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ミノタウロスの皿
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投稿者 BRIAN ENO 日時 2013 年 10 月 22 日 08:29:11: tZW9Ar4r/Y2EU
 


「ミノタウロスの皿」(ミノタウロスのさら)は、藤子・F・不二雄(発表時は藤子不二雄名義)の初の大人向け(異色短編)読切漫画。1969年に小学館『ビッグコミック』に掲載された。1990年7月にオリジナルビデオアニメ化された(藤子・F・不二雄の Sukoshi Fushigi 短編シアター)。文化や倫理観など、人による価値観の違いを描いた内容となっている。


作品の背景[編集]


当時、連載作品が次々に終了して落ち込んでいた藤子・F・不二雄の元に、『ビッグコミック』から執筆依頼が来た。「子供向け漫画ばかり描いてきたから」と断ったが、当時の同誌編集長・小西湧之助の熱意ある説得に応じて引き受けた[1]。こうした経緯から描かれた本作について、藤子は小西編集長が話してくれた民話『猿後家』から着想を得たと書いている[1]。しかし『猿後家』は落語の一噺であり本作とはかけはなれた内容であるため『猿婿入り』という民話との記憶違いと思われる。大人向けコミック誌である『ビッグコミック』に執筆することに対し「自分の絵は子供向きでダメ」と難色を示す藤子に、小西は「かわいい絵だからかえって怖い」と執筆を薦めており、実際に仕上がった本作の原稿の感想を「背筋に寒気が走るほど興奮した」「怖かった」と語っている[2]。この作品の好評をきっかけに、藤子は『ビッグコミック』と『S-Fマガジン』を中心に大人向け漫画を長きに渡り、多数発表するようになった[1]。


あらすじ[編集]


宇宙船の事故で地球によく似た惑星に緊急着陸した主人公は、その星で彼はミノアという少女に出会い彼女に恋をする。


その星は地球でいうところの「牛」にそっくりな種族が支配する世界で、彼らは地球でいうところの「人間」にそっくりな種族を家畜として育てていた。ミノアはその家畜の中でも特に育ちの良い女性で、最高級の食材「ミノタウロスの皿」に選ばれ、民衆の祭典で食べられる運命にあるという。その事実を知った主人公はミノアを助け出そうと奔走する。


登場人物[編集]


地球人[編集]
主人公乗っていた宇宙船が故障しイノックス星という星に墜落した地球人。好物はビーフステーキ。そこで出会ったミノアという地球人そっくりな家畜に恋をし、ミノアが祝宴で食べられる事を阻止しようとする。姿は21エモンに瓜二つ。
イノックス星の牛(ウス)[編集]


地球人と酷似した姿をしたイノックス星の家畜。知性も地球人と同等であり、衣類やアクセサリーをまとっており感情も豊かで、ズン類とも普通に会話が成り立っている。愛玩用種、使役用種、食用種とあるらしい。自分達を生まれながらの家畜と認識しており、その境遇に関して疑問や抵抗感を全く抱いていないどころか、食用種にいたってはズン類に「おいしく食べられる」ことを一番の誉れと考えており、自身が「おいしくなる」ために幼い頃から同族間で競い合っている。そのため「発育が悪い」と判定されたり、体に傷や痣がついて等級が下がりハムやソーセージや肥料にしかならないことは何よりも忌まわしい屈辱と捉えており、死への恐れはそれに比べたら何でもないようである。中でも大祭のときに食べられる「ミノタウロスの皿」と判定されることを最高の栄誉と考えている。ミノアもこの中に含まれる。どうやら草食性らしい。
ミノア百年に一頭生まれるかどうかという素晴らしい牛(ウス)。大祭の祝宴で食べられることになっており、それが即ち自身の確実な死を意味すると理解しつつも、牛(ウス)として最高の栄誉であると誇りに思っており、逃げる様説得する主人公とは全く会話が噛み合わない。自分を食べているズン類達の賞賛の言葉を聞きたいがため、活け造り(人工肺で意識を保ったままの状態なため自身の食べられている様子が見られる)になることを自ら希望する。ミノアの両親娘が「ミノタウロスの皿」に選ばれたことを心から喜んでおり、我が子が死ぬ悲しみは全く見えないどころか、ミノアがかすり傷を負っただけで「ミノタウロスの皿」の称号を失うのではないかと恐れる。
イノックス星の人類(ズン類)[編集]


