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南海トラフ巨大地震対策の最終報告(要旨)
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/tohokujisin/trough/list/130529-2.html
2013年5月29日 東京新聞
南海トラフ巨大地震による都道府県別の被害想定(画像をクリックすると大きな画像がご覧いただけます。)
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/tohokujisin/trough/list/130529-2.html
【巨大地震】超広域で強い揺れと巨大な津波が起こる。東日本大震災を超える甚大な人的・物的被害が発生し、国難ともいえる巨大災害になる。復興が長期化すれば国としての存立に関わる。
▽対策の基本的方向
【津波】目標は「命を守る」。住民一人一人が主体的に迅速に避難することが最も重要。即座に安全な場所に避難できるよう地域ごとにあらゆる手段を講じる。
【減災・復旧】被害を減らすため、建物の耐震化や揺れに伴う火災への事前防災が極めて重要。ライフラインやインフラの早期復旧がすべての応急対策の前提。
【超広域の被害への対応】従来の応急対策や支援システムが機能しない。日本全体として連携の枠組みが必要。避難所不足が想定され、収容する避難者の「トリアージ」や、住宅被害が軽微な被災者は自宅にとどまるよう誘導することを検討する。水や食料など一週間分以上を家庭で備蓄、地域で自活する備えが重要。交通が復旧すれば被災地外への疎開も検討する。
【経済影響】企業は災害時の事業継続計画をつくり、流通拠点の複数化や重要データの分散管理など対策を取ることが重要。企業間や業種を超えた連携も検討。海外への的確な情報発信の備えを構築。
【連続発生】地震が時間差をおいて連続するシナリオを検討し、臨機応変に対応できるよう応急活動や避難生活者の保護に備える。
【インフラ】千年に一度またはそれ以下の頻度で起きる巨大地震・津波をすべての対策の前提とするのは現実的ではない。津波対策はマグニチュード(M)8級を対象として防波堤などを整備するが、それを超す場合に備えた構造強化も重要。「命を守る」ことを目標として住民避難を軸に、情報伝達、避難施設、避難路、土地利用などハード、ソフト対策を総動員する。揺れ対策は、施設ごとに耐震化に着実に取り組む。長周期地震動や液状化への新たな対応も検討。
▽枠組み
【体系作り】対策推進の法的枠組みを確立。巨大地震対策のマスタープラン策定とともに、事前防災戦略として目標や達成時期を示したプログラムを明示。応急対策の具体的な活動計画を策定。避難施設、避難路を整備するため必要な財政上、税制上の措置を検討。
【組織整備】国や自治体、民間が広域連携する南海トラフ巨大地震対策協議会を活用、法制化を検討する。
【戦略的取り組み】府省を超えた産学官民の連携が必要。防災学習や、国や自治体の防災担当職員の人材育成。
【科学的知見】地震津波の分野だけでなく、まちづくりや過去の地震被害の伝承などさまざまな学問分野と連携。防災技術の開発普及。
▽主な実施すべき対策
【重要施設】地震発生時に重要な役割を担う役場や学校、病院などの施設の津波対策を推進し、配置を見直す。特に緊要度が高い施設は移転の計画的な実施を図る。
【高台移転】避難が困難な地域では住民に合意がある場合、高台などへの集団移転も有効。
【港湾】東京湾、伊勢湾、大阪湾の港ではM8級を超える津波を想定した対策を検討。
【津波避難】沿岸市町村は都府県の津波浸水想定や市町村地域防災計画を踏まえ津波ハザードマップの作製、見直し、周知を進める。公共用地や国有財産も有効利用し避難場所、避難施設を整備。津波避難ビルを増やすため建ぺい率緩和や民間活力導入に取り組む。
【災害時要援護者】自力で避難が困難な高齢者や障害者の名簿を作成、地域で助け合い、適切な支援を行う。
【生活物資】自治体は事業者と連携、輸送拠点から避難所に物資を送る手段を検討する。買い占めが起こらないよう適切な情報提供も重要。
【医療】被災地の医療機能を確保するため、移動式救護施設を用いた野外病院開設を検討。
【ボランティア】地域のボランティア活動が住民や医療機関と日常的につながりを持つことが重要。国や自治体は、国民的な運動となるよう支援する。
【帰宅困難者】駅や路上に膨大な人々が滞留する事態は危険。「むやみに帰宅しない」原則を周知、家族との安否確認手段を準備。
◆水、レトルト、カセットこんろ… 新規購入1人25000円
被災地への支援に時間がかかるとして、南海トラフ巨大地震対策の最終報告は家庭に一週間以上の備蓄を求めた。これまで国が目安としていた三日分の二倍以上。どれほどの量か集めてみた。
