http://www.asyura2.com/13/nature5/msg/188.html
Tweet |
地球温暖化による海面上昇などで、今世紀末までにアジアを中心に数億人が移住を余儀なくされると予測する国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最終報告書案の内容がわかった。農作物の生産量が減って食糧問題が深刻化するなど、人類の社会・経済に大きな影響を及ぼすとも指摘。温室効果ガスの削減だけでなく、被害を軽くする適応策の必要性を強調している。
報告書は、3月に横浜市で開く会合で承認される。
判明した最終草稿によると、海面上昇に伴う浸食などによって沿岸の土地が失われ、今世紀末までに移住が必要になる人数を数億と見積もった。昨年9月に公表した報告書で、世界の海の水位は最大で約80センチ上昇する可能性が高いとした予測を受けたものだ。今回は報告書の第2弾で、温暖化の影響についての最新の研究成果をまとめる。
世界の平均気温は18世紀半ばの産業革命前と比べて、すでに1度ほど上昇。このままだと今世紀末までにさらに最大4・8度上昇すると予測されている。
気温上昇に伴い高温障害などが発生して農産物の生産量は、温暖化によって毎年大きく変動し、10年単位でみると最大2%減産する。一方で人口増を背景に需要は10年当たり14%増えるため、供給不足や価格高騰を招きやすい。貧困率の高い熱帯の国々では特に深刻な食糧難に陥るおそれがあるという。
水産物については、温暖化で生息域が変わる。今世紀半ばまでは、中高緯度では種の多様性が豊かになるが、熱帯域では貧しくなる。日本周辺では日本海沿岸や南方の太平洋では最大漁獲量が減少し、東北沖の太平洋では増加する。温暖化がハイペースで進むと、今世紀末には世界的な減少が見込まれるとした。
また、経済影響では、世界の平均気温が産業革命前と比べて2・5度上昇すると、0・2〜2%の所得が失われる可能性がある。「大規模な温暖化で、深刻で普遍的で試練に満ちた影響が起こる可能性が高まる」という。貧困の拡大などによって、紛争のリスクを高めるとも指摘した。
報告書案は一方で、適応策の重要性を強調。農業では高温に強い品種や栽培技術の開発などに取り組めば、現在の収穫量の15〜18%相当の増加をもたらす余地があると分析した。ただし産業革命前と比べた気温上昇が2度でとどまっていればこうした適応策も有効だが、4度以上になると限界を迎えるとした。
報告書案は、各国の政府関係者らの最終的な議論を踏まえて、内容が変更される可能性がある。(須藤大輔)
◇
〈IPCC報告書〉 三つの作業部会による計4本の報告書で構成され、2007年以来の第5次報告書の公表を順次始めている。昨年9月にまとまった「科学的根拠」編では、CO2の排出増が続くと今世紀末には世界の平均気温は最大4・8度上昇するなどと予測。第2弾となる「影響・適応」編は3月に横浜市で、第3弾の「温室効果ガスの削減策」編は4月にドイツで開く会議で承認される。秋には統合報告書もまとめられる。IPCCは、世界の科学者の最新の研究成果を評価し、温暖化防止政策に反映させるのを目的とする組織。2007年にノーベル平和賞を受けた。
▲上へ ★阿修羅♪ > 環境・エネルギー・天文板5掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。