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６人殺害事件 埼玉県警が報告書公表［ＮＨＫ］
10月29日 14時57分
先月、埼玉県熊谷市の３軒の住宅で６人が殺害された事件で、不審者に関する情報が地域住民に伝えられていなかったことを受けて、埼玉県警察本部は今後の対応をまとめた報告書を公表し、今回の事件のような住宅地域での事案については住民に対して一層積極的に注意喚起を行うとしています。
先月、熊谷市の３軒の住宅で小学生２人を含む６人が相次いで殺害された事件で、最初の事件で逮捕されたペルー人のナカダ・ルデナ・バイロン・ジョナタン容疑者（３０）は、一連の事件が起きる前の日に話を聞かれていた熊谷警察署から突然走り去り、その直後に今回の現場周辺で２件の住居侵入を繰り返したとみられています。
しかし、こうした情報はこの日も翌日に事件が起きてからも地域の住民には周知されず、住民らは、警察からの情報があれば事件を防げたのではないかとして３万７０００人余りの署名を集めて検証を求めていました。
これを受けて、埼玉県警察本部は今後の取り組みを報告書にまとめ、２９日、公表しました。それによりますと、不審者の情報などについて、今後、今回の事件のような住宅地域での事案の場合は、住民に対して一層積極的に注意喚起を行うとしています。そのうえで、住民への危険が高いと判断される場合には、緊急かつ効果的に注意喚起を行うとして、メールの発信や防災行政無線などを通じて行政と連携を進めるとしています。
また、警察が早い段階で通訳を介していれば、事件が起きる前の日に警察署でナカダ・ルデナ容疑者からより詳細に事情を聞くことができたとして、通訳の増員など体制の整備を図る必要があるとしています。さらに、報告書では、連続犯の可能性が否定できない事件については、事件発生前から得たさまざまな情報を的確に分析して効果的に警戒にあたるとしています。
熊谷市の事件後の取り組み
熊谷市はこれまでも不審者の目撃情報などをメールで市民に発信していましたが、今回の事件のあと、新たに防災行政無線でも各家庭などに情報を提供することを決め、発信を強化しました。
今回の一連の事件のあと、市は、市内で刃物のような物を持った男が目撃された情報や、隣の深谷市のコンビニエンスストアに男が刃物のような物を持って侵入した事件など、合わせて４件の情報をメールと防災行政無線で発信し、戸締りを徹底することや外出時に十分注意することを呼びかけました。また、事件のあと、このメールの発信に登録した人がおよそ１０００人増え、１万２０００人余りになっているということです。
熊谷市安心安全課の齊藤俊一課長は「これまで以上に警察と連携をとりながら、市民の安心安全のための必要な情報を積極的に発信していきたい」と話しています。
警察庁 迅速な情報提供指示
埼玉県警が今後の対応をまとめた報告書を公表したことを受けて、警察庁は、事件が連続して発生する可能性を考慮して、住民への情報提供を素早く確実に行うよう全国の警察に指示しました。
警察庁は今後の対策として、事件が連続して発生する可能性を常に考慮して、自治体や学校などと連携し、住民への具体的な防犯対策の情報提供をインターネットや防災行政無線などを活用して素早く確実に行うよう全国の警察に指示しました。さらに、犯人を早く確保するため、警戒や捜索を徹底し、的確に公開捜査を行うことや、必要な場合には迅速に通訳を手配できるよう体制を強化することなどについても求めています。警察庁は凶悪な事件が連続して発生しないよう効果的な情報提供と捜査活動を徹底するとしています。
専門家 「ふだんから防犯意識高く」
犯罪学が専門で、地域の防犯対策に詳しい立正大学の小宮信夫教授は、今回の報告書について、同じような事件が起きた場合に住民に対し、積極的に注意喚起を行うとした点を評価する一方で、「基準がはっきりしておらず、犯罪性のない事案まで情報提供していると緊急性のあるものかどうか分からずに住民の反応が鈍くなってしまう。平時に出す情報と有事に出す情報を明確に区別する必要がある」と指摘していました。
一方、情報を受け取る市民の側についても、小宮教授は「日頃から防犯の知識を学び、最悪のケースを想定して、鍵を必ずかけるとか危ない道を通らないとか、心がけることで、緊急性の高い事案が発生したときでも適切に対応できるようになる」と述べ、ふだんから防犯への意識を高く持つことが大切だという考えを強調しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151029/k10010286851000.html
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