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北極の海氷、体積も減少 衛星観測で判明  AFP
http://www.asyura2.com/13/nature5/msg/143.html
投稿者 ダイナモ 日時 2013 年 9 月 13 日 12:45:58: mY9T/8MdR98ug
 

【9月12日 AFP】夏季における北極の海氷の面積がこれまでにない規模で減少している中、その体積自体も減少していることが、地球観測衛星「クリオサット2(CryoSat-2)」による観測結果で判明した。欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)が11日、発表した。

「クリオサット2」の観測データなどをまとめたプレスリリースによると、今年4月、北極の海氷の層は、過去3年間の観測の中で、最も薄い状態になったという。

 ESAはプレスリリースの中で、スコットランド・エディンバラ(Edinburgh)で開かれたシンポジウムでの、英リーズ大学(University of Leeds)のアンドルー・シェパード(Andrew Shepherd)教授の発言を引用し、「衛星による観測結果から、いくつかの場所で、氷を覆う氷面の層がこれまでにないほど急激に薄くなったことが分かった。しかし実は、過去3年間で夏季と冬季の氷の体積自体が減少している。昨年冬季の終わりの海氷の体積は1万5000立方キロ以下で、夏季へと移行する時期の体積としては過去最少だった。これは冬季の海氷の成長が通常より小さかったことを示している」と述べている。

 北極海に浮かぶ氷は、陸地を覆う氷床と違って、季節によって拡大と縮小を繰り返すが、2012年の夏季における北極の海氷面積は過去最小を記録しており、多くの専門家は、地球温暖化が人為的にもたらされた事を示すさらなる証拠だと指摘している。(c)AFP


http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2967799/11335058?utm_source=google&utm_medium=news&utm_campaign=recommend-rss&google_editors_picks=true  

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コメント
 
01. 2013年9月13日 22:40:26 : nJF6kGWndY

リーマン後のように景気が悪化すれば、本来は温暖化は緩和されるはずだが、過去の蓄積があるからそうでもない


逆に景気悪化で高コストの省エネ技術の導入が遅れ、

脱原発と安価なシェール資源のせいで、世界的な化石燃料の消費増に歯止めがかからないなら

さらに悪化が加速していくことになるだろう


水面上昇と、激しい爆弾低気圧、台風や竜巻など異常気象の増加で壊滅的な被害を受けるのは、

オセアニアなどの多くの島々だけでなく、世界の沿岸都市も含まれるだろう


そうやって人類が減っていけば、100年後にはまた低下に向かうだろうが、その時には現在の生態系は激変
多くの希少動植物は失われている


ただし放射能のせいで、遺伝子変異が加速すれば、比較的短期間(数千年程度)で、新たな多様な生態系ができてくるかもしれないw



02. 2013年9月15日 15:41:21 : EmHUmk45qu
 変動している過程の一時期を取り上げて騒ぐ

03. 2013年9月19日 00:57:17 : nJF6kGWndY

騒がないと損をしたり、最悪、消滅する地域もあるだろうな



04. 2013年9月24日 19:01:48 : niiL5nr8dQ
ヒートアイランド現象効果が最強 8月の近畿と東海、5年間で

 気象庁は24日、厳しい暑さが続いた8月の近畿と東海では、都市部の気温が郊外に比べ高くなる「ヒートアイランド現象」効果がこの5年間で最も強かったと発表した。月平均気温は現象の効果がなかった場合に比べ、大阪市で2・3度、京都市と名古屋市で2・2度高くなった。

 気象庁は、太平洋高気圧の張り出しといった自然要因に加え、ヒートアイランド現象の強まりも猛暑となった一因と説明。

 気象庁によると、東海の都市部では西寄りの風が吹きやすく、比較的涼しい海風が入りにくかった。高気圧に覆われ大気が安定していた近畿は、本来進むはずの放射冷却の効果が都市部では現れなかったという。

2013/09/24 17:16 【共同通信】
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♦関連記事はこちら
・関東内陸、ヒートアイランド強く 近年の記録的猛暑2013年7月2日【共同通信】
・全国の海や川の3割で水温上昇 30年間で、温暖化影響も2013年3月28日【共同通信】

