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つまらないおはなし
芥川龍之介の「藪の中」は今もって事件の真相がよくわからない小説だと見られています
作家の大岡昇平は「芥川龍之介を弁護する」という題の文章のなかで
「年小の頃この作品を読んで以来矛盾したままに放置されていると考えたことは一度もない
真相はわからないものだということが作品の主題とも思わなかった。 中略
再読 三読すれば矛盾しない解釈が出るように書いていると思うしそう難解な小説でわないと思われる」
私もこの文章を読むまでは真相はわからない小説だと思っていましたので
早速 再読三読してなんとなく物語の筋がいくらか見えてきました
ただあくまでフィクションですから別の解釈ができます微妙ですが
先の文章の最後の箇所に「作品作法のコンベンションは信じられそこに生じる
絶対的なあいまいさに誰も文句をいうものはなかった。まして不可知論などは」
と書かれてます作品作法に従えば物語は読者にある程度の納得をもって終ります
ただ黒澤監督の羅生門(原作は藪の中)の影響で真相は不可知という見方が広がりました
普通の小説というよりもミステリー小説として「藪の中」を読めばと思います
ミステリー小説には必ずポワロ役が必要だしこの「藪の中」にもポワロ役は誰かいる筈です
「芥川龍之介を弁護する」は当時二人の高名な文学評論家が一人は真相の曖昧な小説は駄目だと言い
もう一人はその曖昧さに価値があると主張する論争に対して書かれた文章です
「年小の頃から真相は解っていたし難解な小説ではない」の言葉は相当な皮肉をもった
二人に対する当て付けです この作家 敵を作るのが大好きな人だったようです
かって角川映画で「小説を読んで映画を見るか映画を見て小説を読むか」
という広告文がありましたが小説は小説 映画は映画 別物です
10年以上前に刊行された「ミレニアム」三部作 最後の傑作ミステリー小説です
なぜ最後と言えば今日のデジタル社会ではミステリー小説は書けません
しかし許せないのがその映画版のあの主演男優 ミスキャストです
他にもう少しましな男優がいなかったのか残念です
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