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漂流の内閣府職員、変死前に謎の韓国行
韓国に出張した内閣府の男性職員(30)が1月、北九州市若松区の響灘をゴムボートで漂流しているところを確認され、その後海中から遺体で見つかった。謎に包まれた行動の足跡を追った。
「韓国で開かれる会議に出席する」。内閣府から米ミネソタ州の大学院に留学していた職員が出張申請したのは、ソウルで開かれた経済や財政についての国際会議「アジア太平洋社会科学会議」。1月8日から3日間の日程の会議だったが、職員は早くも3日にソウルの歓楽街にあるホテルにチェックイン。翌4日にチェックアウトし、そこから約1キロ離れたゲストハウスに11日までの予定で入った。宿泊代金はホテルよりも安い1泊約5万5000ウォン(約5200円)。
だがスーツケースは部屋に置かず、数百メートル先の予約も入れていない別のホテルに預けた。このホテルの関係者によると、スーツケースには財布やパソコンなどが入っていて、職員は「また取りに来る」と話した。
職員は6日、ソウル市東部のボート販売会社事務所に突然現れた。「このボートが欲しい。釣りが好きだ」と言って希望するゴムボートの型番を伝え、ボートと船外機の代金計100万ウォン(約9万4000円)を現金で支払った。職員は「香港出身のアレックス」と名乗り、配達先には釜山のホテルを指定した。会話はすべて英語だった。
応対した女性は「うちはネット販売専門なのに、急に買いにきたので驚いた。マスク姿で黒いジャンパーを着ていた。連絡先も教えてくれず、怪しかった」と振り返った。
会議が始まった8日、職員は高速鉄道でソウルから約2時間半かかる釜山にいた。配達先に指定した釜山駅近くのホテルで「アレックス」と名乗り、購入したボートを受け取った。さらにこの日夕には釜山駅から10キロも離れた自動車用品店でバッテリー二つとケーブルを買っている。店員によると、職員は二つで重さ30キロほどにもなるバッテリーを「自分で運ぶ」と抱え、タクシーに乗り込んだ。
その後、職員は再びソウルに戻った可能性が浮上している。ソウルの宿泊先の防犯カメラに10日、職員とみられる男性が映っていたからだ。11日にソウルのゲストハウスを出たという。
7日後の18日、第7管区海上保安本部(北九州市)の巡視艇が響灘で漂流中のボートを見つけた。釜山から約200キロ。中に人が倒れていたが荒天のため近づけず、ボートは転覆。遺体は20日、海中で発見された。7管は、死因は水死、死後1〜2週間と発表した。
職員が韓国を訪れた本当の目的は何だったのか。日本から捜査協力要請を受けた韓国警察も今後、真相究明を図る。(ソウル 吉田敏行、釜山 釈迦堂章太)
(2014年2月8日09時24分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140208-OYT1T00267.htm?from=ylist
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