http://www.asyura2.com/13/nature5/msg/808.html
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NatureNews記事をめぐってB 上司は、新人の上げ足をとるのにエネルギーを使って、それを仕事だと正当化できるという構図でしょうか? 2015年5月12日
(学とみ子のブログ)
http://blogs.yahoo.co.jp/solid_1069/13245642.html
★先に紹介した「David Cyranoski記者は、日本国内に、STAP騒動を冷静に見直す動きが出てくる事を期待して、この記事を書いています。」の続きの記事である。
★David Cyranoski記者によるNatureNewsの記事がより詳細に紹介されている。
★このNatureNewsの記事は、故笹井氏らが作り上げ、若手研究者たちの自由な楽園となるはずだった理研CDBがなぜ多くの批判に曝されたのか、なぜ潰されなければならなかったのか、を冷静な目で記述している。
★NatureNewsの記事は、笹井氏らと理研CDBへの鎮魂歌と言っていいかもしれない。
★日本の平目ジャーナリスト、幇間まがいの仕事しかできないサイエンスライターには決して書けない記事である。
(南青山)
前回のブログでは、ネーチャーニュースのDavid Cyranoski記者が書いた英文記事を紹介しました。今回は、もう少し、記事に書かれた内容について、追加して、以下に書きます(青字)。
今回の事件が、理研のしかけた自作自演である可能性があるのですが、そうであるなら、何とも、やりきれない話です。
若い研究者に、研究をまかせて、がんばらせて成果を上げた理研CDBが、一転して、チェックばかりの体制になるのでしょうか?
研究者が信用されず、足きせをかせられ、上から監視されるしくみを押し付けられるようです。
少なくとも、David Cyranoski記者はそうした視点で、記事を書いています。
研究をしない上司は、新人の上げ足をとるのにエネルギーを使って、それを仕事だと正当化できるという構図でしょうか?
上司は、(今は研究のアイデアがでなくとも)自分がいかに優秀であり、厳密に仕事をするのかをひけらかすのでしょうか。
そして、駆け出しで、わからないことが山ほどある新人のミスを指摘するのでしょうか。
今回の自作自演劇によって、管理体制をガチカチにして、上司の権限を強くするためには、誰か、問題の多い新人研究者をつくりあげる必要があったのだと思います。
研究というのは、楽しくないとできない作業と思います。
まあ、こうした研究所からは、魅力ある研究はでないでしょうが、それでも、研究者は、これをバネに、魅力ある研究所に戻してくれることを期待します。
しかし、研究成果がでなければ、ミスを指摘されることもないのです。
難しい手術が失敗すれば、その手術をした医者が批判されますが、何もしなければ、患者が死んでも、手術ミスにはなりません。
マスコミは、こうした専門家への批判が大好きと思います。
何が難しくて、何が責任を問えない事なのか、当事者を無視して、マスコミは、自らの理論で記事にしてしまうのです。
しかし、今回は、そんなマスコミよりもっと、ひどいのが理研の立ちあげた改革委員会だったと言えます。
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記事の内容
新聞などのメディアは、週ごとに熱狂的な批判をエスカレートさせて、名誉ある研究所の科学者が粗雑な仕事を実施したようだと書き立てた。
テレビも同様であった。ヒロノブフジワラ氏は、研究所の責任者として、神戸の理研(CDB)研究所に異動となった。2014年8月5日のその日に、笹井氏の自殺事件に遭遇したのだが、彼は語った。
「私は、どう考えるべきか混乱したが、笹井氏の自殺は、信じるしかない事実であった。」
彼は、直接に不正にかかわっていないが、センターの多くの他のスタッフと共に攻撃の対象とされた。
一般的には、科学研究で不正が行われた時、責任研究者と、協力者のラボを閉鎖する。
しかし、CDBのケースは、これだけではすまず、広範囲の余震を引き起こした。
問題となった2論文は、多能性の幹細胞を作るための驚くほど簡単な方法を作りだしたとするものだった。これは、体のすべての細胞をつくりだせる高い能力をもつ細胞であった。
しかし、この研究が捏造であったとされてから、関係した研究者個人、 CDBセンター全体に非難が集中し 、研究組織が解体される方向へ進んだ。
CDBへの補助金は削減されて、ラボの規模は半減されて、他の組織に組入れられてしまい、リーダーシップは奪われてしまった。
官僚や政府は、怒れるメディアを鎮めようと、必死に手をうとうとした。
ネーチャーは、神戸センターからの弁明を期待したが、改革委員会の委員は、当事者と話をしようとはしなかった。
改革委員会のリーダーシップをとる岸氏が語るには、「神戸の当事者たちから何かを聞き出そうとしても何も得ることはなく、我々が彼らから学ぶべき事はない。」と言った。
