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地震で何が忘れられているか
東京でM6程度の地震が起こっても、それが普通の起こり方、つまり、震源深さが30キロ程度とかまたはもっと深ければ多分ほとんど問題はないのだろうと思う。(しかし、実を言うとM6程度でも影響があるのかも知れないとの疑念は消えていない。)ともかく、震源が浅いとき、多分、かなり大きな影響があるはずなのだ。もし、M6程度でも震源深さが20キロ程度の浅さの時、震源域の上にある建物はかなり影響を受ける。これは、通常の揺れがS波、横波によるもので、日本の耐震基準はこの横波によって起こされる揺れに対応しているが、震源域が浅いときに、その震源域の真上で強く影響が出るP波(縦波)には全く対応していないからだ。
いろいろ記録を見ていると、アメリカで起こった地震(ノースリッジ地震:1994年、M6.4、震源深さ15キロとかロマ・プリータ地震:1989年、M7.0、震源深さ19キロ)とか、日本の兵庫県南部地震(1995年、M6.3、震源深さ16キロ)、東北地方太平洋沖地震(2011年、M9.0、震源深さ24キロ)などでは縦波の影響があったように思える。一つの特徴は鉄筋コンクリート建造物の座屈被害が多いことだ。
とても不合理に思えるのが、現在使われている地震計で計測できない高周波の地震波による影響が無視されていることだ。これは当然縦波の影響が大きく、簡単に言ってしまえば、直下型の地震による縦波被害は今までほとんど検証されていず、また対策も立てられていないということだ。
なお、このことに関し、アメリカでは既に対策がたてられているのではないかと感じる。例えば、地盤の液状化について、日本では1964年の新潟地震で鉄筋コンクリート製の4階建てアパートが地面に沈み込んでいく現象を実際に経験してその後対策が打たれるようになったが、アメリカではかなり早い時期にこの現象があることが指摘されている。ウィキペディアの「液状化現象」のページ(http://en.wikipedia.org/wiki/Soil_liquefaction)には、”In soil mechanics the term "liquefied" was first used by Hazen[1] in reference to the 1918 failure of the Calaveras Dam in California.”という記述があり、1920年には液状化についてかなり正確な理解がされていた様子だ。
首都直下地震が2016年ごろまでにかなりの確率で起こるという。この言い方はあまりに大雑把で、単に大変だというイメージしか浮かばない。しかし、幾つかはっきりしていることがある。
一つは関東地方の地下が大きなお鍋のような形の岩盤に軟らかい地層が詰まっている、いわゆるプリンのような構造になっていることだ。だから、揺れが長く続くし、周囲の岩盤で地震波が反射し、時にはそれが重なって振幅が大きくなり強い揺れになることがある。
もう一つは、近代都市、つまり、ビルが立ち並び、地下鉄網が広がった、そして、乗用車が路上にあふれる環境が大きな地震に直撃される事例が今まで世界中でなかったことだ。つまり、どんな影響があるかは分かっていない。1923年の関東大震災、避難の人たちであふれかえっていた陸軍本所被服廠跡地で火災旋風が起こり、何万人もの犠牲者を出したが、それと同じように、全く予期していなかった被害が発生する可能性がある。
首都直下地震では震度7の地域が出るとの予測もされている。そして、不思議なことに、これについて、地盤の不同沈下の被害があまり考慮されていないと思う。例えば、高層ビルはそれなりの堅固な地盤にまで杭を打って建設されるが、そういった地盤そのものが隆起したり沈下したりする可能性がある。そこへ何分にもわたる揺れが続けばどんな被害になるかは予測がつかない。
だから、結局、一番の対策は事前避難であり、首都機能移転が最も確実な震災対策だということではないだろうか。
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