04. 2014年5月08日 23:50:25
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<STAP細胞>小保方氏の反論却下「悪意は明らか」 毎日新聞 5月8日(木)22時0分配信 新たな万能細胞とされる「STAP細胞」論文不正問題について、理化学研究所の調査委員会は8日、小保方(おぼかた)晴子・理研研究ユニットリーダー(30)が求めていた再調査をしないことを決め、論文不正が確定した。調査委は、小保方氏側の反論をことごとく退け、「悪意(故意)があったことは明らか」と認定した。「世紀の発見」として世界の注目を集めた研究成果は、発表から3カ月あまりで白紙に戻ることを突きつけられる事態となった。【須田桃子、八田浩輔、清水健二】 理研調査委員長の渡部惇弁護士はこの日の記者会見で、「今回の報告では不服申し立てに対し、従来の調査内容を織り込みながら詳細に検証した」と述べ、最終報告を変更しない根拠について一つずつ説明した。 ◇「悪意」の意味 理研の規定は研究不正について、「悪意のない間違い及び意見の相違は含まない」とある。このため、小保方氏側は画像の不備について「過失であり、不正でない」と訴えた。調査委は「悪意」について「偽装など加害目的のような意図を必要とするものではない。故意と同じ」と説明した。 一方、渡部委員長は「小保方氏側に『悪意』という言葉に誤解があった。同じ規定で、一般的な意味で『悪意』という言葉を使った記載もあり、規定の文言にも問題がある」と述べ、米倉実・理研理事は「規定の見直しを検討する」と表明するなど、言葉遣いが混乱を招いたことを認めた。 ◇改ざんの認定 「改ざん」とされた画像は、小保方氏は二つの実験を切り張りした事実を認めたものの、「結果自体は影響を受けない」と主張した。だが調査委は「小保方氏が一方の画像の大きさを科学的な考察や手順を踏まずに目で見て調整した結果、真正な画像でなくなった」と、その主張を退けた。 ◇過失を認めず 「捏造(ねつぞう)」との認定には、小保方氏は「取り違えで、単なる過失」と訴えていた。しかし、調査委は▽別の科学誌に論文を投稿する際も同じ画像を使うなど画像の由来を確認する機会が2度以上あったのにしていなかった▽画像上に説明の文字を追加した跡があることに小保方氏自身が気付いていたことを認めた−−などの事実から、「異なる実験のデータである可能性を認識しながら使用していたと考えられ、失念したとは言えない」と結論付けた。 ◇弁明の機会放棄 調査委は、小保方氏が不服申し立て後、調査委が求めた資料の提出を拒んだことを明らかにし、「弁明の機会を自ら放棄した」と指摘。また、小保方氏が聞き取りに応じず、医師の診断書の提出もしなかったと批判した。 今回の調査を巡っては、調査委のメンバーにも論文の疑惑が浮上し、最終報告をまとめた際の委員長である石井俊輔・理研上席研究員が委員長を辞任する異常事態となった。記者会見では、調査委の信頼性を問う質問も相次いだが、川合真紀・理研理事は「規定にのっとって審査しており、誰が調査委であっても結論は変わらない」と強調した。 ◇法廷闘争の可能性も 理研は論文の著者に撤回を勧告したが、勧告に強制力はない。撤回には原則として著者全員の同意が必要だが、小保方氏と共著者で米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授は、撤回に否定的な意向を変えていない。理研の川合真紀理事はこの日の記者会見で「良識を信じたい」と述べた。 STAP細胞論文は、1月30日付の英科学誌ネイチャーで2本同時に掲載された。1本はSTAP細胞の作製、もう1本はSTAP細胞から作ったSTAP幹細胞について書かれ、いわば「親」と「子」の関係にある。調査委は、STAP細胞作製をまとめた親論文に載った2件の画像の不正を認定、理研は内規に従って親論文のみの撤回を勧告した。撤回によって親論文の成果が白紙に戻れば、当然、子論文の成果も土台が崩れる。川合理事は「『親』がいなくて『子』が残るのはおかしいかもしれないが、そこはネイチャーが判断する」と、強制的な撤回権限も持つ出版社側に判断を委ねた。 理研の調査は終了したが、残された問題もある。STAP細胞の有無については、理研が今後1年かけて検証実験に取り組む予定だ。胚性幹細胞(ES細胞)が混入していたとの疑惑についても、理研は「検討を始めている」とこの日の記者会見で明らかにした。 研究不正の有無が、裁判で再び争われる可能性もある。処分内容によっては小保方氏側が取り消しを求める訴訟を起こすという選択肢があり、不正と認定された行為が処分の重さに見合ったものかが争点になる。 小保方氏側は4日に提出した不服申し立ての理由補充書で、過去の裁判例を引用しながら「存在しないデータを故意に作成・加工しなければ改ざんや捏造に当たらないとみるのが司法的解釈だ」と主張するなど、法廷での争いに向けた「布石」を打っている。 処分の重さに関しては、共著者との比較もポイントになる。労働問題に詳しい宮里邦雄弁護士は「上司や共同研究者と比べて処分が著しく重い場合は、公平原則に反するため裁判で無効とされるケースもありうる」と話す。 ▽日本分子生物学会研究倫理委員長の小原(こはら)雄治・国立遺伝学研究所特任教授(ゲノム生物学)の話 元データの正当性が確認できない以上、調査委員会が再調査の必要はないと判断したのは当然だ。だが、研究者の間で論文にさまざまな疑惑が指摘されているのに、研究不正の認定を画像2点だけに絞った姿勢は違和感がある。理研は調査対象にならなかった部分も含めて論文全体を調査すべきだ。現状ではなぜ不正が起きたのか解明されておらず、真の意味での再発防止にはつながらない。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140508-00000124-mai-sctch |