外観は地球の牛によく似ているが、二足歩行をする。早い話がタイトルにある「ミノタウロス」のような様相である。多少訛りがあるもの(東北弁などの地方訛り?)の言葉を喋り、性格はおおむね大らかで理性的。中世ヨーロッパを思わせる文化と、洗練された高度な文明を持つ。ウスを家畜としてペットにしたり労働をさせたりして使役したり、食用にする。宇宙船を作るほどの科学技術はないが、ウスを美味しく食べるために麻酔薬とソースを兼ねた人工血液や「活け造り」用の人工心肺を作るなど、部分的に高いテクノロジーを持つ。
ミノアの主治医ズン類で、ウスを診る家畜用の医者。ミノアが産まれたときから(良い食べ物になるという意味で)目をかけてきた。
収録単行本[編集]
藤子・F・不二雄のSF短編を収録した短編集。 『藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版』第1集、


『藤子・F・不二雄の世界』


アニメ[編集]


「藤子・F・不二雄のSF短編シアター」第3巻収録。


キャスト[編集]
立花 - 古川登志夫
ミノア - 本多知恵子
ミノアの父 - 徳丸完
ミノアの母 - 片岡富枝
医者 - 北村弘一
大臣 - 佐藤正治
高官A - 塩屋浩三
総督 - 田中亮一
役人B - 戸谷公次
役人C - 梅津秀行
役人D - 佐藤浩之


スタッフ[編集]
監督:望月智充
脚本:雪室俊一
絵コンテ:望月智充
作画監督:山内昇寿郎
美術監督:小林七郎
原画:青嶋克己
動画チェック:阿部毅彦
動画:吉田光昭、山浦明、じゃんぐるじむ、スノーライト・スタッフ
背景:小林プロダクション、形山正、加藤賢司、高橋久嘉
仕上:スタジオぎゃろっぷ仙台、有沢まつ子、及川徳子、畑中淳子、高橋由紀子、乾和代、三浦ゆかり、スタジオマリーン、スタジオキャッツ、エムアイ
色彩設計:完甘幸隆
撮影監督:枝光弘明
撮影:スタジオぎゃろっぷ、清水泰宏、羽山泰功、小堤勝哉、田村洋、風村久生、赤沢賢二、荒川智志、小林徹、筒井義明、中富広志
編集:瀬山武司、足立浩
制作進行:大澤武志
音響監督:明田川進
音楽:サントリィ坂本
効果:サウンドボックス
録音:安藤邦男
録音スタジオ:アオイスタジオ
音響制作:マジックカプセル
音響担当:三間雅文
制作協力:綿引勝美(メモリーバンク)
音響制作:小学館プロダクション、サウンド・スタッフ
協力:藤子プロ、少年サンデー編集部、コロコロコミック編集部、小学館学習雑誌編集部
現像:東京現像所
タイトル:マキ・プロ
キャラクターデザイン:山内昇寿郎
アシスタントプロデューサー:加藤敏幸
プロデューサー:浅見勇(小学館)、清松信夫(東宝)、徳永元嘉(スタジオぎゃろっぷ)
アニメーション制作:スタジオぎゃろっぷ
制作:小学館、東宝
発売元:小学館
販売元:東宝


主題歌[編集]
オープニングテーマ なし


エンディングテーマ 『スナオだからコワイ』 歌:GROUND NUTS 作詞:前田カシ 作曲:鍋田健



原作との相違点[編集]


OVA版は原作とは大きな相違点はないが、小さな点で以下のように異なっている。
SF短編シアターシリーズ全てに言えることだが、キャラクターデザインが大幅に異なっている。たとえば立花は21エモンのような顔立ちをしていない。
原作では牛そっくりの種族はみな「発表いたすます」といったような独特の訛りがあるが、OVA版では「発表いたします」と標準語になっている。ただし、ウス、ズン類という表記はそのままである。
ミノアの家最初のシーンでは、説明部分がミノアの家族との会話で代用されている。
最初に立花がエサを食べたとき、味がないしとても食えた代物じゃないと文句を言っている。
ミノアと街を見下ろすシーンで神殿があることを教えられる。
ミノタウロスの大祭りまで、原作ではあと4日のところが、OVA版では5日になっている。また、それを受けて足を棒にしてかけまわったのは2日でなく3日間に変わっている。
逮捕されたとき鼻輪をつけられていない。
星際法が宇宙国際法に変わっている(カストル条約は同じ)
20ページの「狂ってる!(差別表現のためか小学館文庫などに収録されている物は「バカなっ!!」に訂正されている)」と叫ぶシーンがない
ウスの愛護週間は5月
総督が立花を呼ぶとき、足下から貴殿へ変わっている。
第二処理室の人工血液はソースから調味料という言い方に変わっている。