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貸農園手入れ、高齢者が代行 都市住民へ新サービス 大月市 【山梨日日新聞】画像有り
もっと知りたい ニュースの「言葉」
Kyodo Zoomヒートアイランド現象(2010年9月11日)都市の気温が周辺よりも高くなる現象。気温分布図で等温線を引くと、都市部が海に浮かぶ島のような形になるため、ヒートアイランド(熱の島)と呼ばれる。要因として/(1)/建物や道路舗装の拡大による緑地の減少/(2)/高層ビルが増え、涼しい風が通りにくい/(3)/人工排熱の増加―などが挙げられる。特に夜間は、建物が日中にため込んだ熱を放出するため気温が下がりにくく、「熱帯夜」の増加がみられる。
Kyodo Zoom太平洋高気圧(2010年9月8日)夏を中心に強まる温暖な高気圧で、ハワイ諸島の北の東太平洋に中心がある。日本を覆って猛暑をもたらすなど、夏の天候を支配する。太平洋高気圧の広がる場所は、大気の対流が下降気流となっているため、雲が発生しにくく、太陽光を浴びた地表が高温になる。発達の度合いは、フィリピン近海など太平洋熱帯域の大気の対流活動に大きく左右される。高気圧の西の部分が発達して張り出したものを「小笠原高気圧」と呼ぶ。


05. 2013年9月24日 22:08:02 : niiL5nr8dQ

電力不足を乗り切るための企業のエネルギー対策 第14回温暖化による気候変動と、その対応策
経営・戦略 三木 優 2013年09月20日
今夏、日本列島を襲った猛暑や豪雨で、皆さまは気候変動の問題を、自分の身近に起こり得る脅威としてリアルに意識されたのではないかと思います。この異常気象の要因は、テレビ各局の気象予報士の解説で広く知られるようになった「ダブル高気圧」だけではなく、地球規模の「温暖化」の影響も相当あることは、もはや疑いようがないでしょう。

そこで今回は、地球温暖化防止の枠組みを決める国際交渉の、直近の進捗状況について少し触れながら、過去の観測データとの比較で見た今夏の「異常」ぶりをあらためて振り返り、気候変動に起因する大規模自然災害に向き合う企業人としての心構え、および今後着手すべき対策について解説します。
温暖化交渉が遅々として進まないのはなぜなのか
「日本は京都議定書の枠組みからは離脱したけれど、われわれ企業は厳しい環境規制や条例をクリアして相当な努力をしているし、温室効果ガスを減らすことに少しは貢献していると認識しているのだが・・・」「国際的な交渉・調整が難航していることは知っている。だけど気候変動の影響が各地でこれだけはっきり表れているわけだから、各国の危機感は強いだろうし、いずれ近いうちに新興国も含めた強制力のある枠組みが出来上がるんじゃないの?」・・・。地球温暖化問題に関する、ビジネスパーソンの一般的な認識は、おそらくこのようなものではないかと、私は想像しています。

しかし、近年の国際交渉の内容・成果を見る限り、解決への道のりには実に多くの困難が立ちふさがり、決して楽観できる状態ではないと言えます。

地球温暖化は、原因である「温室効果ガスの過剰な排出」と結果である「気温上昇・気候変動」が地球規模で進行するため、企業活動や暮らしへの影響は徐々に表れ、生態系が完全に変化するような深刻な影響が現実になるのは数十年後とみられます。その結果、世界の多くの政治家・官僚が、地球温暖化の加速と気候変動問題に対して強い危機意識を持っているにもかかわらず、現在のエネルギー消費や経済発展を制限しかねない温暖化防止対策については、各国の利害が調整できず実施が先送りされ、この問題をいっそう深刻化させているのです。

私は今、本コーナーでも過去に何度か取り上げてきた「COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)」やその作業部会における、最近の議論の中身を注意深くウォッチしています。そこで強く感じるのは、温室効果ガスの排出量をいっそう厳しく規制されると自国の経済成長が阻害され、また、相対的に高額なエネルギーを使わざるを得なくなることへの反発が、途上国を中心とした各国に根強くあるということです。

ですから、毎年膨大な工数と時間をかけて議論が行われているにもかかわらず、各国が自国に不利な規制を回避しようとする結果、強制力のない「努力目標」的な合意内容に終始し、明確な排出量削減への枠組みがなかなか決まらないのです。

