音は聴けぬで
文字で聴き

口は利けるで
些事で利く

すととん...





ずっと　
むかしは

母の日なんてなかったのだから
母を日に三回想ったら母の日としよう


母は　
桜とともに散った母を想うことの
あるという

桜の散るは半世紀まえのこと

このところ傍に母を覚えることの
おおいという

母の　
母の日は　ふえてゆく


いつか
母の日にうめつくされるとも
ひととき
そばにたたずめるよう

母の
すこしは　おぼえてみる


いいぐさを
こわねを

おもざしを
まなざしを

たたずまいを
しぐさを

かおりと　
ともに

ひとつ　
ひとつ


いつかの　
ははの

ひとつ　
ひとつ


かの
ひとの

ひとつ
ひとつ


かの
ひとの　
ははの

ひとつ　
ひとつ


ひとの
むねの

ひとつ
ひとつ


てんの　
みむねに

ひとり　
ひとり

とうにおいとまの刻を過ぎしも
蔵でひとり遊ぶ座敷ぼっこと
どうかお見逃しください。

魔法はとけても
刻印は消えません。

呪文をほどいたら
ほんのすこし
変わります。

きっとみつけて
触れてください。