改革的に研究体制を推し進めてきた神戸をだめにし、日本の科学の進歩を損なってしまうのではないかと、科学者界に懸念が出てきた。
東京にある国立研究開発法人科学技術振興機構のYuko Ito氏も、結局、科学者の多くが被害者になったと語った。
理研は、1917年に創立以来、物理化学分野において、日本の科学をリードしてきたが、1990年以後は、生物科学研究が中心になってきた。
ここの研究者では、大学の研究室とは異なり、学生や大学院生の教育に時間を割かれることがなく、研究費(グラント)をかせいで資金を確保することはしなくてすみ、保障された給料が支払われるという恩恵があるため、研究者にとってのパラダイスになっていた。
STAP問題が起きる前から、大学付属の研究所との、理研は仲が良いわけではなかった。
これは、元大阪大学で発達生物学教室から、理研に移ってきたHiroshi Hamada氏の言葉である。
理研の研究所の中でも、2000年創立された神戸CDBは、日本の研究所改革を担って登場し、実際に日本の研究施設の改変をしようとしていた。
神戸CDBは、従来の大学付属研究室をだめにしていた錆びついた階級制度を廃止した。先生と呼ぶのをやめて、さんつけで呼ぶようにした。笹井や武石氏が責任者として指導の元、20歳代の学位保有者が出てくるようになっていた。
2002年に、ネーチャーによる笹井氏へのインタビューにおいて、笹井氏は、若い人に独立した研究施設を提供し、これは日本では従来なかったことと語った。
こうした笹井氏らによる神戸CDBの改革は、早速、その成果は出た。
Mitinori Saitou氏は、実験環境で、生殖細胞を操作することが可能になり、目や脳の培養技術へと進んだ。
神戸CDBから、2013年だけで163論文が出たが、そのうちの半分は、Nature、 Science 、Cellであった。
そうした基盤の上で、小保方のSTAP研究成果が出た。
STAP発表時、メディアは、小保方氏の割烹着や、壁の色の黄色やピンクに塗られている神戸CDBを書き立てた。彼女は、従来の科学者のイメージを一新した。
しかし、論文発表後の数週で、すぐ、科学者のブログで、さまざまな不正が指摘され、4月1日に、理研委員会は、論文取り消しを勧告した。
笹井氏や若山氏は、不正にかかわっていないとされたが、管理責任は問われた。
しかし、丹羽氏は無関係とされた。
過去15年間に起きた論文不正問題においては、程度の低い調査と反省で収まってきた。
例えば、東大生物学のShigeaki Kato氏による研究不正の場合は、2012年から2014年までの論文の数10の論文は取り消されたが、その責任追及は、彼の研究室の処分に留まった。
しかし、STAPの場合は、メディアの怒りは収まらず、研究所に押し掛け、NHKは、小保方氏に怪我までさせた。ニュースに加えて、ツイート、ブログによる非難が相次ぎ、不正調査を早急にすべしとの要望が強く高まり、問題の本質がぼけてしまった。
STAPを非難する者は、パテント取得も問題があると言いだした。実際には、研究につきもののパテントであるにもかかわらず、パテントは、お金のために不正研究をした証拠になると決めつけた。
東北大学の発達生物学のNoriko Osumi氏は、理研の批判者であるが、理研がマスコミの関心を引き過ぎたと批判した。
そして、他の人は、「CDBの科学者たちは、生命科学を、商業化し、お金やマスコミ人気の獲得のため、STAPプロジェクトにおぼれ、その結果、レベルの低い仕事になった。」と言った。
小保方氏の仕事に無関係だった神戸CDBの科学者たちも、一緒に汚名を着せられた。
ニュージャージーのプリンストン大学から来た 2013年10月に、Jersey.Yu-Chiun Wang氏も、同様の扱いであったと言う。
神経科学者のTakeshi Imai氏も、「我々のラボの同僚も同様に批判され、神戸以外の理研も同様であった」と言う。
こうしたメディアの過激な動きで政府も悩まされ、理研は政府にとっては、独立研究組織としての位置づけにあり、その理研での騒動を、政府は終結させなければならないと思った。
元理事のMaki Kawai氏は言う。税金を支払っているという声を発するメディアを納得させるには、思いきったリーズナブルな手段が必要だと思った。
4月9日、理研は、政府組織に長く君臨する75歳の建築素材学者の岸氏を長とする改革委員会を立ち上げた。
6月12日に、岸氏らは、8つの改革案を提出した。研究の基盤の確立や、不正の防止策、STAP論文の徹底調査などから、さらに常識より逸脱した組織解体論に及んだ。
当時、CDBにいたIchiro Hiratani氏は、椅子から飛び出すほど、びっくりした!と言う。
岸氏らのレポートは、CDBセンターは、組織そのものが不正であるから、この不正なCDBには不正を防ぐ事は出来ないと指摘した。
改革委員会レポートは、彼ら(CDB)はグルであるからして、お互いを批判的に調べることもできないとも言っている。
武市氏は、事件前の3年にわたり、組織改革をしており、国際化を目的として外国人のからデレクターを呼ぼうとしたが、適任者がいなかった。
しかし、武市氏のリーダーシップは、十分に評価されていて、2011年の彼の辞任には反対が起きた。
