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相模トラフ、多様なM8級を一括評価 房総に謎の隆起…科学的限界も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140519-00000541-san-sctch
産経新聞 5月20日(火)8時0分配信
相模トラフ(浅い海溝)沿いで懸念される大地震の新たな長期予測を政府の地震調査委員会が公表した。想定外の巨大地震が起きた東日本大震災の教訓から、震源域を大幅に拡大。首都圏に甚大な被害をもたらすマグニチュード(M)8級が30年以内に起きる確率を最大5%と推計し、防災への取り組みを促した。(黒田悠希)
■鎌倉時代にもM8
相模トラフは、神奈川県沖の相模湾から千葉県・房総半島沖に延びる全長約300キロの浅い海溝。首都圏を乗せた陸のプレート(岩板)の下に、南からフィリピン海プレートが沈み込む場所だ。プレート境界などにひずみがたまり、M8級の海溝型地震やM7級の首都直下地震が繰り返し起きる。
M8級は、震源域がトラフ沿いの広範囲に及んだ1703年の元禄関東地震(M8・2)と、その西側半分の相模湾周辺で発生し関東大震災を起こした1923年の大正関東地震(M7・9)が知られていた。従来予測ではこの2つのタイプが繰り返し起きるとし、平均発生間隔は元禄型が2300年、大正型が200〜400年と推定。30年以内の発生確率は元禄型がほぼ0%、大正型がほぼ0〜2%と個別に算出していた。
新予測では、津波堆積物や沿岸地形などの最新の研究成果を活用。鎌倉時代の永仁(えいにん)関東地震(1293年)を大正型とほぼ同じタイプと評価したほか、5400年前から2400年前までの3千年間に9回のM8級が起きたと推定した。
■房総に謎の隆起
未知の地震の可能性も検討した。房総半島では、南部沿岸の隆起年代が内房と外房で異なり、外房だけを隆起させる地震が南東沖で過去に起きた可能性がある。また半島中部の外房側に元禄型や大正型では説明できない隆起があったことや、神奈川県南西部の活断層「国府津(こうづ)−松田断層」が、永仁関東地震などのM8級と同時に動いたらしいことも分かってきた。
このため調査委は、相模トラフで起きるM8級は元禄型や大正型に限らず、多様性があると判断。沈み込むフィリピン海プレートの構造から、科学的に起こり得る最大級の地震(M8・6)の震源域を推定し、この範囲内でM7・9〜8・6の地震が起きる確率を30年以内にほぼ0〜5%と一括して推計した。M8・2以上の地震は過去の元禄型の発生間隔などを考慮し、ほぼ0%とした。
確率は従来の最大2%から5%に上昇したが、新たに取り入れた地質などのデータは確実性が低いため、切迫度は実質的に変わらないという。
30年以内に70%程度とされる南海トラフ地震と比べて確率は低いが、中央防災会議の被害想定では大正型で最悪死者7万人、経済被害160兆円とされた。調査委の本蔵義守委員長は「影響の大きさを考えれば低い確率と思ってほしくない」と警鐘を鳴らす。
■歴史記録も反映
元禄型や大正型が起きる数十年前には、首都圏でM7級が繰り返し起きたことが知られている。関東大震災から既に90年が経過しており、M7級の首都直下地震の切迫度は高い。国の中央防災会議は都心南部直下地震(M7・3)が起きた場合、最悪で死者2万3千人、経済被害約95兆円との想定を昨年公表した。
活断層を除くM7級の発生確率は従来、明治以降に起きた5つの地震を基に計算していたが、江戸時代にさかのぼって天明小田原地震(1782年)や安政江戸地震(1855年)などを追加。元禄関東地震以降にM7級が9回起きたとして平均発生間隔を27・5年と算出した結果、M6・7〜7・3が30年以内に起きる確率は70%で、従来と同じになった。
新予測には科学的な限界もある。例えば、未知の地震が起きる可能性が指摘された房総半島の南東沖は、実際にひずみの蓄積が観測されているが、単独で地震が起きた記録がないため確率の計算には反映されていない。今後の解明が待たれる。
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