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日銀の出口戦略?・・・出口無き道
2022-12-21
https://blog.goo.ne.jp/ponpoko2022/e/73a46a0a3cd8277b468d32aa2bbcf8ed
■ 出口に舵を切った黒田総裁? ■
昨日は日銀が長期金利の許容範囲は0.25%から0.5%に拡大した事で、円高が進行しました。各国中央銀行がインフレ対策として金利を上げているのに対して、日銀は頑なに金利を据え置き、円安が進行していました。日本国内のインフレ率は、海外に比べて低いとは言え、日銀の頑なな政策は海外のファンドなどに付け入られ易い。
今年に入って日本の長短金利が逆転して逆イールドカーブ状態になっていた。日銀のイールドカーブコントロールは、長期金利を0.25%にする事で金融機関が長期国債を保有しやすくする目的があるので、長短金利が逆転すると、金融機関は長期国債を保有し難くなります。当然、長期国債の売り圧力が高まっていた。これに対して日銀は0.25%の金利が付く価格で無制限に国債を買い入れる「指値オペ」で対応していましたが、日銀の保有国債は既発国債の50%を超えてしまった。
金融機関が長期国債を保有し難い状況を避ける為には、短期金利に見合った金利に長期金利を誘導する事が必要ですが、これを狙って海外のファンドが日本国債に空売りのポジションを膨らめていた。どこかの時点で、日銀は利上げをせざるを得ない状況に追い込まれていましたが、黒田総裁の任期切れを前に、長期金利の上限引き上げに踏み切った。
(上のグラフを見ると、金利は上げずとも、今年に入ってからマネタリーベースは絞っている事が分かります)
■ 既にステルスでは無くなった日本の財政ファイナンス ■
異次元緩和がスタートした時点で、このブログでは「異次元緩和の本当の目的は財政ファイナンス」だと書いてきました。しかし、日銀法でも、国際金融上も禁じ手とされる財政ファイナンスを大っぴらに実行する事は出来ないので、日銀は「2%のインフレターゲット」などという看板を掲げていた。しかし、異次元緩和が始まった直後に円安でインフレが進行すると、財務省は消費税率を引き上げて景気に水を差すなど、インフレを達成する意欲は日銀にも財務省にも初めから見られませんでした。
コロナショックによって民間需要が枯渇すると、各国中央銀行はナリフリ構わぬ緩和政策を実施します。日銀も「指値オペ」によって、ほぼ無制限に日本国債を買い入れます。政府はコロナ対策で大量の国債を発行しましたが、市場がこれを吸収出来たのは、日銀が金融機関から無制限に日本国債を買い入れていたから。これは誰が見ても「財政ファイナンス」です。とうとう日銀は、既発国債の50%以上を保有するに至りました。
■ 財政ファイナンスに問題が有るのか ■
「事実上の財政ファイナンス状態にあるのに、円は暴落していないじゃないか!」とツッコむ方がこのブログにもいらっしゃると思います。しかし、円安は確実に進行していたので、ゆるやかな暴落は起きていた。ただ、これも程度の問題で、各国ともコロナ以降(或いはリーマンショック以降)は財政ファイナンス状態だったので、「ブサイクな犬コンテスト」状態で、円だけが悪目立ちしている訳では無い。何事もバランスの上に成り立っています。
お金の成り立ち的には財戦ファイナンスであろうが、政府通貨であろうが、お金の信用が担保されるのならば問題はありません。しかし、この信用がいつ崩れるのかは誰にも分からない。
「財政ファイナンス」が許容されると、政府の財政支出は拡大します。政治は「人気取り合戦」なので、打ち出の小槌を手に入れた政権は、人気取の為にこれを振るい続けます。当然、財政支出によって市中に流通する通貨量は増えますから、インフレが進行します。防衛費の増額に対して自民党税制調査会は税金でこれを賄う様に主張しましたが、彼らには常識が残っています。これを「防衛国債」などで賄えば、軍事費拡大に抑制が効かなくなります。
戦前、戦中の日本は「軍債」をジャンジャン発行して、破滅への道を歩みました。一般人も軍債を大量に購入していましたが、同時にインフレも進行しいたので軍債は戦後紙切れ同然となります。しかし、物価統制が行われていた戦時中の日本では、インフレは表向きは押さえ込まれたいた。しかし闇で流通する品物のインフレ率は相当に上昇していました。
この様に、「財政ファイナンス」を一度認めると、財政が拡大して「財政インフレ」が発生します。国債が市場で売買されるのは、これを防ぐ為で、過剰に発行された国債は下落して金利が上昇します。これが政府の財政支出の枷となり、不用意な財政拡大を防ぎます。しかし、現在の日本の様に市場を通して日銀が国債を無制限に買い上げる様な状況では、市場の機能は失われ、市場は財政拡大を止める機能を失います。
■ 為替市場が敏感に反応する ■
各国中央銀行が利上げを進める中で、日本だけが金利を据え置いた状況に、為替市場は敏感に反応して円安が進行しました。日銀の今回の利上げの表面的な目的は、円安を食い止める事です。多くの物資を輸入に頼る日本では、円安が進行すると、輸入物価が上昇してコストプッシュインフレが進行します。これは日銀の金利抑制に悪影響を与えます。同時に日本国債のサスティナビリティーにも影響する。
■ 最後の貸し手の日銀の動向に市場は敏感になる ■
今後の興味は日銀の利上げが、どの程度まで進むかという点に絞られます。各国中銀が利上げする中で、日銀は最後の貸し手として市場を支えています。今回の利上げは、市場関係者には「黄色信号」として捉えられるでしょう。
「黒田が利上げに踏み切ったので、次の日銀総裁は利上げがやり易くなった」というのが使用の見方だと思います。日銀が急激に金利を上げるとは思えませんが、確実に潮目は変った。
■ 防衛費増額を税金で負担するか、国債で負担するか? ■
アメリカが台湾危機を煽って、日本でも知らぬ間に?!防衛費増額が規定事実となっています。防衛費をGDPの2%に増額すると言っても財源の問題が立ちふさがります。普通は増税で賄う事になる。
これに対して「国債で賄え」と主張する方が大勢いました。税収は景気などの左右されて安定した財源と言い難いですし、国民の抵抗も強い。更にスタグルレーションが発生している状況で景気に水を差す増税は、経済を原則させるからです。「戦争」は待ってまくれません(アメリカが・・・)から、国民の抵抗の少ない国債発行で防衛費を調達すべきだという意見です。但し、一般の国債で調達すると国債の発効量が増えて金利上昇圧力になるので、建設国債(償還60年)や防衛国債、或いは永久国債で賄えという意見が出て来ました。
結果的には復興特別税の期限を先延ばし、さらに建設国債を1.6兆円発行する事で決着しそうです。さらに零細個人事業主には「インボイス」という大増税?が待ち受けています。(これ益税だから払って当然ですが)
防衛費の多くは、アメリカに武器購入費で支払われてしまうので、国内のインフレ率の上昇は限定的でしょう。むしろ増税分は景気を冷やす。そう考えると、短期的には防衛費状況は景気的にも、金利的にもニュートラルでしょう。ただ、アメリカの防衛産業は潤い、当然インフレ要因になります。日本国債発行による「財政インフレ」が日本国内では無く、アメリカで観測されるかも知れません。(あれ、これは日本政府のステルス・アメリカ潰し作戦だったりして)
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