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ほかに地震の巣はないか 大地震の「定説」見直す動き
http://www.asahi.com/articles/TKY201310300465.html?ref=com_fbox_d2
2013年10月31日09時18分 朝日新聞
政府や自治体が警戒する南海トラフや日本海溝など以外に、大きな津波を起こす地震の巣はないのか。東日本大震災の教訓から、定説に疑問を投げかける研究が広まっている。南海トラフの巨大地震とされている1605年の慶長地震は別の場所で起きたものではないのか。伊豆・小笠原海溝は無警戒でいいのか。
■慶長地震「南海トラフではない」
今月、横浜市で開かれた日本地震学会の秋季大会で、石橋克彦・神戸大名誉教授らは、慶長地震は伊豆・小笠原海溝の巨大地震とする仮説を提唱した。南海トラフの巨大地震は、関西や東海、四国などに被害の記録がある1614年の地震だとした。
慶長地震の津波の記録は各地に史料が残されているが、西日本で揺れの記録がほとんどない。繰り返されてきた南海トラフの他の地震とは違うタイプで、揺れに対して津波が大きい「津波地震」とされてきた。
石橋さんは、京都で揺れの記録がないが、関東の揺れや房総半島の太平洋岸に津波の記録があることに着目。太平洋プレート(岩板)がフィリピン海プレートに沈み込む伊豆・小笠原海溝のマグニチュード(M)8〜9の巨大地震ならば説明できると考えた。
小笠原で地震があると、西日本は揺れなくても、遠くの関東や東北での揺れが大きい「異常震域」という現象が起きる。固い太平洋プレートを通って地震波が伝わる北側は揺れが弱まりにくく、軟らかい層で地震波が伝わりにくい西側は揺れが弱まりやすいためだ。
2010年の父島近海の地震(M7・8)では関東や東北で震度2だったが、愛知県以西は揺れが観測されなかった。伊豆諸島や静岡県以西の太平洋側に津波注意報が出され、父島と神津島で津波が観測された。
仮説をもとに、東京大の原田智也特任助教らは伊豆・小笠原海溝で津波が起きると、各地でどれくらいの高さになるか試算した。12カ所の震源域を組み合わせて試した結果、鳥島の東側の100キロ四方の領域のM8・4程度の地震、海溝の東側の細長い領域のM8・2程度の地震の場合、記録に残る慶長地震の津波の高さと最も一致した。
石橋さんは「検証には、伊豆や小笠原諸島で津波の痕跡の調査、関東や東北の揺れの記録などを調べる必要がある。南海トラフの巨大地震の将来予測に大きく影響するので調査を深めるべきだ」と話している。
9月に秋田市で開かれた歴史地震研究会で、地震予知総合研究振興会解析部の松浦律子部長も慶長地震について「南海トラフの地震ではない」と発表した。
慶長地震、昭和の東南海地震(1944年)、南海地震(46年)を特異な例として除けば、南海トラフの巨大地震は200年に1回程度の間隔となり、その方が素直な考え方だという。
松浦さんは「慶長地震を南海トラフの地震と考える方が不思議だ。南海トラフの地震が100年に1回発生したという先入観があるためではないか」という。
慶長地震の津波の発生源は、インドネシアやパプアニューギニア、フィリピンなどで起きた地震と想定。揺れの記録については、戦乱が続いて正確に伝わっていなかったとみている。
■足し算よりかけ算で
地震学会では、世界のプレート境界での地震を洗い直す発表もあった。
静岡大の生田領野(いくたりょうや)助教らは、プレートの動く速度と過去111年間の地震計の記録などから、エネルギーがたまりやすい場所を解析。M9級の巨大地震を起こす恐れがあるのが日本近海も含めて17カ所あった。
伊豆・小笠原海溝について、生田さんは「過去の地震のデータが少ないが、地震や津波があることを考えておく必要がある」と指摘する。南西諸島(琉球)海溝もエネルギーがたまっている可能性があるという。南海トラフは近年、大きな地震がなく、今回の解析の対象にならなかった。
東京大の井出哲教授は、1990〜2011年の約10万の地震とプレートの沈み込み速度との関係を117の領域にわけて調べた。
南海トラフのように普段は地震が少ないが巨大地震が起きる場所と、大小様々な地震が入れ子状態に多重構造で起きている場所に分類できた。後者では比較的小さい地震が多く、大きな地震が観測されていない場所でも、東北沖のように巨大な地震の震源域が隠れている可能性があるという。
井出さんは「隣り合った領域の単純な連動地震ではなく、震源域は入れ子状態になっており、地震は足し算ではなくかけ算で起きる。従来の常識にとらわれず、いろんなパターンを考えるべきだ」と話す。(合田禄、編集委員・黒沢大陸)
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