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浜名湖から川をさかのぼった津波の浸水域が黄色やオレンジで示された=静岡県のサイトから
津波想定浸水域、過信は禁物 南海トラフ地震
http://www.asahi.com/national/update/0715/TKY201307140280.html
2013年7月15日5時27分 朝日新聞
【北林晃治、合田禄】東日本大震災を上回る被害が想定されている南海トラフ巨大地震。自治体が独自に想定した浸水域は軒並み、国の想定よりも広がった。住民からは驚きや戸惑いの声が上がり、自治体も説明に追われる。専門家は、想定を過信しない大切さを指摘した。
■住民、どちらにも備え
6月に公表した被害想定で、浸水面積が国想定の2・8倍になった愛媛県。県東部の西条市では、国想定で100ヘクタールだった浸水域が約33倍の3360ヘクタールに広がった。
「近くに市役所もあるし、こんな中心部にまで津波が来るなんて」。市内にある私立幼稚園の男性園長は、驚きを隠さなかった。国の想定では津波は来ないのに、県想定では約2メートルの津波が到達する。隣接する中学校と合同で校舎の3〜5階に避難する訓練をした。「協力して安全を確保するしかない」
静岡県では、浸水面積自体は国と県の想定で大きく変わらなかったが、浜松市の浸水場所に違いが出た。県想定では、浜名湖に流れ込んだ津波が川をさかのぼり、川沿いの低地が浸水。一方、国が約1メートル浸水すると想定した北区役所周辺は浸水域から外れた。
北区の自主防災組織の連合会長を務める堤京(つつみたかし)さん(69)は戸惑う。「国と県、どっちが正しいのか。二つの結果を最大限に受け止めるしかない。川から津波がさかのぼる時間があるので、冷静な避難を心がけたい」
6月に発表した独自想定で、浸水域が3倍に拡大した大阪府。全国最大規模の地下街が広がるJR大阪駅周辺まで津波が押しよせる。駅前の「ドージマ地下センター」運営会社の防災担当者は「ゲリラ豪雨や台風などによる浸水は想定していたが、津波は考えていなかった」。大地震の際も豪雨のときと同様に、水をせき止める止水板の利用を考えていくという。
■自治体、対応急ぐ
住民たちの疑問に答えようと、自治体は対応を迫られている。
昨年5月に独自の浸水予測を発表した高知県は、住民からの相談や質問に応じるため、専用ダイヤルを設置した。「自宅はどこまで浸水するのか」「地震の後、どれぐらいで津波がくるのか」。設置後2日間で約100件の問い合わせがあった。
和歌山県は、今年3月末に想定を発表した直後から、国と県の想定の違いなどを説明する出張講座を26回、開催。浸水想定図を示して、津波の到達時間とともに伝えている。県の担当者は「企業や住民の求めに応じた。自らの身を守るために、どこに避難するかを自分で考えてもらいたい」と呼びかける。
国想定の15・2倍の浸水面積を示した岡山県。担当者は「堤防が壊れるかどうかの条件で浸水面積は大きく変わる」。11・8倍になった広島県の担当者も「最悪の事態の可能性を認識するのが狙いだ」と説明する。
ある自治体の担当者は「国土交通省の手引に従って、揺れで一律に堤防が沈下すると想定したため、海岸線が長い自治体では浸水面積が広がった。実際には一律に堤防が沈むことは考えにくい」という。
各都府県はサイトで想定結果を公表している。東京都は、浸水マップは作ったが、浸水面積は算出しなかった。担当者は「浸水面積の数字が、被害の大きさをそのまま表しているとは言えない。どこが浸水するかを知らせることの方が重要だ」と言う。
■「避難経路 確認を」
市町村は今後、各都府県の想定を基に地域防災計画を見直し、ハザードマップなどを作る。住民は情報をどう生かせばよいのか。
群馬大の片田敏孝教授(災害社会工学)は「国と都府県の想定のどちらが正しいとも、間違っているとも言えない。津波がどこまで来るかという想定結果に一喜一憂してはいけない。異なるシナリオが示されたということだ」と指摘する。
東日本大震災では、巨大津波に襲われた岩手県釜石市の小中学生が自ら率先して高台に逃げ、約3千人のほとんどが助かった。「釜石の奇跡」と呼ばれる結果を導いたのは、片田さんが説く「被害想定は過信するな」という防災教育だった。
「津波の予測は、震源や海岸の地形などによって結果が変わる偶発性の高いものだ。実際には、地震が起こるまで、どこが震源になるかは全く分からない」
だが、想定からおおむねの傾向は読み取れる。「岬や湾の奥には高い津波が押し寄せやすい。想定を見て、避難経路や高台の場所を確認しておくことが重要だ」と強調する。
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