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関東の地震の震源域/地質調査/延宝房総沖地震の研究/関東で過去に発生した主な地震
(科学の扉)関東で起きる地震 房総沖、「過去最大」の痕跡か
http://www.asahi.com/articles/DA3S11255709.html?iref=comtop_list_ren_n06
2014年7月21日05時00分 朝日新聞
関東大震災をはじめ関東地方で繰り返されてきたマグニチュード(M)8クラスの巨大地震。最近の研究で、これまで知られていたより大きな地震が起きていた可能性が指摘されている。首都圏を直撃する次の巨大地震は、いつどんな規模で起きるのか。
関東地方で、次にどんな大地震が起きるのか。将来を予測するうえで、房総半島にある海岸段丘が注目されている。
岩でできた海岸は、海面付近に波に削られた平らな岩棚があり、大地震で地盤が隆起すると干上がって平らな土地になる。その後、また新たな岩棚ができる。この繰り返しで海岸にできる階段状の地形が海岸段丘だ。
つまり海岸段丘の調査で、過去の大地震のことがわかる。
房総半島南端の千葉県館山市には、7200年前から5回の隆起が確認された段丘がある。1923年の関東大震災(M7・9)では2メートルほどの隆起、1703年の元禄地震(M8・2)などの4回は、それぞれ6メートルだった。地震が大きければ隆起も大きく、元禄地震級が最大だと考えられてきた。
しかし、産業技術総合研究所の宍倉正展グループ長らの最近の地質調査で、房総半島東側の鴨川市から茂原市の海岸に高さ10〜18メートルの海岸段丘が見つかった。関東型や元禄型の地震の繰り返しによる隆起では説明できない高さだった。
宍倉さんは「これまで知られていない巨大地震が房総半島東側で起きていたのではないか」と指摘。相模トラフ沿いで、元禄、関東型とも異なるM8級の地震が数百年の頻度で繰り返されてきたと推測している。
首都圏の地下は、三つのプレート(岩板)が重なる複雑な構造で、様々なタイプの地震が起きる。元禄型は2千〜3千年おき、関東型は200〜400年おきに繰り返されてきたと考えられている。
未知の巨大地震は、どこで起きたのか。もっと大きな地震は起きていないのか。
■津波の高さ17メートル
1677年の延宝房総沖地震が関東最大規模の地震だった――。東北学院大などの研究チームが5月、古文書や津波堆積(たいせき)物の調査などから、新たな説を発表した。地震の規模はM8・34以上、千葉県銚子市の津波は約17メートルにも達したとの内容だ。
この地震は、これまで房総半島沖合の日本海溝沿いで起きたM8程度の地震で、津波は最大10メートル前後とみられていた。東北や愛知県まで津波が到達したとの記録が残されている。不明な点も多いが、宍倉さんが指摘する新たな地震とは異なる。
研究チームは、銚子市に残る古文書の記録をもとに、海岸から約600メートル、標高10メートルにある小畑池(こばたけいけ)の底の堆積物を調査。1108年〜1707年の間に津波で運ばれた砂が積もった層を確認した。
この期間には元禄地震(1703年)もあったが、この場所に津波が押し寄せたという史料などから延宝房総沖地震による津波と判断。地震の規模と津波の大きさをシミュレーションしたところ、この池まで津波が到達するには、地震の規模はM8・34以上で、約17メートルの津波高が必要だとわかった。
延宝房総沖地震が起きた場所では300年以上、巨大地震が起きていない。東日本大震災の震源域に隣接しており、今後、地震が誘発される可能性も指摘されている。
東北学院大の柳沢英明講師は「同じタイプの地震が起きれば、首都圏など太平洋沿岸に大きな津波が押し寄せる可能性があり、対策の見直しを進めるべきだ」と話している。
■最大想定M8.6に
相模トラフ沿いで将来予想される地震について、政府の地震調査委員会は4月、10年ぶりに見直した。最大の地震は、従来のM8・1からM8・6に改めた。発生の確率は「30年以内に0〜5%」との予測だ。
想定の拡大は、地形や地質調査で過去に起きたと推定される地震も考慮に加える予測手法にしたためだ。東日本大震災と似た869年の貞観津波が知られていたのに、東北でM9級の地震を予測できなかった教訓だ。
手法の変更で、考えうる最大規模が相模トラフから首都圏、房総沖までを震源域とするM7・9〜8・6の地震の想定となった。調査委員会は「すぐ起きるわけではないが、起きた時の被害は甚大だ」としている。
関東ではM7級の地震も繰り返し起きている。関東大震災前は活発に起きていたが、以降では1987年の千葉県東方沖地震(M6・7)だけ。今後活発になる可能性が指摘され、政府は南関東でM7級の地震が起きる確率を「30年以内に70%」と予測している。
(北林晃治)
<関東の地下> 陸のプレートの下にフィリピン海プレートが沈みこみ、さらにその下に太平洋プレートが沈み込む3重の構造になっている。プレートの境界や内部、陸のプレート内の活断層といった様々な場所で地震が起きており、「地震の巣」となっている。
<相模トラフ> 相模湾から日本海溝と伊豆・小笠原海溝の境界まで延びる全長約300キロの海底の細長いくぼみ。陸のプレートにフィリピン海プレートが沈み込むプレート境界になっており、過去に関東大震災や元禄地震などの巨大地震が発生している。
<首都直下地震> M8級の関東大震災のほか、1855年の安政江戸地震、1894年の明治東京地震などM7級も多く起きている。政府の想定では、東京都心南部直下でM7.3の地震が起きると死者2万3千人、建物の全壊・全焼約61万棟、経済被害は約95兆円にのぼる。
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