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全治2週間のケガ/(C)日刊ゲンダイ
小保方氏ケガの発端 「NHKスペシャル」識者はこう見た
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/152174
2014年7月29日 日刊ゲンダイ
NHKの記者らが理研の小保方晴子氏(31)に全治2週間のケガを負わせ、図らずも放送前から世間の注目を集めた「NHKスペシャル」。取材対象者に対して強引な追跡取材をした揚げ句、負傷させてしまうという由々しき事態を引き起こしたが、負傷事故からわずか4日後の27日夜、NHKはNスペの放送に踏み切った。「少し前まで次週放送予定の知床のヒグマの生態に迫った番組を放送する予定だった」(関係者)ところ、放送日を繰り上げたのはテレビ局として話題性を重視した結果であろう。
番組HPの告知では「史上空前と言われる論文の捏造」「執筆者の小保方晴子研究ユニットリーダーは徹底抗戦」といった文言を並べ、最終的に「調査報告 STAP細胞 不正の深層」と強気かつ過激なタイトルを打った。小保方氏には謝罪済みで事故当日のVTRは流さないとしながらも、ハナから不正と決めつけてかかった番組だ。
その中身はSTAP騒動を巡るこれまでの報道を丁寧に総括。そこに今回Nスペが独自に取材をした上で明らかになった「新要素3点」を組み入れた構成だった。その要素とは――小保方氏のSTAP論文で理研の調査委員会が不正画像と認定したのは2つとの指摘だったが、Nスペが依頼した有識者らによると全140の画像のうち7割で疑義が生じたり不自然であったこと。その論文を掲載したネイチャー誌編集長がカメラの前で取材に応じたこと。そして、小保方研究室の冷蔵庫から発見された「ES細胞」を作製した元留学生の存在を突き止め、本人に電話取材したことだ。
「私が直接(小保方氏に)渡したものではない」と話す元留学生の言葉のあと、「私たちは小保方氏にこうした疑問に対し答えて欲しい」というナレーションは、結果的に“暴走取材”に至った言い訳にもとれたが……。上智大教授の碓井広義氏(メディア論)が言う。
「調査報告と題し、番組最後のクレジットもプロデューサーほか制作者個人の名前も記さなかったことからも、あくまで報道番組として手がけたであろう制作陣の意図を感じます。ただし『不正の深層』と加えることで、NHKの旗幟を鮮明にした。笹井芳樹教授の存在にフォーカスした視点で展開することで、当初は複数の科学誌から掲載を却下されていた論文の変貌を視聴者が理解しやすいようにもなっていた。負傷事故はあるまじき失態ですが、速力のある番組がつくれるのは国内ではNHKをおいて他にはない。取材を蓄積し続報を期待したい」
小保方氏が口を開く日は来るのか。
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