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M7級の首都直下地震に備えよ 全壊・焼失61万棟、死者2万3000人 中央防災会議想定[地震]
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38329
2014年02月11日(火) 毎日フォーラム
最大で全壊・焼失家屋61万棟、死者2万3000人、被害総額約95兆円――政府の中央防災会議の作業部会は昨年末、首都直下地震のこんな被害想定とその対策を発表した。発生が切迫しているとされるマグニチュード(M)7クラスの都区部直下の地震の中で、被害・影響が最も大きいと考えられる都心南部直下地震を主眼に検討した。建物の耐震化の推進や出火防止策の強化などを講じれば被害は大幅に減るとし、しっかりとした備えが重要、と指摘する。
中央防災会議は05年、東京湾北部を震源とした地震を想定して首都直下地震対策大綱を、06年に首都直下地震応急対策活動要領などを決定した。その後、避難者・帰宅困難者対策などを加え、追加・修正したが、11年3月の東日本大震災を受けて「あらゆる可能性を考慮した最大クラス巨大地震・津波」を検討すべきだとして、これまでの研究成果や最新の科学的知見を踏まえ、見直しを進めた。
作業部会は今回、30年間に70%の確率で起きるとされるM7クラスの首都直下地震について発生場所別に19のタイプに分け、その中でフィリピン海プレート内で起きるとみられる都心南部直下、都心東部直下、都心西部直下、千葉市直下、川崎市直下、東京湾直下などM7・3の10地震をメインに、相模トラフ沿いのM8クラスの大正関東地震(関東大震災)タイプや最大クラスの地震も加えて検討し、報告書を発表した。
その結果、首都直下地震の中でも、被害が大きくなり首都機能に多大な影響を及ぼすとされる都心南部直下地震を被害想定や防災・減災対策の主な対象にした。大正関東地震など相模トラフ沿いのM8クラスの地震については、発生の可能性は低いものの長期的な対策として考慮の対象とするとした。
今回示された想定では、M7・3の都心南部直下地震が起きた場合の最大震度は、東京都江東区、江戸川区で震度7、東京都区部のほとんどと多摩地域の一部、千葉市の一部と千葉県東部の地域、さいたま市の一部と埼玉県南部、川崎市、横浜市と神奈川県中西部の一部地域が震度6強、この地域を囲む広い地域で震度6弱――などとなり、震度5強となる地域は茨城、群馬、栃木、埼玉など関東地方の全都県の一部や山梨、静岡県の一部にも及んでいる。最大震度7の地区は前回の大綱にはなく、震度6強のエリアも前回より1・5倍に広がった。
被害想定は冬の夕方、冬の深夜、夏の昼の3時間帯で、それぞれ風速が毎秒3メートルと8メートルとして計6ケースで検討。このうち、被害が最も大きくなるとみられる冬の夕方、風速が毎秒8メートルの場合、揺れによる全壊家屋が最大で、東京都の10万5000棟をはじめ合計で約17万5000棟、液状化による全壊が約2万2000棟、急傾斜地崩壊による全壊が約1100棟、地震火災による家屋焼失は東京都が22万1000棟、全域で約41万2000棟とし、最大約61万棟が全壊・焼失するとした。このほか、ブロック塀等の転倒8万件、自動販売機の転倒1万5000件、屋外落下物がある建物は2万2000棟とした。
人的被害としては建物の倒壊による死者が約6400人、焼死者が8900〜1万6000人で、倒壊、火災など合わせた死者は1万6000〜2万3000人。負傷者は11万2000〜12万3000人で、建物の被害によって救助が必要になる人は5万8000人と想定した。要救助者は冬の深夜の場合には7万2000人にもなる。東京湾北部地震で冬の午後6時、風速15メートルで想定した前回の大綱では、全壊・焼失家屋が約85万棟、死者約1万1000人、負傷者21万人としており、建物被害と負傷者数は減ったものの死者数は増えた。
ライフラインは、電力が発生直後に約5割の1220万軒で停電。火力発電所の復旧には1週間〜数ヶ月を要するとした。上水道は最大で給水人口の約3割の1440万人が断水の被害にあい、解消まで約1カ月かかる。通信面では固定、携帯電話とも不通の状態が1日程度続く。携帯電話も停電が長期化した場合、基地局の電源の電池切れや燃料切れで利用できなくなるエリアが出る。都市ガスは全半壊や焼失家屋を除いて被災直後は約17%の158万7000戸で供給停止となり、供給支障が解消されるには約6週間かかるとしている。
このほか、断水・停電の影響を受けて、被災2週間後には避難者が最大で720万人になると予想。また、平日の12時に地震が発生し、公共交通機関が全面的に止まった場合、一時的に外出先に滞留することになる人は東京都内で940万人、東京都市圏では1700万人になる。一時的な混乱が収まった後でも東京都内で380万〜490万人、東京都市圏では640万〜800万人の帰宅困難者が出るなどとした。
地震による被害額は、被災地で民間、公共部門合わせて47・4兆円、生産・サービス低下などによる全国的な経済活動で47・9兆円となり、被害総額は計95・3兆円になると算出している。これとは別に道路の寸断による機能停止が6カ月で5・6兆円、鉄道が同2・1兆円、港湾の機能停止1年で4・5兆円の被害になるとの試算が出た。
報告書では事前防災発災時の対応の備え、初期対応など対策の方向性なども記したが、その中で注目されるのが建物施設の耐震化等の推進と延焼防止対策。全壊17万5000棟と試算した08年の耐震化率は全国で79%、東京都で87%だったが、耐震化率を全国で90%、東京都で94%にアップすると全壊は9万8000棟と約44%も減り、耐震化率が全国、東京都ともに100%になると全壊は2万7000棟と約85%減になるという。また、感震ブレーカーなどの設置による電気出火の防止で焼失棟数は約5割減り、初期消火率の向上を合わせれば焼失家屋は9割以上減る、とのデータも示した。
このことなどから、いずれの被害もしっかりと備えれば多くを防ぐことができ、仮に発災したとしても落ち着いて行動することにより混乱を避けることはできる。地震に対しては、正しく恐れ、しっかりと備えることが重要である、と結んでいる。
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