その結果、温室効果ガス排出削減の議論を20年以上も続けているにもかかわらず、その排出量は抑制傾向には転じず、依然として右肩上がりで増え続けています。現在のような国際交渉状況では、今後、増加のカーブはいっそう上向きになるとみられています。

過去50年で、大気中の二酸化炭素濃度は約3割も増えている


最新の国際交渉状況と、現状を突破できる可能性
長年平行線をたどってきた国際交渉ですが、2年前の2011年11月、南アフリカ・ダーバンで開催された「COP17」で、ようやく動き出しました。この年の会議では、「2013年以降の排出削減の枠組み」や、「2020年から中国・インド・米国を含む全ての国が参加する、法的な枠組みの構築を開始すること」など、重要な合意がなされました。

2012年に入ってから、作業部会が開催され、京都議定書第二約束期間の実施ルールが具体化されたり、2020年以降の枠組みについて、今後の交渉スケジュールが明確化されました。ただし、これだけの進展があっても、交渉期限に設定された2015年末までに重要な決定がなされるという保証は何もありません。現状、各国が持論を述べ合うだけの状況そのものに変化はなく、温室効果ガスを着実に減らすための法的拘束力を持った枠組みは、まだ何も決まっていないというのが現実なのです。

もっとも、交渉進展の糸口が無いわけではありません。私が注目しているのは、各国がそれぞれの実情に応じた削減目標を定めて国際的に誓約し、その目標の妥当性や達成度合いを他国が評価・検証する「プレッジ・アンド・レビュー」という方式です。このようなボトムアップ型のアプローチが「唯一の現実的な解決策」との認識を持つ先進国が増加しており、とりわけ米国はその主張を強めています。

一方の途上国はというと、自主的に削減目標を設定するルールでは、目標が低く設定されるのではないかと警戒し、明確に賛成を表明する国は少ない状況です。しかし今後、削減目標のレベルを下げさせない仕組みを立案・担保することで、途上国の賛同を獲得することは十分に可能だとみています。ただし、「プレッジ・アンド・レビュー」方式で合意できたとしても、気候変動を止められる水準の削減を早期に約束することは日本を含めて多くの国で難しいため、削減目標の妥当性の判断を巡って紛糾する可能性があります。
2013年夏の異常気象を、振り返ってみる
ここまで述べてきたような国際交渉の進捗状況を見る限り、今後10年程度の間に、温暖化をくい止めるほどの強力な枠組みが成立する可能性は、低いと予想されます。

したがって当面は、気温が上昇し続け、気候変動の幅がより大きくなっていくと考えられます。国内に目を向ければ今夏、"観測史上最高"を更新する激しい豪雨や猛暑などの異常気象が列島各地を襲ったことが、直近の例として挙げられます。

「過去に経験なし」 、統計開始以降「最大級」――
2013年夏(6〜8月)、日本を襲った極端な多雨・少雨、そして高温

2013年6〜8月に「猛暑日」「真夏日」を記録した地点数の経過(全国927 地点中)
1. 上記のグラフは2013年のみのものですが、猛暑日の年間日数は過去80年にわたって、増加傾向が明瞭に現れています。このような増加傾向は、二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う、地球温暖化の現れとみられます。
なお、気象分野の研究者・専門家など、有識者で構成された気象庁の分析検討会は、この猛暑の要因はチベット高気圧と太平洋高気圧が上下に重なる「ダブル高気圧」が日本を覆ったためであると指摘する一方、これら異常気象の背景には地球温暖化の影響もあるという見解を出しています。


気候変動に向き合う際の、企業人としての心構え、および対策
2013年夏の日本のように、われわれが保有する現代の技術レベルでは到底防ぎきれない大規模な異常気象が、かつてない頻度でわれわれを襲うことは、もはや避けられません。そこで、企業の皆さまに心構えとして持っておいていただきたいのは、「気候変動を直視し、現実的な脅威としてとらえる」ということです。

また、あらためて言うまでもないことですが、地球温暖化が主要因の大規模災害を想定した対策の必要性・重要性は、自治体やインフラ事業者のみならず、全ての企業に当てはまります。

