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「1『捏造の科学者』から浮かび上がる科学的論点−@ES細胞とTS細胞の混合/A胎盤の発光 2015/2/21」
http://www.asyura2.com/13/nature5/msg/765.html
投稿者 南青山 日時 2015 年 2 月 28 日 22:57:53: ahR4ulk6JJ6HU
 

(理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問)

http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16280958.html

★毎日新聞須田記者『捏造の科学者―STAP細胞事件』は、2015年1月16日発行となっているが、店頭に並んだのは1月7日のようだ。
★ということは昨年中に印刷製本は完了し、ひょっとすると取次搬入も終わっていたかも知れない。
★ということは12月上旬〜中旬あたりには編集校正作業は完了しているということになる。
★ということは12月下旬以降に行われた理研の「STAP現象の検証結果について」(12月19日、http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20141219_1/)および「STAP論文に関する桂不正調査委員会の報告書」(12月26日、http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20141226_1/)の結果は反映されておらず、あくまで検証途上の概括的まとめにすぎないということになる。なぜ年末の検証報告を待たずに本書の発行を急いだのかはよくわからない(もっと早く発行の予定が原稿が遅れ、発行日がずれ込んだ可能性が高い)。
★そして、著者が毎日新聞記者ということで、はたしてSTAP細胞騒動の本質にどこまで迫れるのか、少なからぬ疑念が湧いてくる、というのが正直な感想だ。
★STAP細胞騒動について当初から冷静な分析を加えてきたブログ「理研STAP細胞論文調査委員会報告、改革委提言等への根本的疑問」が、本書について詳細な分析を発表してくれた。
★「残念なのは、せっかく、科学的論点が浮かび上がっているのに、それらを科学ジャーナリズムとして詰めないままに、途中からは、不正調査委(第一次)、改革委、匿名研究者らの話をそのまま流しているだけで、拡声器として使われてしまっていること」という指摘は、本書の本質的な批判と言っていいだろう。
(南青山)

 毎日新聞の須田記者による『捏造の科学者―STAP細胞事件』には、マスコミによくある悪弊に陥っているところが少なからずあると思いますが、他方で、STAP細胞に関する科学的論点、当事者のメール・証言、研究者たちの反応、マスコミのあり方等に関して、多くの検討材料が含まれていることは確かで、それらを一般に提供するという意味での貢献には大なるものがあると思います。
 残念なのは、せっかく、科学的論点が浮かび上がっているのに、それらを科学ジャーナリズムとして詰めないままに、途中からは、不正調査委(第一次)、改革委、匿名研究者らの話をそのまま流しているだけで、拡声器として使われてしまっていることです。

 順番に気が付いた点を書いていきます。

第一点は、ES細胞とTS細胞が混ざるのか混ざらないのか?という点です。
ES細胞とTS細胞とは混ざって塊にはならないということは、笹井氏も丹羽氏が主張し、そして分子生物学会の大隅理事長もその点は認めていました。この点は、以前の記事で紹介した通りです。
  http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/15647305.html

 この笹井、丹羽両氏の主張に対して、科学界からは特段の反論は見られなかったと思います。大隅氏も認めていたのですから、そういうことだと理解していました。
 しかし、遠藤氏が例のトリソミーの分析論文等で、「ES細胞とTS細胞とが9:1で混ざったものだ」とか、「TS細胞を混ぜるのが、小保方氏の言うレシピだ」と主張し、ES細胞とTS細胞とが混ざるという前提での主張に、誰も疑問を呈することはありませんでした。この科学的論点に関する矛盾した状況を科学界もマスコミも、誰も取り上げず、ましてや整合的解説をしようとしませんでした。

 そう思っている中で、この須田氏の本を読むと、次のような一節がありました。

=================================

「丹羽氏はミスリードしている?
同じ頃(注:2014年2月下旬)、状況を問い合わせていたCDBをよく知る研究者からは、こんなメールをもらった。
「STAP細胞の存在は、唯一、論文によって担保されており、その信懸性が疑われている状況においては、存在についても極めて疑わしいと考えるべきだと思います。丹羽先生が実際にはSTAP現象について再現できたと判断できる証拠を何も持っていないにも関わらず、自分は再現できると信じているといった情報を発信している事も混乱の一因になっていると思います。」
(中略) 後日、直接会って話を聞くと、研究者は論文の疑義に対する笹井氏や丹羽氏の対応に、憤りを感じているようだった。
丹羽氏が主張する「STAP細胞の胎盤への分化」と「ES細胞とTS細胞は接着しない」という二点についての見解を聞くと、研究者は
「丹羽先生は胎盤への分化を組織切片で確認したと言っているが、論文で示されたデータではない。それにES細胞とTS細胞は、ちゃんと混ざるし一つの細胞塊になりますよ。丹羽先生はとにかく「信じている」の一点張りなんです。」
「丹羽先生がそこまでSTAPの存在を主張するメリットは何なのでしょうか」
「STAPで研究費をとってプロジェクトを進めたいからではないでしょうか。笹井先生という有力な研究者と一緒にプロジェクトを進めることは、CDB内での立場を固めるうえで有利です。」(p123-124)

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ES細胞とTS細胞は、ちゃんと混ざるし一つの細胞塊になる?

