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巨大地震、「浸水」と「火災」に挟まれる 大阪…避難・帰宅者は火災地域へ追いやられる
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/130622/wlf13062218000014-n1.htm
2013.6.22 18:00 産経新聞
東日本大震災後、約2年にわたり内閣府の中央防災会議で議論されてきた南海トラフ巨大地震対策は、先月28日の最終報告書をもって示された。報告では、東日本との相違点として「震度7、6強の激震が1分以上続く」と指摘。多様な被害が想定されるとして、市街地が海抜ゼロメートルで軟弱地盤である大阪、名古屋に対し、耐震、避難対策への「戦略的取り組み」を求めた。巨大地震の発生をシミュレーションをしてみると、さまざまな課題が浮かび上がってくる。(記事・北村理、デザイン・佐倉潔)
■家屋被害は26万棟
〈20XX年6月18日午後2時46分、マグニチュード9クラスの地震が南海トラフで発生。大阪府内では震度6弱〜6強の揺れが発生した〉
地震発生からまもなく、大阪市西成、生野、東住吉、東成、旭、阿倍野、城東、住吉の各区では大規模な火災が発生する。
これら各区は、西成をのぞき、市内中央を南北に貫く「御堂筋」の東側に集中。耐震性の乏しい「危険木造建築物」が多数立地していることから、国土交通省が耐震化促進を呼び掛けているエリアだ。
内閣府は、府内の家屋被害を、揺れで5万9千棟、火災では約4倍の26万棟と推計している。
■6時間は津波が繰り返し来襲、火災発生地域も
〈地震発生から約1時間半後、府内沿岸部に津波が到達し始める。以降、「津波は約6時間にわたり繰り返し来襲する」(内閣府)〉
内閣府や大阪府の想定によると、地震の被害により防潮堤が機能しなかった場合、大阪市内で津波により浸水するのは、住之江、西成、大正、港、浪速、西、此花、福島、北、西淀川、淀川の各区。これらは御堂筋の西側に分布する。
地震発生後は、東日本大震災の教訓から、沿岸部の住民は安全確認後、すぐに高台へ向け避難し始める。例えば、西成区では標高を記した防災マップを住民に配布し、「市内で最も高い大阪城方面を目指すように」と呼び掛けている。
つまり、沿岸各区の住民は市内の東側に向けて避難することになる。しかし、市内の東側は各地で火災が発生している可能性が高いのだ。
■大阪駅周辺では地下街が浸水の可能性も
〈時を同じくし、御堂筋周辺のオフィス・ショッピング街から多くの人が市外へ向けて帰宅し始める〉
一斉に帰宅者が動き出した場合、どうなるのか。東日本大震災が発生した平成23年3月11日午後2時46分以降に東京都内で起こった状況を例にみる。
東京では震度5強の揺れを記録。大規模な火災や浸水はなかったものの、同日中に帰宅できなかった人は都内で352万人にのぼった。帰宅者は午後3時ごろから帰宅を開始し、7時ごろまでがピークとなった。帰宅に要した時間は平均8時間程度だった。
前述の大阪市内の場合に当てはめるとどうだろうか。東側で火災が発生している中で、西側の浸水想定エリアからの避難者が市東側に向けて移動することになってしまう。
さらに多くの帰宅者が向かうJR大阪駅周辺は震度6強が想定される上、浸水エリアでもある。周辺には地下街もあり、報告書公表時の会見の冒頭で、河田恵昭関西大教授は「地下空間の火災・水没対策は喫緊の課題」と強調した。
大都市では、大量の人の移動により二次被害が発生する可能性が高く、内閣府は「時差帰宅」を求めている。そのためには、報告書が指摘するように、耐震化による火災防止、浸水防止、安全な避難計画を官民あげて事前に検討しておくことが必要になる。
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■「避難は住民の判断が重要」矢守克也・京都大防災研究所教授
5月に公表された「南海トラフ巨大地震対策に関する最終報告」で、主な課題群のトップに掲げられたのは「津波からの人命の確保」。そのためには「住民一人ひとりが主体的に迅速に適切に避難」する必要ありとされた。
しかし、「避難」という言葉が300回近くも報告書に登場するのに「主体的」はわずか5回。これはどうしたことだろうか。
おそらく、「主体的に避難してください」と要請している時点で、それが一種の矛盾になってしまうからであろう。行政からの指導で結成された自主防災組織は、ほんとうに「自主」防災組織なのか。これと同じ矛盾である。
では、「主体的に避難する」ことの真の意味はどういうことか。それは、避難に関する判断が「避難する本人に帰せられる形で行われる避難」のことだろう。つまり、さまざまな状況下でどのように避難するのかを、当事者自らが判断して行うことこそが「主体的な避難」である。
そうだとしたら、行政や専門家に役割はないのか。もちろん、そんなことはない。判断のための情報をあらん限り提供する、しかし、最終的な判断の代行はしない。
例えば、筆者らは、高知県のある集落で行った調査とシミュレーションの結果から、同集落では地震発生から約20分経過後に遠方の高台に避難すると途中で津波に巻き込まれる可能性が高いことが分かった。従って、その場合は集落内の避難タワーを利用する方が望ましいことを見いだした。
これは、筆者らが見つけた重要な情報だといえる。しかし、あくまで一つの情報だ。最終的に判断するのは地域住民の方である。このような相互協力関係の中でこそ主体的な避難の土壌が育まれると信じる。
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■【防災耳寄り情報】「どれぐらいの備蓄が必要なの」
東急ハンズの防災用品コーナーでは1人あたりの備蓄目標について、1日水3リットル、食料3食の確保を基準とする。食料については1週間21食分のメニューをすべて違うものにできるほどのフリーズドライなどの食品を紹介している。
また、薬局やコンビニなどで購入できるバランス栄養食は、いざというときの備蓄品として、大きさもコンパクトで保存しやすい。水については、5〜10年間という長期保存できるものも販売されている。
自治会など地域単位で飲用水の保存を検討する場合、太陽光発電を利用した浄化装置もあり、川の水(生物が生息している程度)などを利用できる。蓄電装置も備えており、非常用電源としても有用だ。
これら備蓄品はインターネット販売なども入手可能。内閣府は「一日も早く避難生活を切り上げ復旧・復興に向かえるよう備えてほしい」と呼びかけている。
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