まずペットボトルの水。大人は一日に二〜三リットル必要とされ、多めにみると一週間分で二十一リットル備蓄しなければならない。二リットル入りボトル十本、一リットル入り一本で、保管にはややかさばる。
そして食料。生活雑貨を扱う東急ハンズ新宿店(東京)の防災用品コーナーには、水や湯を入れるだけで食べられるチャーハン、山菜おこわなど多様な非常食が並んでいた。発熱剤で温めて食べられる牛丼、ビビンバもあった。パンの缶詰も入れて一週間分は大きな買い物袋いっぱいになる。
最終報告は、カセットこんろや、簡易トイレ、電池、携帯電話充電器の備えも求めている。水、食料を含めて全部を新しく買うと一人当たり約二万五千円になる計算だ。
レトルト食品や缶詰などを多めに購入、食べたら補充して一定の備蓄を確保する「ローリングストック」という方法もある。八日分(二十四食)の保存食を半月に一食ずつ順番に食べれば、一年後にはすべての備蓄が入れ替わる。賞味期限切れを防ぐためにも有効だ。
楽しみながら学べる防災プログラムの普及活動をしているNPO法人「プラス・アーツ」の村上彩さんは「非常時だからこそ食べ慣れたものを利用した方が、不安や緊張を和らげられる」と指摘している。
◇
難解すぎた「前兆滑り」 東海地震予知 困難
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013052902000139.html
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11540500024.html
2013年5月29日 東京新聞 【核心】 :大友涼介です。
東海地震など、南海トラフで起こる地震の予知の難しさがあらためて指摘された。地震研究が進み、予知の決め手として期待された「前兆滑り」が予想以上に複雑な現象だと分かったからだ。内閣府では新たな防災のあり方を検討するという。不確かな予知情報をどう扱うのか、分かりやすい議論が必要だ。 (永井理)
◇対策開始
「駿河湾で明日にも大地震発生の可能性がある」。一九七〇年代半ばに東海地震説が出ると、国や静岡県は強い衝撃を受け、対応を検討した。一九七八年には大規模地震対策特別措置法(大震法)が施行。東海地震の予知態勢がスタートした。
当時は、巨大地震発生の仕組みを説明するプレート理論が進んだ時期。一九七五年に発生した中国の海域地震の時は、予知がうまくいき多くの住民が避難に成功した。
ひずみ計や地震計を置けば、地殻変動や微小地震などの予兆が検知できるはずという、いわば期待だけが先行した時期だ。
その予兆をとらえる手段として注目されたのが「前兆滑り」だった。一九四四年に起きた昭和東南海地震の発生二〜三日前、静岡県掛川市を測量していた陸軍が標高の異常な変化を発見。前兆滑りの証拠をつかんだ、とされた。
しかし、その後の北海道南西沖地震(一九九三年)や十勝沖地震(二〇〇三年)では前兆滑りは観測されず、掛川市での異常データは測定誤差の可能性も指摘された。千年に一度というマグニチュード(M)9の東日本大震災でも確認されなかった。
◇認識ズレ
国は一九六五年に地震予知計画を開始。予算は二〇〇四〜〇八年度までで計三千億円以上を計上した。ところが、衛星利用測位システム(GPS)やスーパーコンピューターの登場で地震研究が進むほど前兆滑りが複雑な現象だとわかってきた。シュミレーションだと震源の状態によって滑ったり滑らなかったり。あるいは、何度も滑ったりするからだ。ある地球物理の若手研究者は「予知を言わないとお金が出ない。でも予算をもらうと実現させる責任を負う」と期待の大きさに悩む。
だが世間の受け止め方は違う。東海地震に関する一昨年の静岡県民調査では「予知できない・難しい」が七割を占めたが、なお三割の人は50%以上は予知できると期待する。地震に関心を持つ人ほど期待度が高かった。研究者、行政、住民の間で認識のズレがあるのが実情だ。
◇特別扱い
国の地震調査委員会は先週、東海地震の特別扱いをやめると発表した。東海の長期予測だけが「三十年以内の発生確率が88%」と特別に高かったが、東南海や南海地震と同等に扱い、三つまとめて60〜70%とした。同時発生の可能性が高まったためだ。
同時発生が前提とすれば東海地域で前兆滑りが検知されたとき西日本はどう対応すべきか。観測網の特別扱いはどうするのか。内閣府では「もちろんその点も議論する」と話す。
前兆滑りに詳しい鷺谷威・名古屋大教授は「予知が難しい状況をどう考えるか。このままでは地震が起きたとき禍根を残さないか。一般の人も含め共通認識を作る場が必要」と指摘する。
できないものはできない、できるものはできる。きちんと議論すべき時期がきている。
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