岸レポートは、CDBは管理体制のひどい不備があり、その結果、この事態を招いたとしている。小保方氏を採用する時も、通常のやり方でない独自審査で採用を決定し、山中教授のiPSに対抗できる画期的な結果を出させようとしたからだと言う。
STAPを利用して、笹井氏が大きな予算を狙っていたとした。小保方氏の割烹着も、笹井氏のショー的な演出であるとした。
こうした非難に対して、笹井、武市氏は否定した。
2月のネーチャーのインタビューに対しては、岸氏は、報告者には、多くの推量も含まれることを認めた。
しかし、岸氏は、テレビのプレスカンファレンスを聞いた限りにおいては、神戸CDBが問題点を抱えている事は、自信をもって指摘できることだと言った。
岸らの改革委員会による勧告は、武市氏を除き、小保方氏、笹井氏などCDBスタッフと議論することなく作成された。岸氏に言わせれば、笹井氏のテレビのプレスカンファレンスを聞いただけで十分だと言う。
そして、岸氏の笹井氏に対する言葉は、驚くくらいに厳しいものだった。「私たちが、笹井氏に何かを聞いたとしても、彼は本当のことを話さない。」
しかし、この岸氏のコメントは、笹井氏を知っている人たちの持つ印象とは異なっている。
笹井氏は、率直で、心が広く、科学的探究心に溢れている人だというのが、笹井氏を知る人たちの言葉である。
改革委員会のメンバー委員である、大阪大学の科学歴史学のMasaki Nakamura氏は、報告書には、推量が含まれているという批判に対して、裁判の場合でも、検察が被告の動機に対して、推定作業はするのだから、同じようなものだと言う。
他の四人の委員たちは、記者の取材にコメントがないか、拒否している。
ミシガン大学のNicholas Steneck,氏は、不正調査をする時には、直接に接触して得た事実や情報を基盤にすべきで、推量で作業するのは良くないと言う。
しかし、現実には、科学者は、推量作業は驚く位に良くしてしまうと言う。
歴史や現実の出来事をレポートする時でも、科学的手法ですべきであると言う。
岸らの報告書は、外国の科学者から独断的との非難を浴び、150通の手紙がCDBに寄せられたが、日本では、岸らの報告書は無批判に受け入れられた。
日本学術会議の見解は無かった。
CDBの研究者にとって、がっかりしたことは、研究者仲間の無関心と、それまでの長い間に築かれてきた理研CDBへの反発だった。Hiratani.氏は、「メディアは商売だからしかたないけど、科学者仲間から、サポートがなかったことはショックでした。」と言った。
CDBの幹細胞研究者で、笹井の共同研究者であったKeiko Muguruma氏は、ちょうどその時、論文審査ための投稿するところだった。
評判が落ちても、その回復はなんとかなると笹井氏は感じていたようだが、CDBの解体や予算の削減により若手研究者が困窮することに対しては、笹井氏の罪の意識と責任感による苦悩が強かった。彼にはなすすべがなかった。
岸レポートとマスコミによる攻撃が、笹井氏の自殺と関連していたが、岸、中村氏自身は、自殺の理由はわからないと言った。
8月に理研は、岸レポートに沿って、新不正防止法と、統制の強化を打ち出した。
40あった研究室は、9が、他の理研に移り、さらに11の研究室が閉鎖か、統合された。
12月には、理研CDBで行われた再現実験が成功せず、小保方氏が理研を辞めた。
今年の4月1日に、Hamada氏は理研のディレクターのポストについてが、予算の40%削減に会い、研究者らは、グラントの獲得に奔走した。
2か月前の岸、中村氏へのインタビューでは、CDBに対する攻撃は鎮まっていた。
中村氏は、他の大学や研究所に比べて武市氏のリーダーシップはすばらしかったが、どちらかと言えば進歩的が過ぎたとも言った。
岸氏も中村氏も、CDBに対する攻撃は、怒れるマスコミ対策であると言った。
中村氏は、関係者が、STAPトラブルを真剣に受け止めているのだということを、社会にアピールする目的があったと言う。
そして、両氏とも、神戸CDBは新しい名称を得て、リーダーシップを強化させてほしいと言った。
岸氏は、新生CDBをめざし、改革はこの目的にかなうと言った。
しかし、Hamada氏らは、神戸CDBが、新しい研究者やポスドクにとって魅力ある研究所かどうかには、懸念があると配をしている。笹井氏も丹羽氏もいないからである。
Fujiwara氏は、CDBに残ったものの、彼は5年間にわたり、毛もう細胞外基質の研究プロジェクトをくんでいたが、今後は、毎年、毎年、資金の心配がつきまとうようになり、プロジェクトが実現するかどうかは、難しくなったと言う。
8月より、研究不正に対するチェックやデータ管理が厳しくなり、研究が過度の管理下に置かれるようになり、研究者のストレスが高まるのではないかの不安がでてきている。
これもチェック、あれもチェックの状態となり、貴重な時間が割かれる。
新しいガイドラインでは、不正研究への管理が悪い研究所は、予算がカットされるようになっているのである。
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