 そういう研究者の主張を紹介している記事は、私は見たことがありませんでした。それで、須田記者も、当然この点、丹羽氏にも取材して、その正否について更に追加取材しているものと思い、期待して読み進むと、がっかりでした。

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「関係者の言葉を聞き、丹羽氏に直接インタビューしたい気持ちが高まったが、応じてもらえそうもなかった。取材のやりとりの中で、本人からこんなメールが来ていたからだ。

『私が今何を発言すべきか、昨日来いろいろ考えたのですが、もはや何も語らずに検証実験に専念したいと思うようになってきました。ここで発言をして、その事に対してマスコミの注目や科学界の議論を起こすよりも、黙々と実験できた方が私の性に合います。四カ月後か一年後に検証実験の結果を公表する際には全てお話しします。』」(P124-125)

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 丹羽氏も笹井氏も(そして竹市氏も)、驚くべき率直さで須田氏への取材に応じています。インタビュー、メール、電話などで、記事化のためではなく、理解のためのブリーフィングという趣旨ですが、非公式とはいえ、ここまで率直に語ってしまって大丈夫だろうか?と思うほどです。普通の組織人ではとてもここまでは語れないと思いますが、科学的理解をしてもらうという本来の研究者らしい見地からブリーフィングをしているのには、理研らしいおおらかさも感じます。丹羽氏と笹井氏のメールや発言は、別途独立した参考資料として整理するのがいいと思いました。
それで、上記の点に関しては、丹羽氏は、これ以前の時点で、次のように取材に対して語っていましたし、須田記者も、丹羽氏の実験結果の説明に説得性を感じ、判断留保していました。

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「丹羽氏に問い合わせたところ、「実際に胎盤の切片を見て、STAP細胞の寄与が確認できた」と回答していた。幹細胞研究のスペシャリストと呼ばれる丹羽氏が、嘘や間違いを言うとは思えなかった。ネット上では全身の細胞に分化するES細胞と、胎盤組織に分化するTS細胞を混ぜ合わせたのがSTAP細胞の正体では、という「推理」もされていたが、丹羽氏はこれも、「二つの細胞を一緒にしても密着した細胞塊はできない」と、否定していた。ここまで両者の見解が違うのは不思議だったが、記者としては判断を保留せざるを得なかった。」(P121)

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 これ以降、この科学的論点についての取材、やりとりは出てきません。せっかく丹羽氏が、「四カ月後か一年後に検証実験の結果を公表する際には全てお話しします。」とメールに書いているにも拘らず、12月19日の検証実験結果発表の際や以後に質問も取材していません。
 これ以外の重要論点であるはずの、胎盤の発光の問題、死細胞の可能性、TCR再構成の問題等、せっかく今まで記事になっていない見解が、当事者や研究者から述べられているの に、それらを突き詰めて取材して、科学的に明らかにしてくれていません。
 冒頭の「ES細胞とTS細胞とは混ざる」と述べた研究者との以下のようなやりとりなど、科学とは無縁の下司な憶測でしょうに、そんな話を垂れ流して、本来の科学的論点として追求しないのでは、科学ジャーナリズムとは言えないでしょう。

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「丹羽先生がそこまでSTAPの存在を主張するメリットは何なのでしょうか」
「STAPで研究費をとってプロジェクトを進めたいからではないでしょうか。笹井先生という有力な研究者と一緒にプロジェクトを進めることは、CDB内での立場を固めるうえで有利です。」

=================================

 丹羽氏が昨年4月の記者会見で述べた、何より自らの実験に基づく主張を否定するなら、この丹羽氏を貶める研究者は、自分で両細胞を混ぜて見せればいいですし、須田記者もやってもらうよう求めればいいのに、なぜしないのでしょうか?
 須田記者の本では、丹羽氏との会見でのやりとりは、次のように紹介されています(P163-164)。

