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(今さら聞けない+)富士山は噴火するか?
http://www.asahi.com/be/articles/TKY201308280101.html
2013年8月31日 朝日新聞
■いつかはするが、今は兆候なし
【編集委員・黒沢大陸】世界遺産に登録された富士山。周辺で変わったことが起きると、すぐに噴火に結び付けられます。
「富士山噴火の危険兆候」「噴火可能性100%」「2012年 富士山はここから噴火する」
こんな見出しが週刊誌をよくにぎわせます。富士山は活火山ですから動きはあります。でも、取りざたされる「異変」は、本当に噴火の兆候なのでしょうか?
例えば、河口湖の水位低下。湖底に亀裂が入り、水が吸い込まれたため、などと読み解かれています。見慣れない湧き水が出ると、地下からの熱で凍土が解けて流れ出したとか、地下水がマグマに押されて出たなどと説明されます。地表の地割れや陥没、洞窟の氷の減少などもよく指摘されます。
しかし、気象庁や多くの専門家は「これら変化が火山活動と本当に関連しているのなら、地震や地殻変動の観測網で探知されるはず」と重要視していません。
1900年以降、世界でマグニチュード9級の地震が起きた後、周辺で火山が必ず噴火していることも気になります。ですが、東日本大震災を受けた噴火があるとしても、それが富士山である必然性はありません。日本には活火山が110もあるのです。
ではなぜ、富士山ばかり続々と「異変」が見つかるのでしょう。研究者は「他の山も似たことはあるが、富士山のように熱心に探さないし、見つかっても騒がれないから」と指摘します。いわば、何かあればすぐ話題になる売れっ子の芸能人や著名な政治家のようなものでしょう。
ただ、いずれ噴火すると火山学者たちは考えています。地下25キロ付近より深いところにマグマだまりかも知れない高温の場所も見つかっています。
専門家が驚いたのは、2000年と01年に、地下15キロ付近で多発した低周波地震でした。マグマの動きに関連していると考えられ、富士山が活火山だと再認識されて噴火対策が進められました。08〜10年には地下の膨張を示す地殻変動がとらえられました。これらがまれな事件なのか、昔からあった現象が観測網の充実で見つかっただけなのかはわかりません。
11年3月15日には、東日本大震災に誘発されたと考えられる地震が直下で起き、関係者を青くさせました。地震で地下のマグマだまりに大きな力がかかったという計算も発表されましたが、すぐに噴火するほどの状態ではなかったようです。
噴火が近づいたら、前兆はあるのでしょうか。突然起きる地震と違い、火山は地下から上がるマグマが地震や地殻変動が起こすため、予知しやすいと言えます。00年の有珠山や三宅島の噴火では、気象庁が事前に警戒を促しました。1707年の富士山の宝永噴火のときには、1カ月ほど前から地震が多発しました。ただ、次も同様とは限りませんし、噴火で溶岩が出るのか、火山灰や火砕流なのかも事前にはわかりません。
史料に残る富士山の噴火記録は、はっきりしているものだけで781年以降に10回あります。小規模な噴火が圧倒的に多く、大量の溶岩を噴出した864年の貞観噴火や関東一帯まで火山灰が降った宝永噴火のような例はまれです。とはいえ、この噴火後の300年という長い空白期間にマグマが蓄積したとも考えられ、次が小さいとは言いきれません。
富士山は、気象庁が24時間体制で監視する47火山のひとつです。最新の発表では、一時活発だった地震も減り、地殻変動に異状はなく、噴気も観測されず、「火山活動に特段の変化はなく、噴火の兆候は認められない」です。噴火警戒レベルも5段階で一番低い「レベル1 平常」が、レベル発表を始めた07年から続いています。
■記者のひとこと
「最近地震が起きた宮城県沖と三宅島、淡路島を結ぶ二等辺三角形の中心が富士山」「世界遺産登録で早まる噴火」。こんな目の引き方が巧みな記事もありました。でもこういった科学的に疑問のある内容と、観測結果や災害予測図が一緒に出されると、読み手の混乱が気になります。
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