http://www.asyura2.com/13/kanri21/msg/205.html
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「科学者が放射能騒動に関わらなかった理由」が素晴らしいのですが、原発板に投稿しても大丈夫ですか?
科学者が放射能騒動に関わらなかった理由
http://blogs.yahoo.co.jp/bloom_komichi/66459413.html
原発事故から2年経って、多くの人が癌や奇形をデマと理解してきたこの頃は「事故当初は”チェルノブイリ事故とは性質が違う””健康被害が出るのは瞬間被爆 100 m㏜ 以上で、今回の被曝量は少ない”などと言っていた専門家が、事故後数か月後にはマスコミには出なくなってしまった事が残念」という意見を時々聞きます。
地震や津波の被害に苦しみ、初めて見た原発事故のパニックから「誰かを悪者にしなければ気が済まない」気持ちがマスコミやネットを通じて増幅し、政府や東電社員を罵倒し、科学技術に対する憎悪さえ渦巻いていたあの頃は、インフルエンザ騒動と同じ「振り返ると理解不能な日々」でした。
エセ正義の科学者達など、妙に嬉々としていた方もいましたけど。
あの頃の異常な雰囲気や自分の身の上に降りかかったことを自分自身もあと数年すると忘れてしまう可能性があるので、信夫山ネコさんのブログでコメントした内容を補足しつつ転載します。
http://shinobuyamaneko.blog81.fc2.com/blog-entry-143.html
(元のコメントが掲載されている記事)
私が考える「科学者が放射能騒動に関わらなかった理由」は以下の通りです
(1)ネットによるバッシング
(2)職場への嫌がらせ
(3)職場からマスコミ露出を止めて欲しいという要請
(4)歪んだ正義感に冒されたリアル知人からの罵詈雑言
(5)研究業界のリアル知人との人間関係
(6)「危険」と言う方が思い遣りのある人と取られやすい雰囲気
(7)勉強が面倒
(8)関わっても利益が無い
以下、私が見聞きしたり実際に体験した例を記録しておきます。
放射能騒動に関わるとどのような嫌がらせを受けるか
(1)実名で twitter やブログで発言していた同業者が個人攻撃により鬱になりネット落ちし、一時休職した
(2)実名で twitter やブログで発言していた同業者が個人攻撃に耐えたものの職場に苦情の電話が来たり、研究室に嫌がらせ電話や嫌がらせメールが来て発言を控えた
(3)苦情電話に辟易とした職場やその上部組織からマスコミ露出を止めるように命令された
私は当初は匿名ブログでしか発言していないのですが、原発事故から1年くらいは「人殺し」といった内緒コメントや匿名メールがあって、実際に「放射脳の○○が bloom さんの身元を暴こうとしている」という忠告もあって、家族の身辺にも注意していたし、私自身も警備の手薄になる時間帯やキャンパスに人が少なくなる夏休みはなるべく大学にいないようにしていました。
特に小さい子供のいる人は家族への攻撃を考えると、かなり慎重になるでしょうね。
放射能騒動に関わるとどれくらい人間関係が辛くなるのか
(4)家族や友人、高校や大学の同窓生から「御用学者」と罵られた
(5)放射線生物学に無知な割に変な正義感のある研究業界の大御所に「オマエのような者の顔も見たくない」と言われた
(6)放射線対策や風評被害対策に関る立場の人が「微量の放射性物質では何も起きないので、ある線量以下は対策が不要ではないか」と意見をして「国民の不安に寄り添っていない」と注意を受けた
(4)は某専門家の方から「NHKのあの番組を見た数十年来の友人から”オマエが原子力村の一員だったとは、失望した”と縁を切られた」などと話を聞いて、今は和解出来ていたらいいな・・と思っています。
http://jein.jp/npo-introduction/message/250-appeal4.html
(「追跡!真相ファイル: 低線量被ばく 揺れる国際基準」は生物学者から”科学的な捏造”という指摘多数)
私自身もブログ記事に書いたように父や叔父(物理学者)に罵られ、長年お付き合いのあった同業者からもブログに「科学者としての適性に問題がある」といったニュアンスを含むコメントをしつこく入れられて、結構堪えました。
学会で学生時代からお世話になっていた某教授に「健康被害が起きるに決まっている」と言われ、ひるまず議論をして相手もやや納得して戴いたこともあります。
でも業界全体にかなりの影響力の柳田先生の「微量の放射能に反応する放射能弱者がいたらどうするんだ!」というブログ記事に対しては本人に直接言わずに(直接メールをやりとりするほど親しくないし)、このブログで「あり得ないよ」という記事を書いただけです。