=================================

「ES細胞の混入説は考えにくいと説明がありました。STAP細胞は細胞塊で解析しているので、ES細胞だけではなく、ES細胞と(胎盤に分化する)TS細胞の両方が混入している可能性はどのようにお考えでしょうか」
「若山先生からインジェクション(受精卵への注入)の状況をうかがったが、小保方さんからもらった細胞は極めて均一な細胞集団と聞いています。その一方で、私自身、ES細胞とTS細胞を混ぜたことがあるが、この二つはわずか数日で見事に分離します。おそらく発現しているカドヘリン(細胞を接着させる分子)が違うんだと思う。そういう観点からすると、お互い均一に密着してかつ均質に混ざり合った細胞塊を両者で作ることは、少なくとも私の経験からは極めて困難だというのが私的な見解です」
「見た目では区別がつかないのでは。分離する前の状態では」
「でも分離する前はほとんど接着しないですね」
「それはどのような培地でも同じような状況になるんでしょうか」
「さすがにそこまでは観察していません。でもそれぞれの分化能を維持したまま培養を続けることはかなり困難ではないかと思います」

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【補足】丹羽氏の4月の記者会見時の、ES細胞混入説に対する発言内容を、須田記者が著書でまとめていますので、当時報道されてはいましたが、改めて載せておきます。

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「――STAP現象やSTAP幹細胞について、ES細胞を混ぜれば同じ現象を作り出せるという疑義もあった。私はかれこれ二十五年間ES細胞を研究しているが、私の知る限り、ES細胞は受精卵に注入しても、決して胎盤にはならない。ES細胞の約二%の集団は胎児にも胎盤にもなるという報告があるが、その集団に特徴的な遺伝子を目印にして回収してから受精卵に注入する必要がある。この目印なしには胎児と胎盤の両方に分化する細胞だけを集めることはできないし、集めた細胞を培養皿の中で維持することもできない。特殊な環境で作製したiPS細胞も両方に分化するが、その報告は二○一三年九月と極めて最近だ。ただし、いずれの報告も、私自身が試したことはない。
胎児と胎盤の両方に分化するという一点だけでも、既存の知見をもって説明することはできない。STAP現象はそれを説明しうる一つの仮説であり、検証されるべき仮説だと言える。」(p158)

=================================

第二点目の感じた点は、例の胎盤の発光の問題についてです。
この点もこれまで、胎盤そのものが発光しているのかどうかで、ES細胞やTS細胞か、それともSTAP細胞かを判別する重要なカギだったはずです。12月26日の桂調査委員会報告でも、そういう理解を前提として、画像を専門家に見せたら「卵黄嚢である可能性が高い」として、胎盤の発光を否定しています。そして、「STAP 細胞の胎盤への寄与は、Letterの論点として重要であり、研究の価値を高めるために強引に胎盤と断定した可能性がある。」
としていました。
 この桂報告書のこの点の認定の杜撰さは、以前、本ブログでも詳しく述べた通りです。
http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/16134077.html 

 丹羽氏が、昨年4月の記者会見では、次のように、切片自体を慎重に観察した上で判断しているのに対して、

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Q 胎盤に分化していることを確認しているのか? 血管が光っているのではなく、細胞が光っていることを。
A 自分自身もその点は、実験に参画した上で最も強いモチベーションだったので、・・・GFPの自家蛍光の問題は、免疫染色等で確認すべきだとのご意見があったが、まさにそのような手段を用いて、かつ 胎盤実質細胞で発現するマーカーともキョーセンショクを以って、確かにSTAP細胞由来と思われるGFP陽性細胞が胎盤組織にインテグレートしていることを、切片を顕微鏡で自分の目で確認している。

=================================

桂調査委員会は、切片ではなく、「専門家」なる人に図だけを見せて、しかも、「専門家は、疑わしいと言っている人がいる。疑わしいという言い方だが・・・。」と極めて曖昧な答を桂委員長はして、その報告内容の杜撰さを露呈していました(ということは、専門家というのは複数いて、見解分かれているということか??)。

 さて、この論点に関する検討材料として、須田記者の本はいくつか提供してくれています。
 その一つ目は、上記の丹羽氏の会見での回答前に取材した内容の紹介です。そこでは、

