05. 2014年4月24日 00:33:53
: nJF6kGWndY
>>01 これの詳細と真偽は? http://karapaia.livedoor.biz/archives/52160449.htmlhttp://scienceminestrone.blog.fc2.com/blog-entry-44.html 大気に新たな層「ヒドロキシシールド」を発見 オゾン層破壊との関連も 2014/04/06 23:49 地球の大気で最も下層に位置する対流圏に、新たな層である「ヒドロキシシールド (OH shield)」が発見された。これは成層圏の中にあるオゾン層の破壊と深い関係にあるのではないかと指摘されている。 プレスリリース:Alfred Wegener Institute, Helmholtz Centre for Polar and Marine Research "Like a giant elevator to the stratosphere" (3 Arp 2014) OH-Hole.jpg ヒドロキシ基の密度の分布図。赤は濃く、青は薄い。ヒドロキシ基の密度が濃い部分は、薄い部分と比べてハロンや二酸化硫黄の濃度が薄い。 画像引用元 (Alfred Wegener Institute, Helmholtz Centre for Polar and Marine Research) オゾン層は太陽から放射される強烈な紫外線を防護してくれる盾である。生物の陸上進出を促したのもオゾン層だ。しかし、現在オゾン層は特に南極地域を中心に薄くなっている。これは主にフロンやハロンなどのオゾン層破壊物質が人間の経済活動によって放出されたためである。フロンやハロンは化学的に安定な物質であり、冷媒としての機能が高かったことから昔は多く使われた。しかしその安定性から、大気中に放出されても大半が分解しない。しかしオゾン層の領域まで飛べば、紫外線によって分解して塩素イオンなどの活性の高いイオンを放出する。これがオゾン分子を分解してしまう結果、オゾン層が薄くなる。オゾン層が薄くなれば地表に届く紫外線が増える事になり、人間を含めた地上や浅海の生物の目や皮膚に深刻な影響を及ぼしかねない。 ところで、オゾン層が薄くなっているのは大気循環的な影響で特に南極地域であるが、それ以外にもいくつか局所的に薄くなっている場所が存在する。その1つが日本のはるか南側、東南アジア地域にある熱帯西太平洋上空である。しかし海の上であるため、この地域のオゾン濃度はあまりよく調べられていなかった。 Markus Rexは2009年10月に無人気球を用いて、あまり調べられていない熱帯西太平洋上空の微量物質を調べていた。合計で1000回の調査の結果、驚くべき事が判明した。微量物質の内、オゾン濃度が上空15kmまで10ppbvの検出限界を常に下回ったままであった。通常、この高さまでの大気に含まれるオゾン濃度が30ppbvから100ppbvな事を考えると、これは異常に薄い。あまりな結果を跳ね返したので、最初は計器の故障を疑ったぐらいである。 この上空で何が起こっているのか、複数の研究と今回の測定結果を突き合わせた結果、1つの結論が導かれた。大気で最も下層に位置する対流圏には、ヒドロキシ基 (OH-) を大量に含む層があり、大気下層部のオゾン濃度と相関がある事を突き止めたのである。大気の新たな層の発見であり、Rexはこれを「ヒドロキシシールド (OH shield)」と名付けた。 ヒドロキシ基は活性の高い分子であり、この事は重大な意味を持つ。ヒドロキシ基は単独では不安定な分子であり、他の大気分子と結合して安定になろうとする過程で、相手方の分子を破壊してしまう。ほぼなんでも分解してしまうヒドロキシ基を含むヒドロキシシールドが対流圏上空にあるので、ここを通過する分子はなんであれ破壊されてしまい、成層圏に達する頃には分解されている。成層圏のオゾン層へのいわばシールドである。しかし、ヒドロキシシールドにも濃度の薄い穴である「ヒドロキシホール」がある。ヒドロキシホールを通るハロンは分解されずに成層圏に達し、成層圏における大気循環で世界中に拡散される。実際、ヒドロキシ基の濃度が濃い所ではハロンが少なく、逆にヒドロキシ基の濃度が薄い所ではハロンが多かった。 実は、オゾン層破壊のプロセスはかなり詳細に分かってきているが、多くの理論モデルは実際のオゾン層破壊のスピードと相関してなかった。大抵理論より実態の方が破壊速度が速かったのである。しかし、ヒドロキシホールを考慮した大気循環モデルならば、実際のオゾン層破壊速度とよく合う結果が導き出される。ハロンの多くはヒドロキシシールドを通過しなが、安定性の高いメタンや亜酸化窒素はヒドロキシシールドでもあまり分解されずに通過するために影響は対して変わらないなどの差が出来るためである。 ヒドロキシシールドがハロンを分解してくれる事が良い事であるのに対し、二酸化硫黄の分解は悪い事になってしまうらしい。二酸化硫黄が分解されて単体の硫黄粒子が形成されると、これが成層圏に達した場合には太陽光を反射するエアロゾルとなる。これは二酸化炭素が赤外線を吸収して地球温暖化を促進するプロセスとは逆である。一見すると、地球温暖化の逆を張る硫黄エアロゾルは望ましいように見える。しかし、大気科学というのはそうも単純な話ではなく、非常に複雑なプロセスの絡み合いである。故に硫黄エアロゾルが成層圏で増えれば、単純に地球温暖化と拮抗してくれる保証はどこにもない。 ところで、熱帯西太平洋上空ではなぜヒドロキシホールがあるのか。対流圏におけるヒドロキシ基の生成はオゾンの生成で起きる化学反応の副産物である。そして対流圏におけるオゾンは、大気中に窒素酸化物があると良く生成される(念のため言うと、オゾン層がある成層圏でのオゾンの生成は今から書く事とは全く異なるプロセスである)。大気中の窒素酸化物は、雷によって窒素が分解されてできる天然由来のものと、工場や自動車の排ガスなどの人間の活動による人工由来なもののいずれかである。しかし熱帯西太平洋上空は、雷の発生回数が少なく、海の上に工場も自動車もあるわけがなく、それらがある陸地から風に乗って運ばれてくる量も少ない。このためにまずオゾンの生成量が元々少ない。加えてこの地域特有の温暖湿潤な気候は、オゾンの寿命を短くする。結果としてオゾンの少ない所でヒドロキシ基の生成量も少ない結果、ヒドロキシホールが出来るのである。 しかし、上記の難しい話を脇に置くと、日常生活においてヒドロキシシールドの存在はどうも良いものであるらしい。私たちは森、海、街といった場所場所でのにおいが異なる事を感じている。これは、大気循環で物質が均一に混ぜられてる事を考慮すると、考えてみれば変な話である。しかし、ヒドロキシシールドが対流圏にあると、上空に舞い上がった各種のにおいの元となる分子が分解されて再び下層に降りて均一に混ざる事が無くなる。どうもにおいの違いが生まれるのはヒドロキシシールドがあるためらしい。これが無ければ、せっかく都会の喧騒を離れて田舎にリフレッシュに出てもかなりつまらないものになっていただろう。 |