http://www.asyura2.com/13/nature5/msg/619.html
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8月27〜29日までスイスのジュネーブにある世界保健機関(WHO)の本部で「気候変動と健康被害」をテーマにした初の国際会議が開かれた。2050年にかけ洪水の多発や生物を媒介する疾病などで人が死に至るケースが増える恐れがある。
■保健や医療の関係者が関与
WHOでは今回「気候変動のもとで人の健康を維持するにはどうすべきか」「気候変動を緩和する取り組みが健康にもどんな良い影響を与えるか」の2つを主要議題に据えた。閣僚、国連関係者、市民団体など約300人が参加して、問題提起と対策を精力的に討議したと伝えられている。保健や医療の関係者が気候変動問題に関与することは、かつてなかった。事態はそれだけ深刻だ。
WHOのマーガレット・チャン事務局長は「私たちの惑星は人間の生命を健康な状態に維持しておく能力を喪失してしまっている」と懸念を示した。その上で「マラリア原虫とそれを媒介する蚊の存在は気候の変化と密接に結びついており、一気に流行化する恐れがある。コレラ、デング熱、細菌性髄膜炎も気候変動との関連性は高い」と警鐘を鳴らした。
新たな病気の約7割は家畜や野生動物を起源とする。だが気候変動が生態系を乱し個体数を変化させることで、野生動物の人間の生活圏への進入や種を超えた病原体を広げる。ニパーウイルスやハンタウイルスの影響拡大の事例も紹介された。
明確な根拠はないが「気候変動はエボラ出血熱の発生頻度に影響を与えている」という言及もあった。さらに30〜50年の20年間の変化として、気候変動が原因の年間死亡者数が25万人増えるとの推計も発表された。
日本でも8月末、1945年以来となるデング熱症例の国内感染が報告された。WHOに報告されたデング熱とデング出血熱の臨床事例数は90〜99で年平均47万9848件だったが、00〜07年では92万5896件と、ほぼ2倍になっている。
■健康保険への負担増大も
気候変動による健康被害は経済活動とも無関係ではない。人々の健康レベルが総じて低下することによる経済活動への悪影響も今回の会議で話題になった。WHOは30年に気候変動が人の健康に及ぼす直接的被害を金額換算すると年間20億〜40億ドル(約2100億〜4200億円)に達すると試算している。
現実に感染症の拡大などで従業員の病欠率が上がる事態になれば、企業にとっても生産性の低下は免れない。健康保険への負担増大への確実な圧力にもなる。生命を脅かす災害が頻発すれば、企業の安定的な操業すらおぼつかなくなる。
20年ほど前、激甚な健康被害をもたらした公害問題と対比して「地球温暖化はいまに生きる世代の生命を脅かすことがないから、問題解決への動機が希薄だ」との説明を耳にしたことがあった。ただ、今回の国際会議は全く異なる現実を教えてくれている。国連は今月23日、ニューヨークの本部で「気候サミット」を開く。世界の気候変動の緩和に向けた政治的機運を高められるかが焦点となる。
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO76566290T00C14A9X93000/?dg=1
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