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2013/1/24 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
安倍政権の経済政策への期待が失望に変わる日はそう遠くないだろうという国内の見方も出てきた
◆国内外から噴出したアベノミクス批判とそれへの疑惑
世間はアベノミクスに浮かれているが、それに冷水を浴びせたのが朝日新聞のコラム「経済気象台」(19日付)だ。
大きな政府を目指す安倍政権は、公共事業、公的資金、円安誘導といったデフレ脱却メニューをズラリと並べた。大企業にとっては至れり尽くせりで、株価も好反応しているのだが、こういう政策は「日本を政府に依存する経済にする」と指摘したのだ。その上で、「期待が失望に変わる日は、そう遠くはない」とコラムは断じた。
その理由も説得力がある。日本はバブル崩壊後、こうした手法をすでにやってきた。しかし、この処方箋は実を結ばなかった……。過去に実験して失敗した処方箋だというわけだ。
〈(バブル崩壊後)経営者は(政府の)財政支出や規制に頼り、新しい市場や技術の創出に挑戦しなくなった〉〈金融機関はリスクを取って企業の成長を支えることをやめ、金融緩和に伴う国債価格の上昇に収益を依存するようになった〉
〈(その結果)政府債務は持続不可能と言える水準にまで拡大した〉
これが失われた20年を招いたわけだが、これと同じことが起こると、コラムは書いた。
この指摘はもっともではないか。
需要がないから、公共事業で内需をつくる。それは一時的なカンフル剤にはなるだろうが、橋や堤防、道路を造ったところで、地方に新たな産業が隆盛するわけじゃない。公共事業が切れれば、それでおしまいだ。公的資金で製造業の工場を買い取り、身軽にしてやれば、そりゃあ、一時的には身軽になるだろう。しかし、売るモノ、技術がなければ、その後が続かない。安倍の金融緩和、円安誘導も同じことだ。
◆ゾンビ企業を延命させるだけの円安誘導
本紙で連載中のジャーナリスト、井上久男氏は日産自動車の例を出して、現代ビジネスでこう書いている。
〈日産は1987年3月期に円高の影響を受けて創業以来の初の営業赤字に転落したが、抜本的な改革を怠った。(中略)そして本業は儲からなくても、土地や株を売って含み益を吐き出す経営が続いた。しかし、ひとたびバブルという『メッキ』が剥がれると、構造的課題が馬脚を現し、90年代半ば以降、当期純損益を計上し続けて経営破綻寸前に陥った〉
バブルが企業の問題点を覆い隠し、その結果、衰退を早めたのだが、同じようなことは円安にも言える。
〈金融政策で為替が円安に振れたとしても、それは一時的な現象で、(中略)企業が利益を増やしていくには、構造改革をして生産性を向上させるなど自助努力が第一のはずだ〉
と井上久男氏は書く。無理してつくった円安で、一時的に業績を上げさせても、根本的解決にはならないし、問題点を糊塗するだけで終わってしまう。ゾンビ企業をちょっとだけ延命させるようなものなのである。
企業の構造改革とは、組織をスリム化、筋肉質にして、高コスト体質を改め、そのうえで、商品力をつけることだ。そうやって、企業が本当の競争力をつけなければ、景気は回復しないし、雇用も給料も増えないのだ。
円安誘導や金融緩和というカンフル剤で時間稼ぎをしたところで、効果はすぐ切れる。そのあとが恐ろしい。競争力、技術力がつかないまま、ますます国際競争から取り残されてしまうことになる。改革の遅れは倍返しというか、決定的なダメージになる。そんな失敗を日本はやってきたではないか。アベノミクスはその繰り返しになるのである。
◆古い手法を総動員した"一時しのぎ"に期待してもムダ
副作用はまだある。この間、公共事業や公的資金、官民ファンドで税金をばらまけば、財政はますます悪化する。国債暴落危機が高まるし、それを避けるために増税を余儀なくされ、国民の将来不安は増すばかり。もちろん、個人消費はどんどん萎縮する。景気回復なんて夢のまた夢になってしまう。
バブル崩壊後、われわれがまさに体験してきたのがこれなのだ。
2度目の登板で、人間賢くなるわけがないと思ったが案の定だ。古い安倍がこれまた古い麻生財務相と一緒になって、また同じ失敗を繰り返そうとしている。そこが危ないのに、メディアはきちんと報じない。それが問題なのである。
それでなくても、安倍が日銀を締め上げ、ドーカツした金融緩和、円安誘導は世界中から非難ゴウゴウだ。
IMF総裁は「人為的な通貨切り下げは周辺国を貧困に追いやるものだ」と安倍政権を批判したし、欧州中央銀の専務理事は「一段の緩和政策をもってしても、構造的な問題を解消することはできない」と切り捨てた。
ドイツ連銀総裁も「新政権が日銀に大きく干渉し、独立性を脅かしている」と指摘。米自動車ビッグ3は、「日本が円安を通じた近隣困窮政策をとろうとしている」とオバマ政権に泣きついている。
こんな包囲網の中で、安倍はどこまで円安を続けられるのか。今は黙っているが、米国だって容赦はしない。輸出倍増を掲げるオバマにとって、ドル安は絶対条件だ。早大客員教授の春名幹男氏も「米国がこれ以上の円安を容認するわけがない」と言っている。
こうしてみると、アベノミクスの化けの皮はどんどんはげてくる。
アベノミクスなんて、レーガノミクスを模して、大層なことをやるように見えるが、結局、古い手法を総動員した一時しのぎに過ぎないのだ。それに市場が反応して、一時的にせよ、株高になるのは結構なことだが、長続きなんてするわけがない。それを国民は知るべきだ。
◆アベノミクスで国の財産は全部パーに
新しい景気対策とは、競争力のある成長産業を支援・誘致し、街をつくり、雇用を創出するような斬新なプランのことをいう。安倍の緊急経済対策には、そんなメニューはまったくない。経済評論家の広瀬嘉夫氏はこう言った。
「お金をたくさん刷って貸すと言うが、それを誰が借りて、何に投資したら儲かるのか。そうした戦略がまるでない。使う当てがないから、大企業だって巨額のカネを抱え込んでいるのです。借り手がいなくては、何の意味もありません。財政出動だってそう。震災後、19兆円も税金を突っ込んだのに、景気は良くなりましたか。雇用は生み出されましたか。アベノミクスも戦略ゼロです。近い将来、何の成果もなく、シッペ返しを食らうんじゃないかと私は思います」
成長戦略は竹中の産業競争力会議が担うらしいが、これから議論するというからズッコケる。そんな秘策があれば苦労はしないが、いつも絵に描いたモチで終わっている。筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)もこう言った。
「近代経済学の原則とは『ウオーム・ハート』と『クール・ヘッド』。つまり、温かい心と冷静な頭脳です。しかし、アベノミクスは歴代自民党政権と同様、生活苦にあえぐ庶民に対する『心』がない。マクロ経済を優先し、大企業にとっては大きな政府でも、庶民には冷たい、小さな政府です。いくら財政出動や金融緩和で一時的に株価を上げても、地方のシャッター通りが元に戻らず、国民に仕事がなければ内需はしぼんでしまう。歴代自民党政権がやってきた過ちの繰り返しになるのです。20兆円の緊急経済対策や2%のインフレ目標は、結果的に日本円や国債の信用、金融資産といった国の財産をすべて失うことになりかねません」
やっぱり、希望が失望に変わる日が来る。それも、そんなに遠くない時期に。庶民はミニバブルの後に備えておいた方がいい。
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