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特集:STAPの全貌 事実究明へ 科学者たちの360日  日経サイエンス
http://www.asyura2.com/13/nature5/msg/727.html
投稿者 ダイナモ 日時 2015 年 1 月 25 日 23:02:45: mY9T/8MdR98ug
 

古田彩(編集部) 詫摩雅子(科学ライター)

「STAP細胞」の正体は何か
理化学研究所が「調査の必要なし」と言い続ける中
公開の遺伝子データと共著者の細胞を手がかりに,科学の追究が始まった

2014年6月25日未明。横浜にある理化学研究所統合生命医科学研究センターの遠藤高帆上級研究員は,ある遺伝子配列のデータを見ていて,奇妙なことに気づいた。それは3日前に山梨大学の若山照彦教授から届けられた,STAP細胞から作った「STAP幹細胞」に関連する配列だった。STAP細胞にはもともと,全身で緑色に光る蛍光タンパク質の遺伝子が入っている。こうするとSTAP細胞からできた細胞や組織が緑色に光り,一目でわかって便利だからだ。確かにその遺伝子は入っていた。だが解析の結果は,それ以外に,精子だけで光る蛍光タンパク質の遺伝子が入っていることを示していた。

一体どういうことか。遠藤氏は方々に問い合わせ,かつて大阪大学の岡部勝教授が精子まで光るマウスを作っていたこと,そのマウスには遠藤氏が気づいた遺伝子が入っており,しかも若山研で飼育されていたことを知った。STAP細胞の実験に使ったのは,若山氏が作ったマウスとされている。にもかかわらず,そこから作った「STAP幹細胞」には,岡部氏のマウスの精子を光らせる遺伝子が入っているのだ。

これは2つのことを意味していた。1つは,その10日前に若山研と理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB)が発表した内容に誤りがあったこと。もう1つは,この「STAP幹細胞」が,岡部氏のマウスに関連する胚性幹細胞(ES細胞)である可能性が浮上したということだ。ES細胞というのは,以前から研究現場で使われている,どんな細胞にもなれる多能性を持つ細胞だ。作成法は確立しており,発生の研究室では日常的に作られている。遠藤氏はその日のうちに結果を若山研とCDBに伝えた。

遠藤氏の発見は,STAP細胞の全容解明への転換点となった。STAP細胞がES細胞だったのではないかとの疑いは何度も指摘されていたが,それは「細胞の特徴からES細胞と考えられる」という段階にとどまっていた。だがこのとき初めて「どのES細胞株なのか」を特定する手がかりが得られた。

この連絡を受けて,CDBは小保方研の冷凍庫にあったSTAP幹細胞のゲノム全体の解読に乗り出した。若山氏も遠藤氏らに依頼し,問題のSTAP幹細胞のゲノム解析に踏み切った。そしてもう1つ,NHKからの委託を受けた東大グループが,遠藤氏らとは別に若山氏の幹細胞の解析に着手した。3つのSTAP幹細胞解析プロジェクトが,ほぼ同時に走り始めたのである。

結論から言えば,このSTAP幹細胞はまさしく,岡部氏のマウスの子から作ったES細胞だった。2005年に若山研にいた大田浩研究員が,岡部マウスと市販のマウスを掛け合わせて受精卵を作り,そこから作成したものだ。長年,特に使われることもなく忘れられていたES細胞が,「STAP細胞」として世に出てしまったのである。

その経緯はいまだ不明だが,確実なことが1つある。今回の論文で「STAP細胞から作った」とされていたものは,マウスも,マウスに注射して作ったテラトーマ(奇形腫)も,異なる方法で培養して作った2種類の幹細胞も,すべてこの大田氏のES細胞から作られたということだ。9月に発足した外部委員による調査委員会(委員長・桂勲国立遺伝学研究所所長)によって明らかになった(「幻想の細胞 判明した正体」参照)。STAP細胞の正体は,10年前に作られたES細胞だったのだ。

だがここに至るまでに,事態は極めて特異な経過をたどった。細胞の解析に先鞭をつけたのは本来調査される側である共著者の若山氏で,論文に使われたデータを解析し科学の証拠を積み上げたのは遠藤氏らボランティアの研究者たちだ。その間,理研の上層部は細胞やマウスの調査には一貫して否定的で,若山氏や遠藤氏の結果公表にも待ったをかけた。そして新たな疑義が浮上するたびに「論文は撤回するので調査は必要ない」とコメントした。

理研が優先したのは,STAP細胞を新たに作る“検証実験”だった。信頼あつい共著者らがデータは不正でもSTAP細胞自体はあったと信じていたこと,当初理研が大々的に宣伝し,政権を巻き込んで研究費の拡大を図ったことが背景にあると思われる。使われたES細胞が遠藤氏らの解析で具体的に浮上した後,理研はようやく重い腰を上げ,論文の予備調査を開始した。

STAP騒動は,科学研究の決着を,政治の文脈から科学の議論に引き戻そうとした科学者たちの戦いだった。その始まりから現在まで,360日間の動きを追った。


http://www.nikkei-science.com/201503_044.html  

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