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STAP細胞の論文に関する疑惑が浮上してから約2カ月。問題発覚後、主要著者で唯一、公の場で説明していなかった理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター(CDB)の笹井芳樹副センター長がようやく会見に応じた。謝罪の言葉を繰り返す一方で、自身の関与について「論文の仕上げに協力しただけ」と語った。
笹井氏の会見は16日午後、東京・御茶ノ水の会議場で始まった。約300人の報道陣が詰めかけ、約3時間半に及んだ。
「日本の科学全体に対する信頼を損ねかねない状態になった」。冒頭、笹井氏は頭を下げた。スーツの胸には理研のバッジ。個人でなく、理研幹部としての謝罪の意味を込めたという。
公の場で語るのは論文発表の1月末以来。「早くおわびしたい気持ちはあったが、調査委員会が動いていた。申し訳ない」と述べた。
論文作成での自らの役割について説明。論文が完成するまでには@着想A実験B解析や図表作成C文章書き上げの4段階があるとし、自身が加わったのは、最後の論文の書き直しから、と主張した。それまでは小保方(おぼかた)晴子氏や若山照彦・山梨大教授、米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授が担当したという。論文で不適切な画像などが掲載された部分は、小保方氏と若山氏の2人による研究だとし、自身は関わっていないと語った。
笹井氏は、理研CDBのセンター長に依頼されてアドバイザーになり、その後、バカンティ教授から要請を受けて共著者に加わったという。「私の仕事としてSTAPを考えたことはない」とも述べた。
不適切な画像などをチェックできなかったのかとの指摘に、「生データをすべて確認するのは困難だ」。また、小保方氏は独立したユニットリーダーで直属の部下ではないとし、「大学院生に指導するように『ノートを見せなさい』というぶしつけなお願いはできなかった」と述べた。
笹井氏は、小保方氏のユニットリーダーへの採用を決めた内部委員会のメンバーの一人だった。「通常は全員の同意で決まる」とし、自身の意向が強く働いたわけではないと説明した。
奈良先端科学技術大学院大学の佐藤匠徳教授は「生データを見ていないことを自分には責任がないかのように説明していたことはおかしい。論文に自分の名前が入るなら、普通は生データを見るものだ。責任を持てないのなら名前を入れるのを断ればいい」と話す。
■STAP細胞の存在「再検証が必須」
STAP細胞の存在について、笹井氏はこの日の会見で、「データが過誤や不備で損なわれた以上、再検証が必須だ」と述べた。一方、笹井氏はSTAP細胞がないと科学的に説明がつかない現象を3点挙げた。
一つは、STAP細胞があらゆる細胞や組織になる「万能性」をもつ可能性を示す様子を動画で確認できた、とすることだ。細胞の顕微鏡映像は全自動で撮影しており、都合が良くなるような作為的な操作は事実上できないという。
二つ目は、やはり様々な細胞に分化するES細胞に比べてSTAP細胞は非常に小さく、見た目ではっきりと区別がつくという点。三つ目は、ES細胞と異なり、STAP細胞はマウスの胎盤と胎児を同時に作ることができた点だ。ES細胞の混入では起こり得ないと説明した。
STAP細胞が存在することを証明するには、第三者がSTAP細胞を作ってみせることが必要だ。さらに、その特徴を証明する一連の確認作業に成功しなければならない。
ただ、STAP細胞は簡単に作ることができない。この日、笹井氏はその理由について、STAP細胞を作るうえで欠かせない酸に浸すなど、細胞にストレスを与える加減が難しいことを挙げた。
小保方氏はSTAP細胞の作製にはコツがあるという。これについて笹井氏は「(小保方氏)本人も気づいていない手技があると思う。自分では当たり前と思い(作製法を)文章にしていない」と話した。
小保方氏は9日の会見で、STAP細胞の作製には200回以上成功していると述べた。これについて、笹井氏はSTAP細胞からマウスを200回作ったのではなく、万能性の可能性を示す印を確認しただけではないかと説明した。
検証に小保方氏が参加することについて、笹井氏は「小保方さんはやりたいと言っている。それは一定の理解ができる」と述べた。
■笹井・理研副センター長はES細胞研究の権威
この日会見した理化学研究所の笹井芳樹氏(52)は京都大医学部卒。米カリフォルニア大ロサンゼルス校などを経て、36歳の若さで京都大教授に就任。ES細胞を目や神経などの組織に変化させる研究で世界に知られる。昨春、理研発生・再生科学総合研究センターの副センター長になり、理研の将来を担う人材と目されてきた。
STAP細胞の成果を説明した1月28日の最初の会見では司会進行役を務め、「25年間の研究生活の中で、一番すごい想定外のインパクトだ」と強調。横に並ぶ小保方晴子氏(30)を「真実に近づき、やり抜く力を示した」とたたえた。2月5日には報道陣向け勉強会を開催。「能力重視の採用をしている。目利きができなかったら、私たちがくびになる」と自信をみせていた。
だが、論文の疑義が表面化してからは国内外の学会出席もキャンセルが相次いだ。生命科学分野の優れた業績に贈られる「上原賞」を受賞し、3月11日に都内であった授賞式に姿を見せたが、報道陣の問いかけには答えなかった。
この日の会見では、小保方氏について「豊かな発想力と高い集中力がある。今もそう思っている」と述べる一方、「データを間違えるようなずさんさもあった。両極端が一人のなかにある」と話した。
■「自責の念」若山・山梨大教授
若山照彦・山梨大教授は「共著者の一名として自責の念を覚えております。実験ノート、過去の若山研究室内での発表資料についてもすでに調査委員会に提出しております。調査に協力することで共著者としての責任を果たす所存です。論文の撤回についての考えに変わりはありません」とのコメントを発表した。
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