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余るクロマグロ、巻き網漁で今年の水揚げ急増 国産天然物の卸値4割安
日本海での巻き網漁が始まり、「海のダイヤ」の異名を持つクロマグロ(本マグロ)が国内市場でだぶついている。東京・築地市場では「国産天然物」の卸価格が前年同期より4割安い1キロ千円強。大手スーパーの店頭価格もサーモンなどの養殖魚とさほど変わらない。資源保護が国際問題になっている最高級魚がなぜ余るのか。
セリ値付かず
鳥取県境港(境港市)で6日に初水揚げしたクロマグロは昨年初日の3倍を超える約60トン。翌日の築地市場では入荷した246本のうち179本にセリ値が付かず安値での相対取引に回った。巻き網船の大量漁獲で市場へのマグロ供給が需要を大きく上回ったのだ。
大手スーパーでの境港産クロマグロの販売価格は100グラム400〜800円程度。一方、国産養殖品は同千〜1500円程度だ。
クロマグロといえば今年の初セリで1キロ70万円をつけた最高級魚。冬の津軽海峡で一本釣りされると平均卸値は1キロ5千〜1万円だが、巻き網船が日本海で大量に漁獲する6〜8月は1キロ千〜2千円程度。夏のマグロは痩せていて脂が少ない。巻き網は魚も傷つきやすく価格も下がりやすい。
日本海での巻き網漁が本格的に始まったのは2004年。それまで捕っていたイワシやアジが激減し、マグロを集中して狙うようになった。山陰旋網漁業協同組合(境港市)は「夏にマグロがないと水産関係者は仕事にならない」と話す。
かつては平均100キロ以上、昨年は60キロ以上だったマグロのサイズが今年は20キロ台中心と小さい。水産資源は何年かに一度、個体数が増える「卓越年級群」という現象が発生する。今年のマグロは3歳魚が多く、卓越年級群の可能性が高い。
巻き網船の水揚げは1隻で1日50トン以上。全国屈指のはえ縄船のマグロ基地、和歌山県勝浦港(那智勝浦町)のクロマグロ年間水揚げ量を上回る。一本釣りで有名な山口県萩市の見島では4〜5年前まで200キロ級が毎年100本以上揚がっていたが近年は途絶えた。「巻き網の影響でマグロがいなくなった」との声は全国各地で上がる。
「漁獲枠削減を」
巻き網業界は11年から境港でのマグロ水揚げ量を毎年2千トン程度にする自主規制を導入した。だが04年以降、2千トンを超えたのは2回だけ。昨年は583トンだった。マグロ資源の研究者は「今の漁獲枠では実質的には取り放題。3歳魚はこの時期から産卵期に入ることもあり、取り残すように漁獲枠を大幅に減らすべきだ」と指摘している。
日本近海を含む資源管理機関「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」は1月、太平洋クロマグロの資源量がこれまでの漁獲で95%以上減ったとの報告を出した。漁業者の利害調整と適切な漁獲枠の設定は時間との戦いだ。
[日経新聞6月15日朝刊P.]
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