http://www.asyura2.com/13/music11/msg/502.html
Tweet |
作家の山田詠美がまだ今より若い頃、天真爛漫、否、天然放射な発言をしていたのに爆笑した。ニューヨークが好きな理由について本人の口から語っていたときのことである。
もともと六本木などにたむろしては、黒人米兵にぶらさがるような貞操観念の低いパーティー・ガールを代表して出てきたエロ漫画家のオネイちゃんだけに、「ブラザーと出会えるクラブ」なんかがお目当てだと思いきや、山田の答えは意外だった。
「ニューヨークのナイトライフに欠かせないのがゲイの男性達。私は彼ら特有のファッションに魅了されて、おっかけ半分に旅行・滞在しているの」
はは・・・は。そうですか。いや、ま、確かにゲイの人たちでしか表せない雅で刹那でダダな気品や風流はあるわな。付き合う本命がマッチョな黒人であっても、お友達になりたいのが優麗な男の子だというのは理解できない感覚ではない。白人の女でもパーティーには亭主でなくゲイのパートナーと連れ立っていくというのが一つの都会派ヤッピーの慣習となっていたのが事実である。いいよ、詠美、それでいいんだ。私はモノマネ王決定戦で淡谷のり子が清水アキラに投げかけるような情愛か軽蔑かどっちの念かがきわどい視線でそう呟いた。
それから数年たって、山田詠美も中年にさしかからんとする時代がやってきた。私も若さの分岐点といわれる25を超えた頃だったろうか。
山田はまたもや夢見る少女のように艶やかなピンクに彩られた言葉の風呂敷をひろげては、快活に発言を行っていた。さて・・・・・・今度はなんなのよ?ニューヨークにはまだはまってるのか、詠美たん。
「私にとっての世界で一番セクシーな男性って、京都の言葉が話せる人かな。」
たははは・・・・。NYゲイの次は京都人かよ。黒人GIからどんどん離れてきてんじゃないのか。山田詠美じゃなくて、もうちっとタイプに近い山田麻衣のためとかだったら、京都弁くらいなんぼでも話しますよ。と思いきや、おそらく詠美のいう京都の男というのは、田村正和や徳井義実のようなリッチなイケメンのことだろうから、まあ吼えてもしかたない。
山田詠美の年齢とともに転じる趣向については、あまり私もいえないのだ。私のアイデンティティーはあまりに奇態である。関西人とはいえ京都弁は話さないし、大阪の町人言葉もまるで外国語並みの違和感だ。そんなわけで、NHKでやってた北海道のドラマをみては北のなまりがいんだわ〜!とか広島出身の友人ができてはなんとも広島弁には人情味がありますけえ!とか標準語とは明らかに違う横浜の言葉に憧れたり、スペイン語を話してみたり・・・・とおかしなモノマネばかりやってきたのだ。
故郷の 訛なつかし 停車場の・・・・みたいな世界ではないが、都会で片意地をはってやってきた地方出身者が、自分の生まれ育った周囲の人間が話す自然と身についた方言が口につきふと我にかえり自分を取り戻すような・・・・そういうことがわからないのである。自分の原点がないのである。
明石家さんまは、東京進出時には標準語で芸能活動をしていく予定だったが、東京の人間から関西をバカにされたせいで一生関西弁でいこうときめたのだと言う。芸能界には、決して関西人だけでなく、自分の出を隠さずむしろさらけ出しカマトトを捨て自分を赤裸々に表現するような人間が大勢居る。本当に支持され息の長い活動をする成功者はこのタイプだ。
広島弁を丸出しにした流行歌を披露した吉田拓郎、なにかというと博多出身を強調する武田鉄也、宮城のイナカッペが売りの西田敏行、サイタマの汚名を逆手に取った所ジョージ、山の手ではなく下町のゲットーだとネタにしつづけたビートたけし、越後のコン平、岩手の新沼謙二、鹿児島孤島の上原美優・・・・・などなど。まあ中にはダニエル・カールや菅原文太のように成人年齢になってから会得した方言を、まるで自分の郷里のなまりのように使用しているわかりにくいのもいるにはいるが。
しかし気取らず、自分らしい姿を赤裸々に出してぶつけるそのスタイルは、人の心を動かし自分も一枚脱皮させ、かなりの効果を発揮するのは確かだ。青森から上京した全国区タレント、歌手の吉幾三さんも、あるときそれをやってブレイクした有名人である。
赤裸々というよりは、むしろかなり誇張し計算された自虐ぶりであるが、この自己暴露があってはじめて吉は成功した。
英才教育を受けた民謡歌手の吉幾三であるから、その歌の技術は高いわけで、少なくともアルフィーの桜井とかよりは格上なのだ。見た目に似合わずクリエイティブである吉の作るオリジナル曲もシンプルな構成でいて、少なくともスピッツだのコリーだのというのなんぞよりずっとよく出来ている(このプレスリー・ソングでは自作の曲ながら、わざと2つの偽名を使って作詞・作曲を提供させている)。そんなルックス以外はまっとうなミュージシャンの吉でさえ、ここまでオドケて生来の姿をさらさないと世間は許してくれないのか。
なんなんだこれは(苦笑)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。