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【放射性物質の付着による局所的な症状として鼻血との関係が医学的に説明されました!】
☆「市民社会フォーラム」というMLに入っていますが、困ったことに、美味しんぼをデマ 扱いする自称・脱原発の人がウチにもいるんですよ(笑)
だけど、観測事実を「デマ」とか言う人は、そもそも科学を語る資格がないんですね。
☆そうこうするうちに、鼻血と放射線の因果関係のきれいな説明が出ました。最近
アマゾンに上がった、専門家の意見です。
↓これこそ科学の考え方です。拡散してください。
(医学研究者・岩清水弘氏の「低線量被爆で鼻血がでる機序の定量的分析」
以下、アマゾン「美味しんぼ」書評より引用)
・・・・・・・・・・・原文まま・・・・・・・
鼻血に関して。
これは、結論から言うと、原発事故で十分説明可能でしょう。鼻出血のメカニズムは、あなたの仰る凝固系のメカニズムは、全体のケースの中では、ごく一部で、そのほかにも、鼻粘膜局所の炎症(これが一番高頻度でしょうね)、高血圧などの循環器系の原因、などなど、鼻血と聞いた瞬間に、普通は沢山思いつくものだと思いますがね。大気汚染で鼻出血の頻度が上昇するのは、古くは20世紀初頭のイギリスのスタディに始まり、主流学術雑誌をはじめ、各種の学術論文の明記するところです。したがって、放射能汚染粉塵による局所症状、と普通は思いが至る気もします。
もちろん、定量的にも、きちんと説明できますよ。
そうそう、今回の原発事故のときも、次のような議論を耳にしました。
事故当時、「超大量放射性ヨウ素投与療法で、1億ベクレルの放射性ヨウ素を投与しても鼻血はでないから、原発事故で鼻血なんて、絶対にありえない」
なんて議論をしていた人がいる、というのを、後から知り、驚きました。この場を借りて、少し反論を書かせていただきます。
1億ベクレルって、一見、普通の人が聞くと、しり込みしそうなほど、「超大量」と錯覚するんだけど、こういうことを議論する際には、きちんと、体内分布密度などを考慮しながら、ちゃんと計算していかないと、変な結論になってしまうん
です。
簡単に計算するために、ちょっと乱暴な数字を放り込んでいくけど、血液を5Lとしたら、まず、投与後、その5Lに均一に拡散されるんだけど、その後まあ、1億ベクレルの大部分は、比較的早期に甲状腺などの特定臓器に再分布したり、大部分は尿中に排泄される。
議論を自分たちに不利にするために、仮に、ものすごーく多めに見積もって、1億ベクレル(10の8乗、つまり、10e8 Bq)の約半分が血中に、ある程度持続して残っているとすると、計算で、血液1cc中の放射能が出せます。割り算するだけです。
<<1億ベクレル投与、なんて言ってても、血液1cc中には、たったの10e4 Bq程度の放射能でしかない>>
今、鼻粘膜のことを議論しようとしてるんだけれど、鼻粘膜と、血液の接点は、毛細血管網という、細い血管のが張り巡らされた末梢血管の部分。
この部分の血管って、医学部、生物学部を出た人間には常識なんだけれど、ものすごーく血管床の表面積が広い。つまり、非常に多数の血管内皮細胞で覆われて
いる。
ちなみに、簡単に試算することができて、毛細血管径を、ざっと7ミクロンとお
けば、
<<1ccの血液を溜め込むのに必要な毛細血管の全長は、3x10e4メートルも必要
になる>>
で、この3x10e4メートルの毛細血管に、どれだけの血管内皮細胞が張り付いているかと言うと、これに、分布密度の3x10e5個/メートルをかければいい。
<<つまり、1ccの血液を取り囲んでいる血管内皮細胞は、10e10個に上る>>
高々、10e4ベクレルを、10e10個もの内皮細胞が囲んでいるんです。細長い土管としてね。
<<つまり、1秒間に、一つの細胞が放射線でアタックを受ける確率はたったの10のマイナス6乗程度の低い確率でしかない>>
しかも、均一に放射性物質が溶けていると仮定できるから、ほぼランダムに、このアタックが起こる。
(ま、ちょっと構造的な部分を計算外としているんで、すこし大目になるかもしれないけれど、桁はそんなにズレてない)
(補足:毛細血管と毛細血管の距離と、β線の体内での透過距離を考えると、となりの毛細血管から飛んでくるβ線の影響は、あまり大きなものにならないと考えています)
こんなにまばらで、確率の低い放射線だと、血管内皮細胞が細胞死に至るこもほとんどなければ、鼻粘膜炎症が起こることもないでしょう。
百歩譲って、たとえ内皮細胞が障害を受けても、ランダムな場所で内皮細胞がやられているわけだから、すぐに修復される。
だから、放射性ヨウ素超大量療法で、数億ベクレル程度を投与しても、ふつうは、全然鼻血になんかならない。
