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特別レポート 40度も!最悪の猛暑に備えよ 超異常気象がやってきた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36292
2013年07月05日(金) 週刊現代 :現代ビジネス
「暑い暑いと文句を言うな。夏は暑いもんだ」―。そんな古き良き常識はもう通用しない。東京では'60年代までごくまれだった真夏日がいまや年間60日を超える。いまだかつてない猛暑が来る。
■あなたの肌感覚は正しい
「実は、もう日本は1000年に一度の『千年猛暑』の時代に入っているかもしれないのです」
天気予報でもおなじみの気象予報士、森田正光氏はこう警告する。
「'10年、東京では最高気温が30度を超える真夏日が71日もありました。過去に例のない現象だったのですが、調べてみると平安時代にも真夏日が突出して多い時期があったことが分かった。それで私は、これを『千年猛暑』と呼びました。
しかしそれ以降、'11年、'12年も真夏日が60日を超える年が続いている。夏が非常に暑い時代に突入したのかもしれない」
森田氏が懸念するこの現象、肌感覚では、すでに多くの人が感じているのではないだろうか。この頃、どうも気候がおかしい。とくに夏は、異様なほど暑い。
なかでも、この2013年の夏は、とんでもなく暑いらしいのだ。その兆候はすでに日本全国さまざまなところにあらわれている。
総務省消防庁の速報値によると、6月10日から16日の1週間で、熱中症で救急搬送された人は1500人近い。これは前の週の約3倍にあたる数字だ。
6月13日には広島市と岡山市で今年初となる熱帯夜(最低気温が25度以上の夜)が観測された。昨年より30日も早い記録となる。岡山市中区ではこの夜の 最低気温が25・4度と平年に比べ6・4度も高かったが、これは平年の7月下旬から8月上旬という夏の盛りを上回る暑さだった。
さらに日本の最高気温歴代1位('07年8月の40・9度)を誇る"暑い街"埼玉県熊谷市では、毎年街頭に大きな温度計を掲げるが、今年は5月14日、例年より1週間も早く設置された。
では実際、この夏、何が起こるというのか。森田氏はこう解説する。
「たとえば今年の関東甲信越地方では、平年より平均気温にして0・5度以上、気温が高くなる確率が大きいとされています。
0・5度なんてたいしたことないと感じるかもしれませんが、実はこれ、ものすごく暑い夏になるということを表しているのです」
なぜ、そうなるのか。理由はこうだ。最高気温が平均して0・5度高くなる、と言っても、毎日の気温が同じように0・5度ずつ高くなるわけではない。
たとえば、平年の最高気温が32度だとすると、毎日の最高気温がぴったり同じ32・5度になるのではなく、35度だったり30度だったりとばらつきがでる。その平均値をとると32・5度になるわけだ。
「そ のばらついたなかには、暑さが突出した、相当に暑い日も出てくるのです。1ヵ月=30日間の平均をとって0・5度以上プラスだということは、たとえば平年 より3度以上高い日が5日あるということかもしれない。これはもう、10年か20年に一度の猛暑と言えるでしょう」(前出・気象予報士の森田氏)
東京の8月の最高気温の平年値は31・1度。かつて史上最高の40・9度をたたき出した熊谷市の同月平年値は31・9度で、その差はわずか0・8度だ。
もし東京の平均気温が0・5度以上あがれば、東京でも熊谷と同じように、40度を超える灼熱の日が観測される可能性は十分にあると言える。
今夏が"超異常気象"とも思える殺人的な暑さになることについて、実は今年1月、ある予言めいた発表がなされていた。世界的に高名な気象学者でNASAゴダード宇宙研究所の所長だったジェームズ・ハンセン博士が、記者会見でこう語ったのだ。
「この1年('13年)で、世界の最高気温記録が塗り替えられるかもしれない」
この予言通り、今年は世界各地で最高気温記録が塗り替えられている。たとえば豪州のシドニーでは観測史上最高の最高気温45・8度を記録。南豪州奥地の村では、ガソリンスタンドで給油しようとしても、車に入る前にガソリンが蒸発してしまったという。
まさに世界中で異常な猛暑が広がっているのだ。
■"地獄夜"がやってくる
世界の気候変動に関する議論を取材しているサイエンスライターの緑慎也氏はこう語る。
「最近、太陽活動が地球の気候に影響を与えるという説が唱えられ、海外では真剣に議論されています。
今年起きているような世界的な猛暑など、極端な気象現象は、太陽活動が大きく変化する時期に発生する可能性がある。そして、今年は太陽活動の極大期にあたるのです」
こうしたさまざまな要因が重なって、'13年には異常な猛暑がやってくるのだ。地球規模の大気の動きが今夏の日本の暑さを生む仕組みを前出の気象予報士・森田氏はこう解説する。
