10. taked4700 2013年8月08日 19:23:00
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: dlm5KpB49g
2008年の記事です。かなり古いものですが、ある程度詳しい仕組みが分かります。重要な点は、 >気象庁の地震計約200と防災科研の約800、合わせて全国で約1000カ所にあり、約20km間隔に設置されている としていることです。海底は当然ずっと密度が少ないのですが、今年は2013年でこの記事の書かれた時点から5年後、311の地震が起こってから2年後であり、海底地震計も以前より充実しているはずです。 つまり、コメント8の「三重県南東沖に設置してあります海底地震計のノイズを、地震の揺れとして取り込んで計算したことによるもの」ということであれば、同時に複数の海底地震計でノイズを取り込んだか、または伝送ケーブルにそういったノイズが乗ったかしたことになりますが、どちらにしてもデータにはヘッダーとかそういったものが付くわけで、データと電気的ノイズは明確に異なり、こんなことがあるわけがありません。 http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/special/329/index3.html ここ2、3年、全国各地で大きな被害をともなう地震が続くなか、揺れが到達する前に震度や余裕時間を知らせる「緊急地震速報」に対する関心が高まっている。そこで、「緊急地震速報について」と題した、特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会(以下REIC)の藤縄幸雄(ふじなわ・ゆきお)氏の講演を紹介しよう。本講演は2008年7月23、24日の両日、東京・中央区のNTT茅場兜ビル・コミュニティプラザ人形町において開催された、『事業継続対策(BCP)セミナー』(主催:NTT東日本−東京中央、協力:事業継続対策コンソーシアム)の一部である。 一部には、速報の効果に対して疑問を持つ向きもあるが、まずその誤解をとくために、藤縄氏は緊急地震速報に2つの種類があることを説明。そして、緊急地震速報は普及がはじまったばかりの段階であり、今後の取り組みによって、さらに早くさらに正確な速報が可能になると指摘する。 文/二村 高史、写真/新関 雅士 2008年10月2日 地震波には大きく分けて、初期微動と言われるP波と大きな揺れを引き起こすS波がある。P波の速度はS波よりも速いため、S波がやってくる前にP波を震源近くで検知し、地震の規模や位置の情報を的確に伝達するシステムができれば、大きな揺れが起きる前に対策を実行することができる。 そうした発想のもとに開発が進められてきたのが、緊急地震速報である。 緊急地震速報を利用したシステムが実用化されつつある 藤縄 幸雄氏 藤縄 幸雄氏 日本全国にある地震観測網を利用し、そのデータを素早く収集して必要な情報をつくり、発信するという事業は、昨年の10月より既に国レベルで行われており、気象庁が運用してきた。 しかし、地震の被害を食い止めるには、ただ情報を出すだけでは不十分だ。大切なのはその情報の活用方法である。緊急地震速報(高度利用者向け)を受け取ると同時に、エレベーターを減速・停止させたり、工場内の危険な作業を停止したりするシステムがあれば、余裕時間が短くとも地震による被害を減らすことができる。 そこで、特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会では、防災科学技術研究所(以下防災科研)から委託を受け、消防、学校、工場、集合住宅、一般家庭などで利用できるシステムを、これまでに14種類開発。民間の力を借りることで、そのうちの11種を製品化した。一例を挙げれば、家庭におけるアラーム発報、ホテルにおけるエレベーター閉じ込め対策、屋外作業をする人のための危険回避などである。 そして、昨年10月1日から、テレビ、ラジオにおける一般利用者向けの緊急地震速報の放送が始まった。すでに、「○秒後に震度○程度の地震が起きます」という放送を、テレビ、ラジオで見聞きした方もいらっしゃるだろう。おそらく、大半の方にとって緊急地震速報イコール、テレビ、ラジオによる一般利用者向けの速報ではないかと思う。 だが、残念なことに、そこに緊急地震速報に対する誤解の原因があるのも事実である。実際に、緊急地震速報が放送されたときには、既に揺れた後だったということも少なくない。そうした報道がされるたびに、「これでは、まったく役に立たないではないか」という非難を浴びるわけである。 緊急地震速報は使えない?−−2種類ある緊急地震速報 まず、知っておいていただきたいのは、緊急地震速報には2種類あるということだ。 1.一般利用者向け緊急地震速報 2.高度利用者向け緊急地震速報 テレビやラジオで放送される速報は、1のタイプである。全国を約200地域に分けて速報を出すために、かなり大まかな情報と言ってよい。また後述するように、情報の確実性を重視するために、一方で速報性にやや欠けるというデメリットがある。 