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015年1月27日放送 2:21 - 2:51 テレビ朝日
テレメンタリー2015
「悲願〜再審の扉と証拠開示〜」
1961年3月21日、三重県名張市と奈良県にまたがる集落で起こった名張毒ぶどう酒事件、農薬が入ったぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡、12人が重軽傷を負った。事件の犠牲者に当時35歳だった容疑者の不倫と妻が含まれていたことで警察の追及を受け、事件から5日後の4月2日に自白、動機は三角関係の精算とされた。しかし容疑者はその後、強要誘導の取り調べを受けたと無実を訴えた。当時の裁判で物的証拠はなく、ぶどう酒に農薬を入れることができたのは容疑者だけと、検察は主張したがその根拠になった男性の供述調書は自白前と後では全く違う証言をしていた。そして津地裁の裁判長は1審で、検察が証言を誘導したとして無罪を言い渡した。
無罪判決から5年、名古屋高裁の裁判長は一転検察の主張を認め、1972年に死刑が確定した。検察の主張の元となったのは、公民館に容疑者と一緒に行った女性の10分くらい離れて戻ってきた時、容疑者が一人でいたという供述、しかし女性は当時新聞記者には2人で居たと供述とは違うことを話していて、捜査を指揮していた署長の報告でも2人だったと女性は供述していた。弁護団はこれが再審請求の新証拠になると考えた。しかし検察は供述調書の存在を否定しているが、疑いを持つ弁護団は捜査報告書などを開示するよう要求している。
捜査による証拠を掌握しているのは検察、裁判員裁判では証拠開示の法整備が進んだが、再審請求には証拠開示のルールはない。この事件は2005年に再審開始決定、提示された新証拠の農薬は、犯行に使用されたものと容疑者が自白したものとは別だと弁護団は主張、裁判所は他の者による犯行の可能性を否定できないとした。しかし2012年5月、名古屋高裁は不当決定を出し再び再審の扉は閉ざされた。裁判長は弁護団の主張を退け、公民館で一人になった容疑者の犯行と振り出しに戻り、開始決定を取り消した。そんな中、静岡地裁が証拠開示に動き冤罪を訴えていた元死刑囚が釈放された。
静岡地裁に再審決定と、釈放を言い渡された袴田さんは静岡で姉と暮している。1966年みそ製造会社の専務一家殺害事件、袴田さんも取り調べて犯行を自白、法廷で否認するも1980年死刑が確定した。その後2014年3月静岡地裁は検察に証拠開示を強く迫り、再審開始となった。600件を超える開示された証拠の中に犯行時身に着けていたとされる衣類のカラー写真が含まれていた、これらの衣類は袴田さんがみその中に隠していたと検察は主張していたが、写真を見ると血痕などもはっきり残っていて裁判所は、検察が用意した偽の証拠だと判断した。
一方、肺炎を患い八王子医療刑務所にいる男は2013年、2度の危篤状態に陥った。8回目の再審請求に2015年1月1日、名古屋高裁は不当決定を下し
た。弁護団は会見で、裁判官へなぜ証拠開示を勧告しないのかなどの不満を主張した。名古屋高検は取材に対し、再審請求で証拠を開示する法的責任はないとした。検察官が調べて証拠は無いと言ってしまうとそれ以上突っ込みようがない、なので最高裁は勧告を出せないという閉塞状況が名張の場合は続いていると専門家は話した。無罪を支援している人達は、世論に今の裁判のあり方を訴え、1月14日89歳を迎える男は最高裁に特別抗告した。
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