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lyric:THA BLUE HERB 路上 / BGM : Stairway to heaven
:B G M
Stairway to heaven Led Zeppelin cover by Iron Horse
THA BLUE HERB 路上
俺に憑り付いているっていうカルマによると
俺は人違いで死ぬらしい
冗談じゃねえ
そのご指名自体が人違いだぜ。
俺がずっとガキの頃に聞いた話だ
俺の曾爺さん いつも通らない道を歩いてて
崖崩れに待ち伏せされて死んだ
あれは人違いみたいなもんだって
近所のじいさんよく話してた
俺の叔父さんは一字違いでマウイストの
活動家ってことで引っ張られもう8年連絡が無い
今は言わなくなったけど おやじは俺が外に
出ようとするとよくこう言ってた
「決して目立つな。カルマにはくれぐれもみつかるな。
人違いされるな、いいな、決して目立つな
爺さんと兄貴はお前と同じ長男だったんだ」
靴紐を踏んづけて 前のめりにになりながら
俺は表通りへ出て行ったんだ
情けも無く無常に 今日も日が暮れていく
西風に乗って寒さが運ばれてくる
カーテンをめくる東に闇が
ゆっくりと夕焼けを削る 昼が眠る
輪郭や顔色があいまいな
人目につかない商売が有利な世界だ
真っ黒い鳥たちが鳴きだす
快感と金が騒ぎだす 朝の始まりだ
金貸しを回って疲れ果てたおやじが
離れない影を引きずるのを屋上から見た
運に恵まれななかった敗者生きてるだけ
マシだっていう慰めには俺はもう飽きた
不公平な涙はまだガキだったころに乾いた
必死に抜け道を探した
隙間風と暮らす生活はもうまっぴら
相棒のラムとスキーの一派に入った
スキーは俺と同い年の18で 既に若くして
この通りに立ちはじめ元締めの娘をたぶらかして
今やよっつの交差点の取引を支配してて
用心深く ずる賢いキツネ
元締めに忠実で 影で呼び捨て
ボディーガードを引き連れ
「人生の勝負時がきたら待ったなしだ」 が口癖
俺はタイパウダーとブラウンシュガーを扱う
この時期のカトマンズは好き者が集まる
「ドルや円をたくさん持ったお客さん、
アンタは特別だから他のヤツからは買うな」
相棒のラムは信用できるやつだ
俺がこの街に引っ越してきた夜に出会った
ヤツのシャツは誕生日に俺がやったヤツだ
俺のナイフはヤツからもらったヤツだ
薄っぺらい壁で貧しさを挟んだ
薄暗いアパートの廊下で一緒に育った
一本の光がヒビ割れたガラスから
それを見てラムはよく言った
「カルマに勝つんだ」
路上は回転する劇場だ
まるで同じ人間の繰り返しの映像だ
うまい話を探し右に左に男が
同じ顔でキョロキョロうろつく旅行者
クラクションやスモッグや落伍者や売り言葉
気づかれずに逃げる毎日の足音
似たような時間 似たような早さで
いろんなしがらみに絡まってる
のどがカラカラで通り過ぎてく
そびえるレンガの牢獄
狭い空を呪われた地上から覗く
現実に戻す野良犬の声が届く
「ひょっとして お前 逃げ出したくなったのか?」
昨日の日本人は久しぶりのお人好しだ
シュガー 2000/gで喜んでうなずいた
5gで10000、スキーに渡すのが
1000x5gで5000 残り5000
スキーに借りた金が1000
次の仕入れ分が500x4で2000
残った2000ルピーそこそこが俺の儲け
到底割に合わねえ、この5年
何万回ここを往復したと思ってる?
どれだけ有害な空気を吸ったと思ってる?