では今回の締めくくりとして、大規模な異常気象で企業が被ることになる甚大なダメージと、その対策について、重要なポイントをまとめておきます。貴社のBCP(事業継続計画)の中に、こうした事態を考慮した計画・対策を織り込んでいただければ幸いです。
サプライチェーンの寸断
一カ月の半分の降雨量をわずか一日で記録してしまうようなケタ違いの豪雨や、巨大台風、洪水は、企業で働く人々と地域住民をきわめて危険な状況に追い詰めることになります。また、大量の水や強風によって企業の生産手段が失われたり、サプライチェーンが寸断されたりしてしまうことにもなります。
→ 災害発生後は、物資の移動が制限されることから、部品の不足などにより生産の遅れや品質の低下が発生する可能性が高まります。こうした事態を想定して、複数の事業所間で在庫などの情報を一元管理し、機動的に部品や設備を融通し合える連携の仕組みを確立させておくことは有効な対策になります。
停電
送電線が切れるなどにより、電力供給が途絶する可能性が高まります。
→ 本コーナーで過去に記載した停電対策と同様、蓄電池や自家発電装置などによって、一定時間、電力を自社でまかなえる体制の構築が有効です。
データ消失
自社や取引先を含めて、建物への浸水によって基幹業務系/情報系の重要データが消失するリスクが高まります。
→ シンクライアントシステムや遠隔バックアップ、ICTベンダの提供するクラウドサービスなどの活用により、ふだんからデータの冗長性を高めておくことが有効です。
+αふたことアドバイス
1. 省エネルギー推進策との共通項
本連載で一貫して取り上げてきた省エネルギーの推進策は、各種法令への対応やCSR、コスト削減だけでなく、大洪水や干ばつが発生した際の電力不足への備えにもなる。
節電・エネルギー対策として実施すべき取り組みの多くは、実は気候変動によって生じる大規模災害への対策にもなる。いつ発生するかわからない自然災害への備えは、東日本大震災によって、その重要性が再認識されたが、地球温暖化による気候変動という観点からも自社のBCP(事業継続計画)を見直し、コンプライアンス対応・コスト削減も含めて、明確な効果の見込めるものから順次、実施を検討すべき。

大規模自然災害による不測の事態を想定した準備・対策と、エネルギー対策には、共通項が多い


2. 時には、ポジティブに考えてみる
気候変動・温暖化への対策立案は、非常に厳しい事態を想定しなければならず、どうしてもネガティブなマインドになりがち。しかし時には、「これから予想される地球の環境変化を、新たなビジネスチャンスに結び付けられないだろうか?」といった、ポジティブな発想をされてはいかがだろうか。気温の上昇を追い風に売り上げを伸ばしている商品や、「減災」の観点から新しいサービスを開発している企業も登場している。

(2013年9月20日公開)
https://www.blwisdom.com/strategy/series/ecosp3/item/9033-14.html?tmpl=component&print=1


06. 2013年9月25日 02:29:37 : niiL5nr8dQ
引き返せない温暖化、気候変動への適応を真剣に考える時

足達英一郎・日本総合研究所理事に聞く

2013年9月25日(水)  田中 太郎

 猛暑やゲリラ豪雨など異常気象の発生が相次いでいる。日本の気候が以前とはがらりと変わってしまったようだ。気温上昇を想定して気候変動の影響に対処する「適応策」の重要性を指摘する足達英一郎・日本総合研究所理事に聞いた。
(聞き手は田中太郎)
今年の夏は非常に暑かったですね。高知県四万十市で国内観測史上最高の41℃を記録したのはびっくりしました。 気象庁は、長期的な気温の上昇や猛暑日の増加は二酸化炭素などの温室効果ガスの増加に伴う地球温暖化の影響が現れていると指摘しています。

陸上だけでなく、海上の異常気象にも注意


足達英一郎(あだち・えいいちろう)氏
日本総合研究所理事・ESGリサーチセンター長。一橋大学経済学部卒業後、民間企業を経て、1990年に日本総合研究所に入社。経営戦略研究部、技術研究部を経て現職。企業の社会的責任といった視点から産業調査、企業評価をてがける。金融機関に対し、社会的責任投資や環境配慮融資のための情報を提供する。
足達:そうですね。企業の方とお話しする際、気温上昇を2℃以内に抑えようという「緩和策」よりも、最近ではもっぱら、気温上昇を想定して気候変動の影響に対処する「適応策」を話題にしています。こんなことを言うと、「緩和策に力を入れなければ、気候変動の影響はより大きくなってしまう」と、緩和策の推進を訴える方からは怒られてしまうのですが……。

