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恐竜絶滅、酸性雨説が浮上:植物が枯死、海もダメージ
http://www.asyura2.com/13/nature5/msg/418.html
投稿者 あっしら 日時 2014 年 5 月 06 日 23:25:14: Mo7ApAlflbQ6s
 


恐竜絶滅、酸性雨説が浮上
植物が枯死、海もダメージ


 約6600万年前の白亜紀末、恐竜やアンモナイトなど多くの生物が突然姿を消した。直接の原因は直径約10キロメートルの巨大隕石(いんせき)が地球に落下したことで間違いないといわれるが、どう絶滅したかはわかっていない。実は同規模の衝突は少なくとも2回あったが、地球規模の絶滅は起きていない。太古の地球で何が起きたのか。

 「隕石の落下場所によって、なぜこれほどの差が出るのか」。熊本大学の尾上哲治准教授はこんな疑問を抱いている。尾上准教授は昨年、約2億1500万年前の三畳紀後期に最大で直径約8キロメートルの隕石がカナダに衝突した影響の分析を英科学誌に発表した。岐阜県と大分県の地層で隕石の成分を見つけ、衝突で地球全体に広がったとみて隕石の大きさを求めた。

 恐竜などを絶滅に追いやったといわれる隕石はメキシコのユカタン半島に落下。地球上にいた種の6割以上が滅んだ。一方、三畳紀後期の衝突はこれに次ぐ規模だが、白亜紀末ほどの大量絶滅が起きたとは考えられていない。尾上准教授がこの時代の地層の化石を調べても、絶滅は一部の地域にとどまる。
 巨大隕石の衝突で地面は深くえぐられ、大量のちりなどが大気中に舞い上がる。これらの微粒子が日光を遮り、植物が光合成できなくなるとともに気温を下げたといわれる。「衝突の冬」と呼ぶ現象だ。その結果、陸の植物が枯れ、草食恐竜が先に死に、それを食べる肉食恐竜も滅んだ。この説が最有力視されている。

 しかし、様々な問題点が見つかってきた。例えば、微粒子が日光を遮る状況がどれほど続いたのか。大気中に舞い上がった微粒子は時間がたつと合体して粒が大きくなって重くなり、落下する。せいぜい3カ月ほどしか継続しないという試算がある。3カ月では地球規模の大量絶滅が起きるのかは判断しづらい。

 地層や化石から衝突の冬がどれだけ継続したのかを探る情報を得るのは難しい。地層からわかるのは数千年単位の気象の変化で、数カ月から数年単位の情報は得られない。東北大学の後藤和久准教授は「日光が遮られた期間がどのくらい続いたのか、それに伴う環境変化の状況はまだ解明されていない」と指摘する。

 隕石衝突に伴うもう一つの環境変化として注目されているのが酸性雨だ。ユカタン半島がある中米カリブ海の底の岩は硫酸カルシウム(硫酸塩)を多く含んでいる。隕石衝突の熱で硫黄分がガスとなって舞い上がり、硫酸の雨を降らせた。陸の植物は枯れ、海も酸性化した。その結果、陸でも海でも多くの生物が死滅した可能性がある。

 最近、この説を強力に支持する実験結果を千葉工業大学や大阪大学のグループが発表した。隕石を模した金属片を秒速20キロメートルに加速し、硫黄分の多い岩石にぶつけた。発生したガスの大部分が亜硫酸(二酸化硫黄)ではなく、三酸化硫黄という成分でできていた。
 亜硫酸ガスだと、成層圏まで上昇して粒になり、日光をさえぎって寒冷化する状態が数年単位で続く。これは生物にとって大きなダメージを与える。一方、三酸化硫黄は大気中ですぐに硫酸の粒となり、非常に強い酸性の雨になる。短期間に一気に降ることで、深刻な海の酸性化が起きた。

 千葉工大の大野宗祐上席研究員は「海で起きた現象をうまく説明できる」と話す。例えば、酸に弱いカルシウムの殻を持つプランクトンの多くが絶滅しているのに対し、酸に強いケイ素でできた殻のプランクトンはあまり影響を受けていない。これは海の酸性化でつじつまが合う。

 大野研究員の計算では、海が強い酸に侵された状態は1年以上続いたという。陸と海で食物連鎖の土台が崩れ、多くの生物の絶滅につながった可能性がある。
 海が強い酸性になったかどうかは、地層に痕跡が残っている可能性が高い。国立科学博物館の真鍋真グループ長は「すでに世界中で地質学者が検証を始めているはずだ」と話す。
 衝突の冬と硫酸の雨の影響が重なった可能性もある。どの仮説が最終的に残るのか。白亜紀末に起きた地球規模の惨事の実像は今後の研究で徐々に見えてきそうだ。

(岩井淳哉)


<キーワード> 隕石衝突説 地層の元素など物証多く

 6600万年前に恐竜などの生物が絶滅したのは、巨大な隕石(いんせき)が衝突したのが原因という説。1980年に米国の地質学者ウォルター・アルバレス博士が唱えた。同博士は白亜紀末の地層にイリジウムという非常に珍しい元素が多いことを発見、隕石がもたらしたと考えた。

 90年代に入ってメキシコのユカタン半島沖の海底で直径180キロメートルの巨大な「チュチュルブクレーター」が見つかった。その後も様々な物的証拠が発見され、2010年に12カ国の研究チームが「隕石衝突説は正しい」と結論づけた。

 地球で生命が誕生して約40億年の間に、5回の大量絶滅が起きている。

[日経新聞5月4日朝刊P.15]

 

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コメント
 
01. 2014年5月08日 15:13:41 : 7bUsMLlvNQ
ダーウィンが言ったように時代の変化に対応するような新自由主義改革の努力を怠ったせいで滅んだのではないのですね?

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