など


熱弁の内容[編集]


主人公が総督に対して語った4時間半の熱弁だが、原作にはこの内容がかかれていない。一方アニメでは熱弁が早回しの声で語られているが、この音声の中身はミノアの声を4倍速したものであり、実際の熱弁内容を確認することはできない。


脚注[編集]


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1.^ a b c 藤子不二雄 「まえがき」『藤子不二雄SF全短篇』第1巻、中央公論社、1987年、4頁。ISBN 978-4-12-001549-6。
2.^ 小西湧之助 「藤本さんのこと」『藤子・F・不二雄SF短編PERFECT版』5、小学館、2000年、361-363頁。ISBN 978-4-09-176205-4。


関連項目[編集]
ミノタウロス


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%8E%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%9A%BF
 

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コメント
 
01. BRIAN ENO 2013年10月22日 09:30:48 : tZW9Ar4r/Y2EU : 3RjD7n0ZIa
>当時の同誌編集長・小西湧之助

昨日、NHKプロフェッショナルで、

上記、小西湧之助が、編集長の鏡的な発言をしていたので、
それを紹介する。

「モノ書きはエゴイストである!」

「エゴイストでなければ、モノは書けない!」

付け加えて言えば

「ナルシズムに近い、自分に対する自己依存がなければ、
 モノは書けない!」


そして、編集者としての作品のよしあしを見抜く
彼なりの評価基準、測定手法を語っていた・・
これは、私が、いつも、この板で書いていることと、
ほぼ、同じである。

このミノタウロスの皿を読んだ小西の評価は、
以下のようになる。

「俺が、「想像」している以上の、
  いわゆる、「価値観の差」を突きつけてくる「怖さ」を感じた」

小説であれ、音楽であれ、映画であれ、絵画であれ、
写真であれ、スポーツであれ、

我々個人個人がそれぞれの経験を踏まえ、
新しい作品に触れるが、

我々にとって、
新しい作品は、
我々の経験を超えた時に、
その作品を理解しようとし、
経験則で、理解できない部分を
想像力でカバーする。

しかし、世の中には
我々の経験則や想像力を圧倒する
斬新な作品が登場する・・

音楽で言えば、
はじめて聴いた曲でも、
なんだか、己の経験則や、
想像力で、
次のメロディーが
思い浮かぶ・・

演歌などは、みな、想像できる。
水戸黄門も想像できる

才能のある、作曲家は、
我々の経験則や、想像力の遥かかなたに
才能を蓄えている。

そういう場合、次のメロディーや次の展開が
まったく想像できない・・

音楽で言うと、私がくどいくらい書いていることである。

小西は、「想像力の差」とか「価値観の差」という言葉で
表現しているが、同じことである。

最後に、その「差」

ようするに創り手と、我々受け手に

著しい創造力の差、想像力の差、才能の差、価値観の差を
我々が体験した時に「怖さ」恐怖を感じる・・

ということである。

そういう時に、
われわれ、凡人は

抽象的でひじょうに安易で陳腐な言葉
「凄い!スゲー!」

と感嘆し、創り手の才能に、

畏怖の念を抱く

ということである。


最後に、興ざめするが、

これらの畏怖の念を抱かせる
演出は、歴史上、しばしば、
やっこさんたちの
支配の道具に使われてきましたね・・


それにしても、
この編集者、

編集の本質と、

芸術の本質を見抜いてますね・・

流石です。


02. BRIAN ENO 2013年10月22日 10:03:13 : tZW9Ar4r/Y2EU : 3RjD7n0ZIa
>「モノ書きはエゴイストである!」

>「エゴイストでなければ、モノは書けない!」

>付け加えて言えば

>「ナルシズムに近い、自分に対する自己依存がなければ、
>モノは書けない!」

ノンフィクションであれ、
フィクションであれ、

上記は金言である。

アマゾンの読者レヴューを見てると、
上記、小西の金言を心得ない
愚かな読者が、堂々と能書きたれています。

やはり、子どものころから、
権威からのつまらない御用学者の書いた教科書で受験勉強ばかり
していると、そうなってしまうんだろうけど、

よく、権威側の資料(公文書)などの情報に
依拠していないと、妄想だとかで、
短絡的に結論する読者が多いですね。

そんなに権威側の公文書のみに真実がかかれていると妄信する、のであれば、
毎年、官庁が出すなんとか白書を眺めていれば、満足するのであろう・・

権威が好きで、権威に弱い読者が、多いですね。


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