猛暑やゲリラ豪雨など異常気象の発生が相次いでいます。日本の気候が以前とはがらりと変わってしまったように感じます。海外でも、2011年のタイの洪水で日系メーカーのサプライチェーンが打撃を受けたことが記憶に残っています。

足達:米国では昨年12月にハリケーン・サンディが米国東部を襲い、ニューヨーク証券取引所が2日間ストップしました。今年5月には米国南部のオクラホマ州で巨大竜巻が発生し、多数の死者が出ました。温暖化と竜巻には因果関係がないという分析結果が出ているようですが、ハリケーンの巨大化には温暖化の影響があるという合意ができつつあります。

 日本ではあまり報道されていませんが、今年7月に日本の海運会社のコンテナ船がインド洋で沈没する事件がありました。原因を究明中なので軽々なことは言えませんが、海運業界の方のお話を聞くと、最近は海上の異常気象も以前よりも激しくなっているそうです。陸上の異常気象だけではなく、海の異常気象についても、もっと意識を高めなくてはならないかもしれません。

最近、日経産業新聞への寄稿で「ティッピング・ポイント(重大な変化が起こる転換点)」という言葉を使って、「もはや引き返せない場所まで来てしまったのではないか」という危機感を表されていましたね。

足達:ティッピング・ポイントはここ数年、気候変動の深刻さを訴える際に国連などでも使われるようになった言葉です。ティッピング・ポイントを超えたらどうなるのかという視点で国際機関が最近、公表した報告書を見ると、一定の被害を想定したものが増えています。

具体的にはどのようなものですか。

足達:日経産業新聞の記事でも紹介しましたが、世界銀行の「Turn Down the Heat 2013」と国連環境計画(UNEP)の「GEO-5 for Business」です。世界銀行の報告書は、東南アジアや南アジア、アフリカ・サブサハラ地域での気候変動の影響を詳細に分析・予測しています。例えば、2070年に気温が4℃上昇した場合、タイのバンコクでは海面が65センチメートル上昇し、510万人が影響を受けるとしています。海に面したアジアの代表的都市がいかに脆弱であるかが分かります。日本企業のアジア戦略にも影響をもたらすのではないでしょうか。UNEPの報告書は建設や食品など10業種で、気候変動がどのような脅威と事業機会をもたらすのかを分析しています。適応策の重要さに改めて思い至ります。

ニューヨーク市の「適応策」

適応策にも本腰を入れなければならなくなっているのですね。

足達:今年6月、米ニューヨーク市が公表した「より強靭で回復能力を有するニューヨーク市をつくる」と題した包括計画が世界的に注目を集めています。438ページにも及ぶ大作で、その量にまず驚かされました。

 内容は、ハリケーン・サンディの被害の全容、地球温暖化の分析に始まり、対策としての海岸線保護、建築規制、保険の活用、水、電力、ガソリンなどの供給体制、通信網や交通網の強化、医療体制などの計画が書き連ねられています。これらの対策に必要となる予算額は140億〜195億ドルと見積もられています。

 海面上昇によって国土が水没の危機にさらされるツバルが象徴的ですが、当初、適応策は途上国の問題として議論されていました。しかし、先進国自身の問題としても語られ始めたのです。これに対して、日本にはまだ包括的な計画はありません。

米国は、日本よりも先を行っているのですね。そういえば、同じ6月末にバラク・オバマ大統領は、発電所の二酸化炭素排出基準を定めるといった温室効果ガスの排出削減に向けた計画を発表しました。以前は、先進国の温室効果ガス削減義務を定めた京都議定書から脱退するなど、米国は温暖化対策に後ろ向きだった印象がありますが……。

足達:私も関心があったので、米国の知り合いに何が変わったのか聞いてみました。興味深かった回答は「米国人は財産権の問題として気候変動問題を認識し始めた」というものです。

 昨年のハリケーン・サンディも印象に残っていますが、今年は米国でも観測史上最高気温をあちこちで記録し、干ばつで農業被害が発生したり、山火事が相次いでいます。農地や住宅が被害に遭うという経験を米国人は目の当たりにしています。温暖化の脅威から財産を守らなければならない。だから適応策が必要だと認識する人が増えているのでしょう。