「日本の夏の暑さを決める重要な要素のひとつが、フィリピン近海の海水温なんです。フィリピン近海が熱くなると、上昇気流が起こって、昇った空気が日本列島付近に降りてくる。これが太平洋高気圧を強めます。太平洋高気圧が強いと日本が暑くなりやすいのです。
今年はフィリピン海付近の海水温が平年より高くなるラニーニャ現象が起こりつつあり、これも猛暑の原因のひとつと考えられているのです」
では、このような強烈な猛暑がやってくると、果たして何が起こるのか。
すぐに想像されるのは、熱中症の増加だ。ここ数年も全国で4万~5万人が7~9月に熱中症によって救急搬送されている。
単に「暑くて倒れること」だと思って軽く受け止めがちな熱中症だが、実際には全国で1731人もの死者がでた('10年)ほど深刻なものだ。生活習慣による病などに詳しい池谷医院院長の池谷敏郎医師は、その恐ろしさをこう語る。
「暑さにより多量の汗をかくと、水分とともに塩分(ナトリウム)が失われ、倦怠感等の症状がでます。また水分補給の際に塩分が不足すると低ナトリウム症となり、筋肉が痙攣を始めます。
重症になると体温の調節機能が失われ、頭痛やめまいに続いて意識障害をきたします。血液が固まりやすくなって、心筋梗塞や脳梗塞になる場合もあります」
脳梗塞といえば冬場の寒い時期に起きやすい病気だというイメージがあるが、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)が'12年に発表した調査によると、冬場(12~2月)よりも夏場(6~8月)のほうが患者数が多かったという。
熱中症が人々の命を奪う危険性はますます高まっていると前出の気象予報士、森田氏は話す。
「我々、 気象予報士の間では、最近『地獄夜』という言葉を使ってはどうかと議論されているくらいなのです。夜間でも最低気温が25度以上ある場合『熱帯夜』と呼ば れますが、最低気温が28度以上の日が出てくるようになってきた。それが地獄夜です。28度というのは、熱中症が起こる境目の気温と言われていますから、 夜中まで熱中症の危険がある。大変なことなんです」
■9月までは覚悟が必要
こうした異常な暑さが蝕むのは、人々の命や健康ばかりではない。
我々の日々の暮らしを支える道路や飛行機の滑走路。その表面を覆うアスファルトは、直射日光を受けて熱を集め、60度近い高温になることがある。幼児や散 歩中の犬などが熱中症になりやすいのはこのためだが、このときアスファルトそのものも軟化してしまうことは意外と知られていない。
たとえ ば、'10年7月19日には成田空港のA滑走路で米国デルタ航空のB767(乗客乗員216人)が、路面にできたわだちにはまって身動きが取れなくなり、 約40分間滑走路が閉鎖される事態となった。計11便に影響は及び、最大57分の遅れが生じたが、その原因が「暑さ」だった。
この日ま で、成田空港では連日30度を超える気温が続いた上に、当日は午後2時に32・8度を記録。滑走路表面のアスファルトが軟化したと考えられる。B767は 機体の重量が約80tで、乗客や燃料、貨物の重量を合わせると百数十tになるが、軟らかくなった滑走路をこうした飛行機が何度も通過したためわだちが深く なり、ついには飛行機がはまり込むほどになってしまったのだ。
同様の現象が、大型トラックなど大型車両が頻繁に行きかう幹線道路でも発生することも考えられる。
さらに鉄道のレールが猛暑によって歪み、一部運休になる事態などはこれまでの猛暑の年にもたびたび起きており、この夏は暑さによって日本各地で交通・流通が麻痺する危険性があると言えるだろう。
加えて心配なのは水不足だ。この6月上旬まで、日本各地では記録的な少雨が続いていた。雨が降らなかったのである。
たとえば埼玉県秩父市の合角ダムでは、貯水率が一時2%台まで低下。「こんなことはダムが稼働して以来、初めてです」(合角ダム事務所ダム管理課)。
群馬県前橋市では、明治30年の観測開始以来、初めて6月上旬の降水量がゼロを記録した。
「前橋あたりでは二毛作が盛んで、麦を刈り取ったあと田植えをするんですが、水が大量に必要なこの時期に雨が降らず、『田んぼがひび割れている』『水が干上がった』というような相談がいくつも寄せられました」(群馬県庁農政部技術支援課普及指導室)
さらに、岩手県一関市でも例年5月と6月の降水量はそれぞれ105・9mm、130・9mmだが、今年5月の降水量はわずか47・5mm。6月も18日までに29mmしか降っておらず、やはり田んぼが干からびてひび割れたという。19日以降、全国的に雨が降ったとはいえ、こうした傾向が続けば夏の盛りに水が足りなくなる事態も考えられる。
冒頭で気象予報士の森田氏が千年猛暑と指摘した'10年以降は、夏の気温が高いだけでなく、9月に入っても残暑が厳しいのも特徴だ。かつてないほど暑くて長いにもかかわらず、水もない最悪の猛暑。そんな夏がやってくる可能性は、残念ながら極めて高い。
夏本番は目前だ。そのときになって焦らないためにも、生き残る備えをするのは、いましかない。
「週刊現代」2013年7月6日号より
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