=================================

 「『TS細胞とは全く異なるパターン』で、かつ『きちんと』STAP細胞由来の細胞であることを確認した」

=================================

 と書かれています。以下の丹羽氏の回答は、昨年3月10日頃のものを、須田記者がまとめたものです。

=================================

「丹羽氏の回答
丹羽氏にも、STAP細胞の存在を今も信じる根拠を尋ねたところ、丁寧な回答をくれた。

・小保方氏が弱酸の刺激を与えた細胞を顕微鏡下にセットし、その後は小保方氏以外の研究者が観察するという状況で、高い割合の細胞で万能性遺伝子(Oct4)が働き、「これまでに見たこともない動きをしながら」塊を作っていくことを確認した。
・若山氏は、小保方氏から渡されたのがSTAP細胞だったかは確信が持てなくなっているようだが、その細胞の塊を自分の手で切って受精卵に注入し、それが高い確率でキメラマウスの胎児と胎盤に寄与した事実には、今も確証を持っている
・若山氏が作製したキメラマウスの胎盤組織の切片は、丹羽氏自身が顕微鏡下で観察したが、「TS細胞」と呼ばれる胎盤に分化する既存の細胞とは「全く異なるパターン」で、かつ「きちんと」STAP細胞由来の細胞があることが確認できた。

――こうした事実を説明できる最も妥当な「科学的仮説」は、STAP細胞が分化した細胞から生み出された、ということだと思われる――。
丹羽氏はそのうえでこう述べた。

『私は小保方さんのデータ管理能力はもはや疑問を持ちますが、研究能力の高さはこの目で確認しています。その彼女が、データは取り違えても、若山さんに独立の実験ごとに再現性よく「変な」細胞を渡すとは思えません。今回の事は科学者としてその責任を痛感していますが、一方でこのような科学者としての信念に基づき、その検証を進める事も責務だと考えます。』
ただし、メールの最後には
『これは現時点では須田さんの予備知識にとどめ、公開しない事をお約束ください。しかるべき時期がくれば、発言したいと思ってはいます。』
と書かれていた。「しかるべき時期」とはいったい、いつなのだろうか。」(p83-84)

=================================

 なお、3月14日の調査委の中間発表後に、記事化を前提とした電話取材での丹羽氏とのやりとりとして、次のように紹介されています。

=================================

「丹羽氏もようやく、記事化を前提とした電話取材に応じてくれた。会見場にいた私に代わり、下桐記者が電話をしてくれた。丹羽氏は今後、自身が中心となって検証実験に取り組む意向を明らかにし、「厳密に検証する方法を考えて進めたい」と話したほか、ES細胞の混入説についても「ES細胞の混入では胎盤はできず、新しい細胞があることを示している。論文の不備には科学者としての責任を痛感しているが、科学的な現象は別に考えてほしい」と強調した。」(p91)

=================================

 「TS細胞やES細胞ではあり得ない」ということを繰り返して強調している構図です。

 胎盤に関する二つ目の材料は、「胎盤にも寄与するかもしれない質の良いES細胞」についての話です。これは若山氏による指摘ですが、今までこういう発言は紹介されたことがないと思いますし、桂調査委員会でもそういう可能性には立っていません。

=================================

「初期の頃のES細胞は胎盤にいかないとされていたけれど、今は技術も向上して、より質の良いESができます。特に僕の研究室は、キメリズムを高めるのが研究室のテーマの一つでもあったので、もしかしたらESでも胎盤にけっこう寄与しているかもしれないですよね」(p77)

「もし、テラトーマの形成までが握造だったとしたら、若山氏が作ったキメラマウスの全身はなぜ緑色に光ったのだろうか?
『そこは想像するしかできないですが、もし僕が渡されたのがES細胞だったらキメラマウスはできるわけです。胎盤にも分化するというのがSTAP細胞の非常に重要なデータだったわけですが、胎児のキメリズムがものすごく高ければ、胎児から(ES細胞由来の)血液がたくさん胎盤に行くので、それが光った可能性はあります』
キメリズムとは、受精卵に注入した細胞由来の細胞が含まれる割合をさす。キメリズムが高いほど、注入した細胞の寄与が大きく、それだけ注入した細胞が受精卵に近い状態に初期化された、質の高い万能細胞であるということになる。
STAP細胞がES細胞だったかもしれない可能性を研究者の口から直接聞いたのは、これが初めてだった。」(p69-70)

=================================

 この指摘について、須田記者は丹羽氏に取材して、見解を問うています。

=================================

「若山氏が言う「胎盤にも寄与するかもしれない質の良いES細胞」が存在する可能性についても、丹羽氏に尋ねた。再び丁寧な回答があった。それによれば、通常のES細胞を受精卵に注入する実験で、胎盤に分化するのを確認したことは一度もない・・・」(p84)

=================================

 キメリズムの高いES細胞を若山研で作っていて、それが胎盤に寄与した可能性があるというのであれば、そのES細胞で同様の実験をやってもらえばいいでしょうし、他の研究者にも聞いてみればいいのに、丹羽氏に軽く聞いた後は、特に追求をした様子はありません。桂調査委員会の発表時にも質問はしませんでした。

