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STAP細胞論文問題の最終報告を受け、会見する理研の野依良治理事長(中央)ら=1日午後2時44分、東京都墨田区、飯塚晋一撮影
小保方氏、理研と徹底抗戦 論文不正、顔色変え「不服」
http://www.asahi.com/articles/ASG415FM2G41ULBJ015.html
2014年4月1日21時57分 朝日新聞
STAP(スタップ)細胞の論文を不正と認定した理化学研究所と、筆頭著者小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーの見解の相違による対立が1日、鮮明になった。理研から不正の唯一の実行者とされ、小保方氏は「承服できない」と徹底抗戦の構え。一方、新たな万能細胞に期待していた患者や、「リケジョ」と呼ばれる女性理系研究者、学生らは肩を落とした。
東京・両国で1日午後に開かれたこの日2回目の記者会見。約300人の報道陣に囲まれ、野依良治理事長は「理研の研究者が発表した論文が科学社会の信頼性を損なう事態を引き起こしたことに対し、おわび申し上げます」と謝罪した。
ただ、この日午前の記者会見で、理研調査委員会が研究不正を認定したのは小保方氏だけ。ほかの3人の論文の共著者は「責任は重大」としながらも、不正はなかったと判断した。
画像の「捏造(ねつぞう)」について、石井俊輔調査委員長は「通常の研究者ではまずない」と小保方氏を批判。3年間で実験ノートが2冊しかなかったことに「内容が断片的で、実験をフォローできないというのは、経験がない」とした。
野依氏は懲戒委員会で処分を検討するとしたが、具体的に名前が挙がったのは小保方氏だけだった。
しかし、報道陣からは、共著者や理研の組織としての責任を追及する質問が相次いだ。「(小保方氏だけ)トカゲのしっぽ切りではないか」といった指摘もあった。理研発生・再生科学総合研究センターの竹市雅俊センター長は「若手登用のサポート体制が不十分であったことを学んだ」と話し、再発防止策として若手研究者への研究倫理教育の充実を挙げた。
■小保方氏、STAP細胞の存在確信
小保方氏の代理人弁護士は1日、朝日新聞の取材に対し、9日までに理研に不服申し立てを行うことを明らかにした。4人の弁護団を結成。依頼の経緯は話せないという。広報担当の三木秀夫弁護士は「小保方さんの置かれている状況に人権侵害のおそれがある。守らないといけない」と話した。
最終報告の内容は、3月31日に神戸市で理研の川合真紀理事から小保方氏に直接説明された。同席した三木弁護士によると、小保方氏は顔色を変えて不服をあらわにしていたという。「驚きと憤りの気持ちでいっぱいです」。1日に公表したコメントではそう表現した。
小保方氏はSTAP細胞の存在を確信している様子で、コメントで「あたかもSTAP細胞の発見自体が捏造であると誤解されかねず、到底容認できません」と反論した。第三者による再現実験が成功していない点は「実験には数カ月かかる」と説明しているという。理研側から発言を控えるよう求められていたといい、最終報告を待ってコメントを公表したという。
弁護団によると、不服申し立ては理研の規定に基づくもので、受理される見通しという。今後、本人の記者会見を開くことも検討しているが、心労がたまって体調がよくないといい、慎重に判断する。
理研によると、小保方氏は神戸市の研究所には出勤していない。3月19日と23日に神戸と東京であった調査委の聞き取りには「無理して出てきてもらった」(石井俊輔調査委員長)という。
◇
理化学研究所の野依良治理事長らが開いた記者会見の主な一問一答は次の通り。
――保存された細胞のサンプルを使って検証する考えはあるのか。
竹市雅俊理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)長 ゼロからSTAP細胞があるのか検証する。
――(共著者である)調査対象者の若山照彦氏(山梨大教授)や丹羽仁史氏(CDBプロジェクトリーダー)が検証に加わるのは公平性がないのでは。
竹市氏 この研究は、追加試験は簡単にできないとうわさで聞いている。初期に思っていたより簡単ではなく、職人芸のノウハウが必要。(検証で)これだったら第三者でもできるという方法が確立してから、(第三者に)参加していただくのが適切だ。第三者を排除しているわけではない。
――小保方氏の出したコメントをどうとらえるか。
野依氏 小保方氏の気持ちで出されていると思う。彼女はSTAPの存在を信じている。自分の研究なので思い入れがある。研究者は思い入れがあるのはごく当然。その意見が調査委の出した結果と整合するのかどうかは、私にはわからない。
――組織としての責任をどう考えているか。
野依氏 厳粛に受け止めている。研究所の管理運営に責任を感じている。予断は許さないが、場合によっては私、役員の責任については厳正に対処しなければならないと思っている。
――6項目以外にも疑問が指摘されている。
竹市氏 この論文が大切なのはSTAPがあるかどうか。個々の疑義に一つ一つ答えるためにやっていない。
――法人改革で特定法人への移行をにらみ、結論を急いだのではないか。
野依氏 そういうことはない。社会の関心が高いのでできるだけ早くというのはありますが、それ以外はありません。
――小保方氏らが記者会見に出てこないのはなぜか。
川合真紀理事 調査中は遠慮してもらった。尋常ではない状況になっている。安全を確保する責務があるので、安全性が担保される条件下でないと難しい。会見をするかどうかは本人の意思。今日出てこないのは、体の状況。まだ考えをまとめる時間も必要。心身共に疲れている職員を表に出して会見させるつもりはない。
――検証実験に1年というのはかかり過ぎでは。
竹市氏 研究には、複雑なステップがある。とくにマウスの検証実験には時間がかかる。丹羽さんの判断で1年必要になった。
――ノートの管理がずさんでは。
川合氏 個人が管理するのは、理研の本質的なルールと違っている。機関保管であることを周知徹底する。
――動機についてどのように考えるか。
野依氏 若い研究者にとって有名な雑誌に論文を載せて、世界中の人に見てもらいたいのは本能だと思う。運動選手が全国大会、アジア大会、オリンピックで勝って認めてもらいたいのと似ている。
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