2は、自分が現在いる場所で、どのような震度の地震がいつ来るかを知らせるものだ。地震発生直後には情報の誤差があるが、速報性は高い。情報の正確性は、時間がたつにつれて増していく。 では、システムの運用面から見て、一般利用者向け緊急地震速報と高度利用者向け緊急地震速報にはどのような違いがあるのか。地震発生直後の経過をもとにして説明していこう。 地震が発生すると、まず1つの地震計が揺れを感知する。この時点では、震源や地震の規模はそれほど正確には分からない。やがて、ほかの地震計も次々に揺れを感知していくことによって観測の幅が広がり、震源や規模をより正確に特定していくことができるわけだ。 もちろん、気象庁のコンピューターから震源や規模に関する情報が順次発信される。その際、高度利用者向け情報対応システムには、早くから情報が伝達される。 しかし、テレビやラジオで放送される一般利用者向け緊急地震速報は、そうではない。P波が2箇所以上の地震計で観測され、最大震度が5弱以上と推定されて初めてしかも一度だけ発表されるのだ。 必然的に伝達が遅くなり、震源の近くでは、すでに揺れてから緊急地震速報が流れるケースがまま起きることになる。これが、「緊急地震速報は使えない」という不評の原因となっているのである。 緊急地震速報の効果 緊急地震速報は徐々に改良が進められてきたが、まだまだ改良の余地がある。 「では、テレビやラジオでも早くから情報を出せばいいではないか」という人もあるだろう。だが、マスメディアから流れる情報という性格上、誤報を避けなければならない。そのために、ある程度時間がたって、地震であることが確定してから情報を流すわけである。 誤報や誤差が度をすぎると、情報自体の信頼性が揺らぎ、やがて国民が緊急地震速報自体を信用しなくなる恐れがあるからだ。 一般利用者向け緊急地震速報の速報が揺れに間にあわなかった理由 では、今年7月24日の深夜に発生した岩手沿岸北部を震源とする地震を例にとって説明しよう。マグニチュード6.8を記録し、最大震度は6強の地震で ある。 地震であると検知したのは、0時26分35秒。気象庁の地震計のうち2点で揺れを検知すると、地震だと判断するアルゴリズムになっている。地震以外の揺れと判別するためである。 しかし、そのまま第1報が出るわけではなく、第1報がでたのは4.1秒後であった。誤報を出さないために、何点かの揺れをもとに計算するためである。 高度利用者向けシステムを使っているユーザーには、この時点で震度や余裕時間の推定値が示された。 一方、テレビやラジオで緊急地震速報が流されたのは20秒後であり、第6報をもとにしたものだった。残念ながら、震源に近い地域では、すでに揺れている状態で速報に接したことになる。ただし、震源から遠い首都圏では十分に間にあった。 一般利用者向け緊急地震速報 これは、2008年5月8日に発生した茨城県沖を震源とした地震の例。震度5弱と判断されたのは、岩手沿岸北部の地震よりもさらに遅い60秒後。第1〜8報の予測では震度5弱に達しなかったために、テレビ・ラジオに情報が流れなかった。 それにしても、20秒後、60秒後というのは遅すぎるといわれても、仕方がないところである。 最初からマグニチュード6.9という値が予測されていれば、もっと早くテレビやラジオでも速報が出たはずである。だが、地震発生直後の最初の予測値ではマグニチュード5.8という小さいものであり、それでは最大震度5弱には達しないと推定され、20秒後、60秒後までは、設定のとおり情報が出されなかったのだ。 しかし、時間がたつにつれてマグニチュードの推定値が大きくなり、そこで初めて一般利用者向け緊急地震速報に情報が出されたというわけである。 この地震は震源が深かったために、地表に揺れが伝わるまでに比較的時間がかかった。そのため、第1報の段階で速報が伝わる高度利用者向けシステムでは、ほとんどの地域で、揺れの前に情報が入っていた。 だが、一般向け情報は、上記のような理由によって、震源近くでは間に合わなかったのである。現時点では、誤報を防ぐためにはやむを得ない措置であり、これだけ見て「役に立たない」と断じていただきたくないのである。一般利用者向け情報は、テレビ・ラジオさえあって、電源が入っていれば、特別の経費なしで利用できるメリットもあることから、2種類の情報を上手に使い分けるのが賢明な選択であろう。 もちろん、このままでいいとは思われていない。少しでも正確で素早い速報が出せるよう、さまざまな対策が進められているところだ。 一方、高度利用情報の場合は、素早く通報されるものの誤報がゼロではない。当初に比べて信頼度がどんどん向上しており、現在では誤報発生が1%以内にとどまっている。この確率をさらに少なくしていくことが今後の課題である。 速報を効果的にするための対策 緊急地震速報を効果的なものにするには、なるべく早い時点で誤差の少ない情報が得られるようにする必要がある。 その対策について、説明していこう。 1.地震観測網を密にする 藤縄 幸雄氏 藤縄 幸雄氏 もっとも効果的な対策は、地震計の数を増やすことである。