 須田記者は、この本の中でも、「残存資料から何が分かるか?」とのタイトルのもとに、様々な検証ができる注目される残存資料として、まさにこの

=================================

「STAP細胞由来のキメラマウスの胎児と胎盤(おそらくホルマリン固定液で保存)」

=================================

 をそのひとつとして指摘をしていました(p181)。
 p162では、「なぜ残された試料の分析を優先させないのか」というタイトルをつけて、4月当時それをしようとしなかった理研を批判しています。それならばなぜ、残存資料としてあるはずのホルマリン漬けのキメラマウスの分析もせず、切片の観察・分析さえもせず、画像だけを「専門家」に見せて、「疑わしいという専門家もいる」(「もいる」!?)という不十分すぎる調査しかせずに、胎盤の発光であることをほぼ断定に近い形で否定する桂調査委員会を追及しないのでしょうか?

 重要な科学的論点がせっかく自分の取材を通じて浮かび上がっているのに、それを突き詰めようとしないままに、後は単なる社会部記者的に、改革委などに拡声器として利用されるだけで、その矛盾にも気が付かずに、スキャンダルとしての取り上げ方になってしまっています。
 3月に、丹羽氏らの検証実験結果や桂調査委員会の詳細データが明らかになるはずですから、改めてこれらの科学的論点について科学的に検討し、一般にわかりやすく解説してほしいものです。

 本ブログの次の記事では、TCR再構成に関する丹羽氏、笹井氏、若山氏の興味深い見解が書かれていますので、それを紹介します。また、細胞の大きさ、塊の形成の有無等についての話もありますので、それを取り上げます。  

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コメント
 
01. 2015年3月02日 22:23:59 : efYYgyF3F6
>なぜ年末の検証報告を待たずに本書の発行を急いだのかはよくわからない

科学的結論は遠藤氏の論文でほとんど出尽くしてるから。


>途中からは、不正調査委(第一次)、改革委、匿名研究者らの話をそのまま流しているだけで、拡声器として使われてしまっていること

もともと最初から一貫して取材対象者(擁護or非難に関わらず)の肉声をまとめてそのまま伝えているのが本書の内容であり、「途中からは、」擁護サイドの関係者は沈黙(取材拒否or自殺)してしまっているために、非難サイドの関係者の話ばかりになっただけでしょう。


>自分で両細胞を混ぜて見せればいいですし、須田記者もやってもらうよう求めればいいのに、なぜしないのでしょうか?

正直言って科学的にはそんなに意味のあることではありません。小保方が「共同研究中にどうやって上手く若山教授らの目を誤魔化せたか」という点では重要かもしれないけれど、「論文に載っているSTAP細胞の正体」に関しては遠藤氏らの解析が全てです。


>ES細胞の約二%の集団は胎児にも胎盤にもなるという報告があるが、その集団に特徴的な遺伝子を目印にして回収してから受精卵に注入する必要がある。この目印なしには胎児と胎盤の両方に分化する細胞だけを集めることはできないし、集めた細胞を培養皿の中で維持することもできない。
>通常のES細胞を受精卵に注入する実験で、胎盤に分化するのを確認したことは一度もない

逆に言うと、「通常ではない」「そういう方法」を用いれば可能だということですね。


>確かにSTAP細胞由来と思われるGFP陽性細胞が胎盤組織にインテグレートしていることを、切片を顕微鏡で自分の目で確認している。

「STAP細胞由来と思われる」←これの根拠は「小保方がそう言っている」ことだけです。まあ、「疑わしい」ですよねw


>「これまでに見たこともない動きをしながら」
>研究能力の高さはこの目で確認しています。その彼女が、データは取り違えても、若山さんに独立の実験ごとに再現性よく「変な」細胞を渡すとは思えません。

単なる主観ですね。感想は自由ですけど、客観的な説得力はありません。

では最後にこちらをご覧になって南青山さんのご感想をお聞かせください。
www.vm.a.u-tokyo.ac.jp/seika/PNAS2009Press/Fig2small.jpg
www.riken.jp/en/research/rikenresearch/highlights/4888/
www.cdb.riken.jp/pcs/photo/photo.html

www.nature.com/nature/journal/v505/n7485/images/nature12969-f1.jpg


02. 2015年3月03日 21:57:12 : l5qna7GcZA
今は冬だぞ。出るには早い。
五木部里。

[32削除理由]:削除人:意味なし

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