ドブネズミは俺を家族だと思ってる
もう地球はここだけとすら思ってる
道はひとつだけ残ってるさ
ラムは思いつめた顔を崩さずに計画を話し続けた
今日も路上を抜ける風は冷たい
「スキーの金庫の金を盗めば」
路上には今日も 同業者や 客引きや
駆け引きや 乞食や 体重計りや屋
楽器売りや ガキや リッチな外人や
詐欺師や 海賊品がひっきりなしだ
ツバやホコリやゴミが積もったアスファルトは
じっと雨を待ってるかのようだ
このへんでアシを洗おうと思ってた男が
最後の仕事でパクラれるのを見たことがある
スキーの野郎は 明日から 旅行だ
ボディーガードも一緒だ 留守はヤツの女
盗み出したらまっすぐに国境だ
「よう 明日の今ごろはインドに密入国だ
いいな 明日だぞ」
「明日?」
「そう 明日だ」
「第一その情報は確かか」
「間違いない」
笑いながらスキーを真似てラムは言った
「人生の勝負時がきたら待ったなしだ」
巨大な車輪が 俺の迷いを乗せて
回りだした 確かに不吉な予感がした
たが事実、チャンスは向こうからきた
俺は残ったパウダーを全て安くさばいた
寒さに間借りしてるような部屋に戻った
ここは8歳でガンジャを吸う弟や
オヤジに殴られ 蹴飛ばされたオフクロが
一枚の毛布で眠るこの世の底だ
神様は等しく 俺にも命をくれたが
それだけでそれ以外何もしてはくれない
ついに俺は究極の答えを見つけた
オヤジが叫び 壁に向かって狂ってた
「世界はゲットーだ、絶望のベットだ、
出口が入り口につながっている迷路だ
見えないカルマに殺される戦場だ
地図や歴史にも載らない捨て猫だ」
路上 最後のシャッターが閉まる音
娼婦がレストランの窓を覗き込み
客にもらった治らない風邪に咳き込む
ゴホッゴホッと 重く 路上
スキーを乗せたロイヤルネパールが
西へ飛んでいった空港からヤツの女を送り届けた
ルームミラー越しに愛想笑ってる
俺は 思わずネックレスや指輪に目を細めた
路上で儲けた三階建ての豪邸は
今日も薔薇色の暖かさが灯っていた
俺はいつものように部屋に上がり込んでた
忠実な犬が裏切るとは誰も思ってない
金は ベットルームの金庫にある
ドルキャッシュ、スキー クリスタル
暗証番号は のん気にチャラスを吸ってやがる
目の前の女の誕生日の逆
帰り際にドアの鍵を頂いた
またすぐ来るからよ と 小さく呟いた
街には夕闇が居座りだしたが
俺の家だけはまったく狭くも暗くもなしだ
残ったマッシュルームを全て金に替えた
ラムといつもの角で待ち合わせた
ネパール最後の夜 冷たい冬の雨が
路上からすべての生き物を追い立てた
飯はそれぞれの家へ帰って食べた
痩せたオフクロが冷めたダルと待ってた
今の苦しみは 前世の罪の為だ
そして来世の為だ そう目は語ってた
路上 諦めきれない表情
笑わない妹 落ちない泥
弱者で満載の水が漏るボート
空腹の象徴 路上
希望の扉をラムが開けてく
スキーの女は一階のラウンジで寝ている
二階へあがりベットルームの壁に埋めてる
金庫の前まで一気に息を止めて行く
ダイヤルをラムが4回まわす間
今、神が俺たちを選んでいると感じた
最後の沈黙の後
ついに金庫は開いた
突然なんだこの光は
振り返るとスキーの女がいた
女は声を出す
そして俺はナイフを出す
三秒女は悲鳴を撒き散らした
俺は左手で顔を抑えて喉元を刺した
我に返るまで5分を費やした
この部屋で生きているのは俺とラムの二人だ
血まみれのシャツを捨てて
スキーのジャケットを借りた
スキーのジャガーでアップタウンを抜け出した
インド国境が近いピールガンジー目指し
一路南、栄光のゴールは近い
ラムは言った「最後にあの通りを見たい」
俺も同じことを思ってたと ハンドルを左に
霧を吸って嘆きを吐く 路上
両脇に一 閉じこめられた捕虜
俺は確かに聞いたんだ 誰かの寝言を
頼むから俺も連れてってくれよと
助手席のラムはいつまでも振り返って見てた
よぉラム 俺たちはこれからの人間だ
いつの間にかカトマンズは遠くに見えた
カルマはついに振り切ったかにみえた
ついについに振り切ったかにみえても
カルマ特別委員会は追いかけてくる
逃げたって隠れたって無駄だな
太陽と月だってやつらの味方だ
リムフェリー近くのケチな検問
警官の一人がジャガーとジャケットを見つめると
いきなりこう言った
「おまえ スキーじゃねぇか」
「知ってるぞ」
・・おい こいつタメルのスキーだ・・
・・あのヘロインの、、・・
「このジャガー、、間違いない」
「正義ってもん見せてやる」
俺は人違いで死ぬらしい
original
THA BLUE HERB 路上
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