モデルとして、血液と内皮細胞のことだけ論じたけど、粘膜分泌を考えても、組織間液とか考えても、粘膜細胞を対象に考えても、基本的には、考え方は同じです。うすーい濃度で、均一に分布しているモデルの場合には、アタックがランダムに、薄い確率でおこる、ということ。
<<でも、一方、放射性物質汚染微粒子が、鼻粘膜に付着したら、その影響はどうなるか?>>
仮に、微粒子が花粉くらいの大きさだったとして、20ミクロンくらいと想定すると、これって、ひとつの細胞と同じくらいの大きさなんです。
この微粒子が、仮に、たった1ベクレルのβ線核種に汚染されていたとしたら、どういうことがおこるかというと、付着した局所、つまり、この微粒子のごく近傍で、1Bqつまり、1秒間に1回、かならず放射線が、同じ箇所ででて、まあ方向性もあるんだけど、ほぼこの桁の放射線が、同一箇所をアタックし続けることになるんです。
方や1億ベクレルからスタートしたけど、アタックされる確率は、10のマイナス6乗のオーダー方や、たったの1ベクレルだけど、1秒に1回とか、そんなオーダー。
そんな高頻度で、同一箇所をアタックされ続けたら、そこの粘膜細胞は死んじゃうし、修復も間に合わない。鼻血が出て当然なんですよ。
すごく乱暴な計算だけど、基本的に、掛け算と割り算だけで、きちんと計算すりゃ、簡単に、インパクトの大小がわかる。
同じ「内部被爆」でも、消化吸収で、均一に分布する場合と、粉塵付着での局所の影響とに、場合わけして考えないといけない。
あの当時、住民を安心させたい、という善意の気持ちから、安心論を伝えたいというのであれば、頭ごなしに「鼻血はデマ」と否定しないで、「鼻血は、汚染粉塵の局所症状で一時的な問題ですから、安心してください」とか「鼻血が出ていると言うことは、汚染粉塵を体外に排出しようとしている、良い反応だから安心してください」とか「あくまで、局所症状で、全身状態に影響は無いけれど、鼻洗浄でもやっておけばいい」とか「念のため、これ以上汚染粉塵を吸い込まないように、マスク着用を」など、言ってあげればよかったんです。
それから、核種によって、良いα線、悪いα線があるはずが無い、なんて、簡単に仰っておられますが、きちんと考えれば、いくらでも、そういうモデルは考えられるんですよ。
たとえば、ラドンのような希ガスは、体内に摂取されても、ひとところにとどまることなく、均一に薄い濃度で分布しますから、上記の鼻血(汚染粉塵)vs放射性ヨウ素の議論の喩えとおなじように、生体に与える影響はα線核種の割には、極小でしょう。一方、トリウムなどは、肝網内系に沈着し、局所で持続的に慢性内部被爆の原因となり、局所慢性持続被爆の温床となってしまいます。
トリウム内部被爆で、高率に肝臓系の発ガン率が見られることの、ひとつの理解の仕方です。
「実行線量計算」に頼る考え方以外のメカニズムも、考慮に入れていただきたいなあ、と思います。
もっと言いますと、原子核物理学の法則が、絶対不可侵のものだと錯覚しておられるかもしれませんが、現在の原子核物理学の法則は、すべて、原子核が「気体」の状態での観測・実験データを元に作られています。
原子核が、固体中に、堅く足場固定されたときに、放射性元素が崩壊を起こすと、実は、現在の原子核物理学の理論の延長線上では説明のできないような、非常に興味深い挙動を示すことが知られているのですが、こういった分野は、ほぼ、一部の例外を除き、全くの手付かずです。
つまり、上記に立て続けに、体内分布の問題を例にあげましたが、体内分布が同じ場合でも、つまり、たとえ、体内に均一分布をする核種同士であっても、核種によって、当然、生体内分子との結合・相互作用という挙動が変わるわけですから、どの生体分子と結合している際に、どういう崩壊を起こしたら、どんな影響が起こりうるのか、というのは、全くの未知の分野なのです。
医学の最新知識をもって、非常に丁寧に考察を重ね、今後、何十年かに渡り、実験・実証を繰り返し、新しい研究分野を切り開いていかないといけない状況なんですよ、内部被爆のことをきちんと理解しようとすれば。
実際、セシウムの極く微量の内部被爆で、心臓伝道路の障害が高率に起こる、というデータを、Bandazhevskyが発表していますが、丁寧にメカニズムを考察していけば、彼のデータは綺麗に説明できる可能性が高く、やはり、現行の理論に反する実例のひとつになって行くでしょうね。
最後に、医学者として、別分野ではありますが、「地図のない分野」で、必死にもがいている身から、一言だけ言わせていただければ、「教科書に書いてあることがすべてはない」
特に、慢性内部被爆のように、ほとんど、調査もされていない学問分野では、沢山疑ってかからないといけないテーマが、山積みなんですよ。
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