのだ。
ところがそれでもめげないのが小沢流。今度は政党交付金を目当てに、婆さんに何かといちゃもんをつけて分裂を策した。結局だまされ婆さんには国会議員たった一人の日本未来の党だけが残され、小沢は生活の党を結成してごっそり交付金をいただけることになった。その生活も操り人形・森ゆうこに代表を任せていたが、ついにこらえきれなくなって自ら25日の党大会で代表に就任するのだという。しかし基盤は衆院7人、参院8人のたったの15人。何と世論調査の政党支持率は驚くなかれゼロだ。
この手兵を率いて参院選の中原に駒を進めようというわけだ。「総選挙の結果を見ても野党の分裂が敗因。一つに結束しなければ自公に勝てない」と得意の政党間の“接着剤”を目指す。悪名高き民主党マニフェストが証明したように小沢はもともと政策なんかまるで知らない。政治屋は理念や政策なんかはどうでもいいのだ。その最初の“手口”は首相指名選挙であった。なんと分裂してぶちこわした民主党代表の海江田万里に参院議員らを投票させたのだ。海江田は代表選挙でも小沢の支持を得て得票を伸ばしており、小沢は2度にわたって“恩”を売ったのだ。ちょっとお人好しの海江田ならだませると思ったのかも知れないが、これが逆効果に出た。思わぬ小沢の大接近に民主党内に“戦慄”が走ったのだ。「また小沢が来るぅ〜〜」という悲鳴があがったのだ。海江田もとりあえずは小沢を敬遠した形だ。
しかし、小沢悪女の深情けはそう簡単には消えそうもない。それどころか深く潜行してストーカーの如くつきまとう。狙いの中心は参院議員会長・輿石東だ。輿石は野田政権で幹事長でありながら、首相・野田佳彦を度々裏切り、小沢の執事役を務めた。政局を小沢の言うとおり任期満了選挙に持って行こうとした。結果的にはその作戦が大敗北の党内で正しかったことになり、発言の比重を高めたのだ。だから小沢は輿石を民主党内の“感染源”として利用するのだ。参院選前に小沢は必ず輿石を使った動きをしようとするだろう。
もっともそうなれば“旧主流”と呼ばれ臍(ほぞ)をかんでいる野田佳彦や前原誠司も黙っていないだろう。民主党は小沢が手を入れれば入れるほど分裂傾向を強めるのだ。一方、日本維新の会はどうか。石原慎太郎と橋下徹の両共同代表ともに「ノーモア・オザワ」である。石原はもともと毛嫌いしているし、橋下も小沢にだまされるような馬鹿ではない。こうして小沢の実態は基本的には深い孤立化の中にある。
既に江戸時代の中期の浮世草子「一夜船」が小沢のような人物の行く末を見通しているのだ。「迷魂は火の如く豪力は油の如し。油尽きて火の消ゆる如し」である。しかし小沢の魂の迷いは続く。油が尽きたのも知らぬまま。炎がじりじり断末魔の音を立てているのも知らぬまま。平家物語でも「盛者必衰」と予言している。もうジタバタしても小沢中心の野党共闘など夢のまた夢だ。ましてや参院選の改選6議席の運命も全く定かでないのだ。
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