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谷本真由美さんの『日本に殺されず幸福に生きる方法』を読んだ。
題名で内容は90パーお分かりと存じる。ちなみにこの人、米の修士課程で教育を受けて、元国連職員で今は英国人教授と結婚してロンドン暮らしの作家だそうな。何かマークス・何とか子と似ているな。
この手の日本嫌いは海外に行けばわんさかいるが、日本批判は結構、的を得ている。特に学級会批判を的確に書いたのは初めて読んだ。修士を米で二つ取っているんだから、ちょっとがんばれば、社会学や経営組織論で学術的な報告を仕上げることが出来るだろう。
よくぞいってくれたというわけで、激烈な日本批判論としては80点。
しかし、その代案としての、英米賛歌は読んでるこっちが、こっぱずかしくて、目に余る。これも、英語圏に住む日本人に良く見られる現象だが、日本批判とここまで、メリハリがつくと、眉唾だ。
また、イタリア・スペイン・ギリシャ、はては英米アングロサクソンのふるさとドイツまで批判の遡上に挙げるに及んで、その言説は限りなくネオコンの傲慢さを髣髴させるのだ。
というわけで、一番新鮮だったのは、天国英米に対して日本とラテン系諸国を同一の側に置いたことだ。それがなかったら、こんなところに書評など書かない。しかしだ、イタリアなどは怠け者扱いされてても、堕ちそうで落ちない凧みたいに曲がりなりにも、2000年以上、先進国の地位を維持している。ローマの植民地であったイギリスやそのまた植民地であった米とは年季が違う。
著者のイタリア・スペイン嫌いと英米大好きの点について、もっと話を聞いて見たいのだが、恐らくは昨今の日本女性のイタリア・スペインブームと関連がありそうである。日本女性のイタリアブームは英米の冷たさに対する感情的な暖かさや芸術とかイタ飯等、感情的に魅了する要素があふれているからだろうが、著者はイタリアでチーノ(中国人)に見られたりしたことがかなり悔しいらしい。
そして彼らの身内びいきをこっぴどく批判するのはそのジャパンバッシングと同じ激烈さだが、著者は英米で知人友人以外には、それ以上の評価がなされていると考えているのだろうか。少なくても、英米で奴隷が禁止されたのは、イタリアよりはるかに後だし、旧スペイン植民地とちがって、英の旧植民地で英人と現地人の混血が進んだ話など聞いたこともない。
そして、ここから、著者への批判の本番を開始したいのだが、八重の桜の新島襄の妻から始まって、現代の緒方貞子に至るアングロガールズとも言える英米で高等教育を受けて英米覇権の恩恵を受けて社会の階梯を登ってよい社会的経済的地位を築く一群の日本女性たちに果たしてそれほど、他国と自国を批判する立場にあるのだろうか。
これらアングロガールズ(あえてアングロサクソンの犬とはいわないが)は大抵、その英語力(結局、帰国子女以外で英語を完璧に近く者にできるのは若い女性だけだ)と平均的な英米人が日本に対して持つ意見と同様の日本に対する鋭い視点以外は、はっきり言って、ビジネス界でも学界でも二流三流のレベルである。それは、英米覇権の片棒の最末端を担ぐアングロ犬としては、当然の適正な能力レベルである。著者の批判する支配層に媚入ったノマドといい勝負だ。
長くなったが、結論は、著者はNYやロンドン、シドニーを最も国際化の進んだ都市として挙げるが、果たして英語が出来なかったら、著者はこれほどまでに英米に肩入れするだろうか。逆に言えば、現地語ができなくても受け入れる国こそ真の国際的な社会を有しているのではないだろうか。
まあ、次作を期待したい。
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