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「南海トラフ」新予測、東海地震説を否定 連動視野に全域警戒を
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130617/dst13061712260001-n1.htm
2013.6.17 12:25 産経新聞
南海トラフ(浅い海溝)で起きる大地震について、政府の地震調査委員会が新たな長期予測を公表した。東海・東南海・南海地震の発生確率を個別に算出する従来の手法を12年ぶりに変更。東海の切迫性が特に高いとする「東海地震説」を事実上否定し、連動型の巨大地震を視野にトラフ全域での防災対策を促している。(長内洋介、黒田悠希)
■個別評価を撤廃
南海トラフは西日本を乗せた陸側プレート(岩板)の下にフィリピン海プレートが沈み込む場所だ。両プレートの境界部ではひずみが蓄積し、100〜200年程度の間隔で大地震が起きる。東端の駿河湾から四国沖にかけて、マグニチュード(M)8級の東海・東南海・南海地震の震源域が順に並んでいる。
地震調査委は平成13年に公表した従来予測で、これらの3地震について「ほぼ同じ場所、同じ規模で周期的に発生する」と評価。江戸時代以降の発生間隔などを基に、30年以内の発生確率を今年1月時点で東海88%、東南海70〜80%、南海60%程度と算出していた。
新予測では、こうした震源域ごとの個別評価を撤廃。近年の研究で、3地震は別々ではなく連動して巨大化する場合もあり、発生パターンは複雑で多様なことが分かってきたからだ。見直しの背景には、複数の震源域が連動して想定外の巨大地震が起きた東日本大震災の反省もある。
■震源域の予測困難
過去の地震活動をみると、終戦前後の昭和19〜21年は、東南海の2年後に南海が発生したが、東海は起きなかった。安政元(1854)年は東海と東南海が連動し、30時間後に南海が発生。宝永4(1707)年には3つが連動する史上最大の宝永地震(M8.6)が起きた。
宝永と同規模の地震は300〜600年間隔で起きており、約2千年前には宝永を上回る巨大津波が起きたことを示す堆積物が見つかっている。また、慶長地震(1605年)のように、揺れの割に津波が大きい「津波地震」が起きることもあり、地震のタイプや周期は不規則だ。
このため調査委は「次の地震の震源域を推定することは困難」として、トラフ全体を一つの領域と考える大局的な手法に変更。中央防災会議が想定した巨大地震(M9.1)の震源モデルを採用し、この範囲のどこかでM8〜9級が発生する確率を求めた。
時間差で発生した昭和や安政の地震は広義の連動型とみなし、正平16(1361)年以降の6回の地震を分析した結果、平均発生間隔は117年。昭和の地震は比較的小規模にとどまったため、次の地震までの間隔は平均より短い88.2年と推定し、今後30年以内の発生確率を60〜70%と算出した。
首都直下地震と同程度の高い確率で、調査委は「大地震の切迫性が高まっている」と指摘。東海、東南海、南海の順番で起きる可能性が高いとした従来の解釈は撤回し、全域で同じ備えを求めた。
■「割れ残り」考慮せず
昭和51年に提唱された東海地震説によると、駿河湾から静岡県付近は安政の地震でプレート境界が割れたが、昭和の地震では割れ残ったため、100年以上の長期にわたってひずみが蓄積し、地震発生が切迫しているとされる。
しかし、新予測は特定の震源域で同じ地震が周期的に起きるとの考え方に立っておらず、「割れ残り」の影響も考慮していない。東海地震が起きる可能性は否定していないものの、過去に単独で起きた記録がないことから、東南海などと連動するケースだけを例示しており、実質的には東海地震説の否定といえる。
切迫性についても、従来は「発生が懸念されている」としたが、今回はこうした記述はない。調査委の本蔵義守委員長は「東海地震が単独で起きる確率だけが高いという理解は、もう捨てなければならない」と話す。新予測は東海地震を特別扱いしてきた国の防災対策や予知体制にも影響を与えそうだ。
ただ、東海地方にひずみが蓄積していることは事実で、警戒が必要なことに変わりはない。見かけ上の確率が大幅に低下したことに自治体からは戸惑いの声も聞かれる。
「いつ起きてもおかしくない」とされながら、いまだに起きていない東海地震。現状のリスクをどう理解すればよいのか。国は最新の科学的知見を踏まえ、国民に分かりやすく説明する努力が必要だ。
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