私は教育者でもあるので、仕事上で不利になるだけではなく、学生を守るために面倒を避けた部分もあります。
でも科学者としては、同業者が「福島は危険に決まっている」と酒の席で言っているのに、相手の身分やキャラが怖くて軽くたしなめる程度で済ませた時など、科学を裏切ってしまったように感じて辛くなります。
物理系の人にムラサキツユクサ研究のデマっぽさを説明する時など、一度で理解してもらえそうもない時は一旦引く方が良い場合もあるのですけど・・
NHKのデマ番組もそうですが「危険だと煽って間違っていても責任は取らなくて良い」という間違った感覚が、無駄なエセ正義を増幅させているんですよね。
実際は危険→避難→住居や家族を失う・・というかなりの損失があるので安全も危険も相応の覚悟を持って言うべきことです。
私と揉めた親族も知人も飲み会で危険を煽っていた同業者も根拠があって発言している訳ではないことは、少し話しただけで分かりました。
彼らが福島の復興のために動いた気配もありませんし、もちろん今も反省しているようにも見えないので、ただその時に何か正義っぽい事を言いたかったんだろうな・・と思っています。
放射能騒動に関わるとどれくらい負担が増えるのか
この部分は私の体験を書きます。
(7)微量の放射線が健康被害を起こす可能性が低いことを淀みなく説明するには、分子生物学と細胞生物学の知識が必要で、実験動物を使った解析の経験があり、疫学調査のデータを読む力がある私でも、様々な分野の研究者から情報を集め、最近の論文なども目を通して勉強する必要がありました。また、福島の状況が過去の文献に照らしあわせてどの危険性に相当するのかを判断するためには、様々な観測データに目を通す必要もありました。
(8)私が実名で放射能による被害は小さいと発言したのは2011年10月の授業から、学会や講演など公の場だと2012年5月からですが、私は放射線生物学は専門ではないし、私が専門家だとしても一般人への解説をしたところで国の依頼を受けていない限りは何の業績にもなりません。授業で放射線生物学の基礎を扱うことも特に要請はなく、大学生にとってその知識が必要だと判断したためです。
私は記事を書く時や、質問コメントに対して返事をする時は、万一自分の分析に間違いがあって被害が起きたらどうしよう・・とかなり勉強しても一抹の不安は抱えています。
それでも、自分が福島に住んでいたら家族のためにどのように判断するのか考え抜いた、自分が論文を書く時くらいの「様々な可能性を考えた上での、科学的に妥当と思われる判断」ならば、それを発言することも科学者の義務だと考えています。
ただ「危険」を肯定する方が除染が進んだり補償金が増えたりして福島県のためになるのかも・・という科学とは違う悩みも持っていて、児玉先生の国会泣きなどに対しては判断が遅れた部分があります。
放射能騒動に関わるメリットは無い
このように、放射能騒動に関わってもデメリットの方が大きいので、同業者の多くは学会などで「あの放射線量で健康被害が起きるとは考えにくいよね」などと言いながら関わりを避けてきました。
実際、ここ2年は騒動に巻きこまれた自分の精神が消耗し、時間が取られて研究活動や学生指導がおそろかになり、それでさらに鬱っぽくなった面があるので、面倒に関わらずに研究に集中する方が税金で研究をしている立場としては正しい行動のようにも思えます。
勇気ある科学者達を守るには
福島県の放射線対策に関わって来た山下先生や中川先生はかなりの攻撃に耐えてきたことが想像出来ますし、実際、小出尊師と対決をした小林先生はかなり精神的にタフな方です。
あの先生方の場合は国から放射線アドバイザーの依頼を受けていたり、放射線医学の専門家として発言することや、一般人に放射線について説明することが仕事として認められているので頑張れるという面はあると思いますが、深い科学的な知識と、客観的な科学こそが社会のためになるという信念が彼らを動かしているのだと考えています。
反原発の旗手であったのに「現在の放射線量は危険とは考えにくい」という発言をして裏切り者扱いされた安斎先生は思想より科学に従った、科学者の鑑だと私は思っています。
2年以上経った今は「最初から安全と言ってくれれば良いのに」という話は出ますが、最初の1年の異常な雰囲気を思い出すと、次に似たような問題が起きてもまた沈黙する専門家は多くなると思います。
この問題に関しては何らかの対策が必要ですが、有効な対策は現時点では思いつかないので、記録だけは残しておきます。
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