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(回答先: (悲報)「沖縄に平和!韓半島に平和!米軍基地をなくせ!」沖縄で韓国人団体が横断幕を掲げる…ニュース女子(画像) 投稿者 木卯正一 日時 2017 年 3 月 16 日 02:13:42)
平和主義者たちに共通している特徴
批判をしているわけではない。もし仮に筆者のような主張をする者や、警察側の数字を支持する者たちがなかなか、自分たちが主張する「事実」を受け入れない場合、このような方たちはどういうアクションをとっていくのかを想像してほしいだけだ。
「事実はひとつ」なのだからどこかで相手を屈服させなくてはいけない。精神的に追い詰めて、「すいません、そちらが事実でした」と認めさせる。では、それでも屈服しない者がいたらどうする。北の強制労働所ではないが、暴力に訴えるしかないのだ。
実はこのあたりが平和を愛し、差別を憎むことを表明されている方々がどういうわけか、「好戦的」になってしまう事情と関係している。
自分たちの主張が確実に正しい。訴えていることは一点の曇りもなく「事実」だ。そう信じて疑わない人は、自分と異なる主張をする人間を受け入れられない。だから、徹底的に非難する。しかし、それでもその人間が変わる見込みがない場合どうなるか。事実を受け入れない「悪」は力づくで取り除くしかない。そう思うのではないか。
ラブ・アンド・ピースで反戦を歌う曲もあるマドンナが、トランプ批判の勢いあまって、「ホワイトハウスを吹き飛ばしたいって、心の底から思ってる」なんてテロを連想させるような発言をしたのは、これが理由だ。
ただ、これはなにもマドンナだけではなく、古今東西の平和主義者たちに共通している特徴だ。英国の著名な戦略思想家、ベイジル・リデルハートは、英ブラッドフォード大学のマイケル・パフ教授の論文の中で、このように述べた。
「たくさんの平和主義者の友人と付き合っていて、彼らの意見にもちろん共感する。しかし、戦争の廃絶ということではほとんどがっかりすることが多い。なぜなら、彼らの強烈な平和主義の中には、ケンカっ早さが見えてしまうからだ」(PACIFISM AND POLITICS IN BRITAIN 1931-1935)
平和が好きで好きでしょうがない。だからこそ、自分たちが信じて疑わぬ平和を脅かすものが許せないのかもしれない。ただ、それは突き詰めていけば、ドイツ人の平和と安定を揺るがすユダヤ人たちに憎悪が向けられた構造と、実は紙一重なのだ。
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1702/14/news040_4.html
ジャーナリストの仕事は「事実」を伝えることではない
そういう歴史の教訓があるので、戦争に明け暮れた欧州では「ひとつの事実」だけに捉われず、多様な見方をすることが推奨される。その象徴が、「戦争学」という学問だ。軍事利用される研究を大学側がボイコットするような日本の大学でこんな学部ができたら、ラップで喉を枯らす人たちや、タイコを打ち鳴らす人々でキャンパスが占拠されそうな感じだが、「戦争」という言葉を耳にしただけでアレルギー反応がでる『朝日新聞』にも、その存在意義がちゃんと説明されている。
『戦争学部は、英戦略家リデルハートの「平和を望むなら、戦争を理解せよ」という理念を基にする。あらゆる学問の英知を結集して、戦争という現象を徹底的に検証する』(2015年2月20日 朝日新聞)
「戦争」が憎くてしょうがない。「戦争」を避けるためにはどうすればいいのかを知りたい。だからこそ「戦争」の存在を認めて、「戦争」の本質を理解しなくてはいけない。こっちも丸腰だったら、ウィア・ザ・ワールドなんだからトゥギャザーできるぜ、みたいな楽観的な見方ではなく、そこには醜悪な現実世界に向き合わなくてはいけない、徹底したリアリズムがある。
どちらが良い悪いという話ではない。反安保デモの方たちからすれば「安倍ヒトラーが戦争へ向けてまっしぐら」というのが「事実」であって、愛国心溢れる方たちからすれば、「沖縄の基地反対派は中共のスパイ」というのが「事実」なのだ。そのようなさまざまな「オルタナティブファクト」を力でねじ伏せて「ひとつ」に集約するのではなく、擦り合わせて最善の妥協点を探っていくのが、「民主主義の現実」だと申し上げているのだ。
そういうリアリズムが一番欠けているのが、実は「ジャーナリズム」に関わる人々である。ニューヨークタイムスもワシントンポストも、よく見てみると伝えている「事実」にバラつきがある。『産経新聞』と『朝日新聞』の報じている「事実」が微妙に異なっていることを想像してもらえば分かるが、あちらは本当に同じことを取材したのかというくらい偏りがある。
つまり、日常的に「オルタナティブファクト」を撒き散らししているのだ。そう聞くとdisっているように聞こえるかもしれないが、そうではない。
トランプという建前が通用しないおじさんが出てきたので「偏向メディア」とか叩かれているが、実はこれこそが正しいメディアの姿だ。なぜなら、民主主義国家におけるジャーナリストの仕事は「事実」を世に知らしめることではないからだ。
h ttp://www.itmedia.co.jp/business/articles/1702/14/news040_5.html
多種多様な「オルタナティブファクト」を提供する
「事実」を国民に伝えるだけなら、ストレートニュースを機械的に配信するワイヤーサービス(通信社)でいい。こういう事故が起きて何人亡くなりましたとか、どこそこで火事がありましたというだけなら極端な話、政府広報だっていい。
では、ジャーナリストがやるべきことはなにか。「あいつらは話の通じない連中だから叩き潰してわからしてやれ」と頭に血が上っている世論に、「オルタナティブファクト」を突きつけることだ。
つまり、「事実はひとつ」だと思い違いをしている人に、多種多様な「オルタナティブファクト」を提供する。それはネットメディアも同じだ。「デマ」も撒き散らすこともある一方で、ここによって既存メディアがスルーする「別の事実」が浮かび上がるケースも多いではないか。
それこそが最大の役割だ。
ところが、日本のマスコミは『サンデーモーニング』と同じく、「オルタナティブファクトとかありえないっすよね」とか言っている。これほど怖いことはない。
先の女性評論家が「事実はひとつがいい」と発言される前、『サンデーモーニング』では、架空の全体主義国家を描いたジョージ・オーウェルの小説『1984』が今、米国でベストセラーになっているという話題と、「オルタナティブファクト」騒動を結びつけて、「恐ろしいことですなあ」とみんなで眉間にしわをよせていた。
『1984』で描かれた社会に近づいているのは、実は米国ではなく、我々のほうではないのか。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
h ttp://www.itmedia.co.jp/business/articles/1702/14/news040_6.html
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