http://www.asyura2.com/13/nature5/msg/792.html
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アリスは,広い公園内の池で手漕ぎのボ−トに乗って遊んでいた。同乗しているのは,トカゲのビルと公爵夫人の料理番である。料理番が濃いサングラスとマスクといういかにも怪しげななりをしているのでアリスが理由を尋ねると,「公爵夫人ってさ,結構人使いが荒いのは知ってるわよね。ま,あたしも好き勝手にやってるから,お互いさまかもしれないけど……」と料理番。「今日はまったくやる気が出ないんで,身内が病気だと嘘をついて休みにしてもらったのよ。ところが,今日は夫人もこの辺に用事があったはずだって思い出してね。ここで遊んでいるところに出っくわして,嘘がばれると気まずいじゃない。あら……てなこと言ってたら案の定よね。現れちゃったわ」とアリスの後方を目で示す。
アリスが振り返ってチラッと見ると,公爵夫人が岸に立ってこちらを眺めている。しかも,どうやらアリスたちに気がついたらしく,不審な同乗者が誰なのかいぶかしんでいるようだ。アリスは夫人には気づかなかった振りをして視線を戻した。
「まずいわね。あの感じでは,まだばれてはいないようだけど,岸に着いた時に必ず声をかけてきて,あたしが誰か聞くわよ」と料理番。アリスは,料理番の嘘に加担する必要はないのだが,ここは同舟のよしみということで,提案した。「じゃあ,これから全速力でボ−トを漕いで,夫人とは反対の岸にボ−トを着けるのはどうかしら。あなたは夫人よりは足が速いでしょうから,あとは何とか逃げられるでしょう。夫人に何か聞かれてもあたしたちがうまく答えとくわ」。料理番はオ−ルを握っているビルをチラッと見て,不安そうな顔をしていたが,とりあえずその作戦でいこうと決め,ビルに対岸に向けて漕いでもらうことにした。
ところが,公爵夫人も見知らぬ人物が誰か確かめようと決心したらしく,短い足をちょこまかと動かして,自分にできる限りの速力でボ−トの向かっている対岸へ歩き出した。先に着岸地点に行って待ち受けようというつもりらしい。
池は,完全な円形であり,どこにでも着岸できる。また,ボ−トは池の中心にいて,いくら足の遅い公爵夫人でも,ビルが漕ぐボ−トよりは4倍速く歩けるとする。ここで読者に考えてほしいのは,夫人が着く前にボ−トを着岸させ料理番を逃がすための戦略である。もし,公爵夫人の足がボ−トより4.5倍速かったらどうだろうか? また,余裕のある読者は,最善の戦略をとったとき,この比が何倍までだったら料理番が夫人を出し抜けるかを考えていただきたい。普通は慣性の法則が働き,ボ−トを漕ぐときはもちろん,走る場合でも急な発進・停止・方向転換はできないのだが,簡単のためそれは自由にできるものと考えてもらってよい。
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/alice/201505/question.html
実にエレガントな回答だ。
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