 もっともその後、米中央情報局(CIA)の個人情報傍受が明らかになったスノーデン事件やシリア情勢などへの関心が高まり、世論は一時ほどの盛り上がりを失っていますが。

将来世代から今の世代が奪う構図

「2020年に1990年比で温室効果ガスを25%削減する」という国際公約を撤回した日本はいかがでしょう。

足達:日本の温暖化対策にとって、原発事故のインパクトは非常に大きかったですね。計画停電を経験してしまうと、「エネルギーをいかに確保するのか」にどうしても関心が向いてしまいます。「温暖化対策は二の次」という意識になりがちです。

 企業の温暖化対策もそうです。原発がほとんど停止して、二酸化炭素の排出量が相対的に大きい火力発電に切り替わりました。企業が電力会社から同じ量の電力を購入しても、以前よりも多く二酸化炭素を排出したとみなされてしまう。現場でいくら省エネを進めても、その成果が数字になって表れないという無力感に、企業の担当者も頭を痛めているのではないでしょうか。

 こうした民意を反映してか、政府の新しい「2020年以降の目標」づくりも進んでいません。11月にワルシャワで開かれる国連気候変動枠組み条約第19回締約国会議(COP19)で世界に向けて何を日本は表明するのか?環境省と経済産業省の方針は異なり、議論は平行線だそうです。

長年、環境問題解決の取り組みを説いてこられた足達さんの口から、ため息に似た言葉ばかりが出てくるのは寂しいですね。

足達:環境問題も、財政赤字や年金不足の問題と同じ構図だと思うのです。将来世代のために残さなくてはならないものを、現役世代が奪ってしまう。しかも、環境の場合は、どれだけマイナスになっているのか、明示的になりません。宮崎駿監督が引退記者会見の中で、「常に子供たちに『この世は生きるに値するんだ』ということを伝えるという心構えでアニメ作りに臨んできた」と発言されたのを聞いて、思わず居ずまいを正されました。

持続可能性に向けた微かな期待

足達:ただ、テクノロジーの進化に期待が全くないわけではありません。例えば、石油とほぼ同じ成分の油を作り貯蔵する微小藻類の利用。先ごろでは、日本の大学研究者が藻がため込んだバイオ燃料を従来の半分以下のエネルギーで抽出する技術を開発したと伝えられました。

 二酸化炭素(CO2)を回収し地下に貯留する「CCS」については、発電所から出る大量の二酸化炭素の貯留に向けて、環境省は来春から日本の沖合海域で具体的な候補地選びに入るといいます。また、日本メーカーが石炭火力発電所から排出される二酸化炭素(CO2)を再利用できる技術を開発、2015年にも米国の電力会社に装置の販売を始めるとの報道もありました。さらに、わが国プラントエンジニアリングメーカーが開発した、水素を液体化して体積を500分の1に縮小し、常温・常圧で貯蔵や輸送が可能になる技術も注目株ですね。

技術以外にはありますか。

足達:新興国の取り組みにも注目しています。従来、新興国は、経済成長を重視し、温暖化抑制などのには総じて消極的という通念がありました。それが、ここのところ変わってきていると感じます。例えば中国国務院は6月に、省エネ基準を満たさない事業に建設許可や土地の提供、融資、電気水の供給をしてはならないという方針を打ち出しました。

 インドでは、一定規模以上の企業に年間の純利益の2%をCSR(企業の社会的責任)活動に充てることを義務付ける会社法改正が実現の見通しです。

 最近、これまでの常識とは異なる未来予測も登場しています。BIノルウェービジネススクール教授のヨルゲン・ランダース氏が提示した地球の将来予測シナリオは、都市化の進行と少子化によって、世界人口は早晩、頭打ちになり、「エネルギー使用に伴う二酸化炭素排出量は2030年にピークを迎える」というものです。

 将来の地球の平均気温上昇は、産業革命前に比べて2℃には収まらず、深刻な事態をあちこちで生じさせることにはなるでしょう。それでも、この将来予測は持続可能性に向けた微かな期待に通じる材料を提供してくれています。

このコラムについて
キーパーソンに聞く

日経ビジネスのデスクが、話題の人、旬の人にインタビューします。このコラムを開けば毎日1人、新しいキーパーソンに出会えます。


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