現在、緊急地震速報に使われているのは、気象庁の地震計約200と防災科研の約800、合わせて全国で約1000カ所にあり、約20km間隔に設置されている。これを10km間隔、あるいは5km間隔にすることで、誤報を減らし、精度を上げることができる。それによって揺れが到達するまでの余裕時間も増やすことが可能になる。問題は1カ所3000万円程度かかる地震計設置の予算をどうするかである。 一方、日本で起きる被害地震の7割以上が海底を震源とすることから、海底地震計を増設することも重要な課題である。現在、海底地震計の割合は全体の2〜3%に過ぎない。 海底地震計1台を設置する費用は、陸上の約10倍にあたる3億円程度かかるのがネックとなっている。 高いか安いかであるが、例えば東海・東南海地震が起きた場合、最悪のシナリオでは被害額が80兆円に達するとされていることを考えていただきたい。取り急ぎ必要とされる海底地震計の設置費用は、全国で2000億円ほどである。あとは、被害想定額と投資額のバランスをどう考えるかにかかっている。 2.データ伝送時間を短くする 余裕時間を左右する今一つの要素に、データの伝送時間がある。もっとも高いレベルの専用回線を使うと0.2秒でデータが伝送でき、これが理想的といえる。ただし、すべての回線をこの専用回線にするには費用がかかりすぎる。 現在、800点のデータを収集している防災科研の高感度地震観測網Hi-net(ハイネット)では、1.5秒かかる。しかし、データを送るパケットを、現在の1秒単位から0.1秒単位にすることで、情報伝達時間を現在よりも1秒近く短縮することが可能になる。1秒が生死の分かれ目となる場合もある地震災害の軽減のためには、この程度の費用負担をす価値は十分にあると考える。 3.地中深くに地震計を設置する 震源に少しでも近い大深度に地震計を置くことで、速報の到達時間を短縮することが可能になる。現在、首都圏では、3,000mクラスの深部観測井が4本あるが、これを5キロ間隔に100本設置することで、情報伝達時間を4秒ほど短縮できる。 この短縮効果は「非常に大きい」といっていいだろう。例えば、原子力発電所の原子炉を停止させるために制御棒を入れるには2秒あればいいと聞いている。人間でも、1秒あれば身を守るべく意識を集中できるものだ。予想される首都圏直下型地震では、最も悪い状況で110兆円以上の被害とも言われていることを考えれば、このアイデアは十分考慮に価するのではないか。 高度利用者向け情報対応システムの普及拡大を目指す 4.高度利用者向け情報対応システムの端末に地震計を付ける 高度利用者向け情報を使っているユーザーの端末に、地震計を付けるという方法も考えられている。国が地震計増設のコストを全部負担することなく、地震観測網を密にすることかできる。こうした利用者地震計と気象庁の情報を突き合わせることによって、予測の誤差を減らして、余裕時間を拡大することが可能になる。 これによって、到達時間で1秒、震度で0.2ほどの精度に改善できる。 データを提供してくれる事務所や工場には、謝礼を支払うということにすれば、全国で1万台、10万台の設置も可能になると考える。ぜひ実現したい。 現在、高度利用者向け情報対応システムの普及率は、全国4800万世帯のうち1%以下である。私たちは、上記のような方法で精度を上げていくこととコスト低下によって、普及率を90%以上にしたいと考えている。例えば、揺れの前に自動的に火の元を遮断するシステムがそれだけ普及すれば、2次災害で最も恐ろしい火災の発生を未然に防ぐこともできる。そうすれば、いざ地震というときに自分の命、家族の命を守ることだけに集中できるわけである。 もちろん、高度利用者向け情報対応システムの普及は、企業にとっても大きな意味を持つ。オフィスや工場において、事前に地震の情報を得て対策を打つことができれば、地震後の事業継続もスムースに進めることができる。 なかでも、半導体工場や各種プラントのような場所では、とくに精度・信頼度の高い地震動予測が必要とされる。そうした要望に応じて、工場やプラント内に地震計を3台設置し、気象庁からの情報と照合して効果的な対処をするという「精度向上システム」が、全国ですでに数台稼動している。 工場・プラントにおける緊急地震速報の精度向上システム 【クリックで拡大】 工場やプラント内に地震計を設置して精度を向上した緊急地震速報の利用システム。施設の破損によるリスクを抑えると同時に、周辺住民と情報を共有することで、住民の安全を確保するのにも使える。 高度利用者向け情報対応システムについてのお問い合わせは、ご遠慮なくREICにしていただきたい。 ●連絡先: 特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会(REIC) URL http://www.real-time.jp/(サイト内に連絡フォームあり) 〒160-0004 東京都新宿区四谷2-14-4ミツヤ四谷ビル5F Tel.03-5366-2720 Fax.03-5366-2740
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