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大みそかの風物詩、「紅白」に批判が渦巻いているのはどうしてなのか
批判だらけの「NHK紅白歌合戦」はどこへ行く 司会・出演者の人選に見える伝統保守の苦悩
http://toyokeizai.net/articles/-/97161
2015年12月19日 桧山 珠美 :フリーライター 東洋経済
NHK総合の朝ドラに続く枠で放送される人気番組「あさイチ」。毎週金曜はゲストを招いてのプレミアムトークでおなじみだが、先週12月11日(金)の放送にゲストの姿はなく、代わりに「紅白歌合戦で大みそかを楽しく!」という、ちょっと早めの「紅白」特集が組まれていた。
今年の紅白歌合戦には総合司会・有働由美子アナ、白組司会・井ノ原快彦と、この番組のMC2人が絡んでいるので、いずれ「紅白」の宣伝をするとは思っていたが「こんなに早いとは」というのが率直な感想だ。
■紅白あるある?嫁姑「紅白トラブル」
例年、本番の数日前に「紅白直前スペシャル」として、紅白司会者や紅白担当プロデューサーを招き、今年の見どころなどを聞き出して、盛り上げに一役買っている「あさイチ」。今回のちょっと早めの「紅白」特集では、「紅白トラブル」と題し、夫の実家に帰省し、姑と一緒に『紅白』を楽しむためにという下りで、今回、初出場する演歌歌手・山内恵介が紹介された。
「姑世代に大人気の山内恵介を押さえておけば、姑と盛り上がること間違いなし」などというテーマで、山内恵介のコンサート会場に潜入し、その人気ぶりを見せたり、彼の歌の合間に「けいちゃん!」と合いの手を入れる練習をさせたり。山内への肩入れぶりに、氷川きよしあたりが歯噛みしているのではないか、と思うほどだった。
さらに、「知らない歌手が出ていてなんだかなぁ……」というアナタに、と「10分でわかる紅白歌手」と題し、51組の出場者を映像やプチ情報とともに紹介。「あさイチ」視聴者になんとしてでも「紅白」を見てもらおうという意思が伝わってきた。
目玉がないといわれる今年の「紅白」。なおかつ、その人選についてはいつも以上にとやかくいわれている。不穏な空気をいち早く察した「紅白」チームが、通常の「紅白直前スペシャル」に先駆け、「ちょっと早い紅白特集」を組んだのには、そんな事情もあったかもしれないと推察する。
ここで、今年の「紅白」についておさらいをしておこう。
■司会者の発表が遅れたワケ
例年であれば、10月中旬には司会者が決定しているはずが、今年は11月26日に異例の司会者&出場者同時発表となった。「タモリに総合司会を依頼したが、断られた」などという話が一部のスポーツ紙でまことしやかに報道されていた。
確かに、タモリは1983年にも総合司会を務めたこともあるし、現在、「ブラタモリ」が好調ということもあり、NHKがタモリを目玉のない今年の「紅白」の目玉にしようと目論んだとしても不自然な話ではない。
おまけに、来年の大河ドラマ「真田丸」の主演はタモリと同じ事務所の堺雅人だ。ところが一部報道のとおりだとすると、残念ながらNHKの願いも虚しく、タモリにフラれ、その結果、司会者決定が大幅に遅れた、ということだが、真相のほどはわからない。
最初からタモリと2人で総合司会を依頼する予定だったのか、タモリに代わる目玉として急遽お願いしたのか、真相はわからないが、結果的に今年の総合司会は黒柳徹子が務めることになった。
「戦後70年、放送90年目にあたる節目の紅白」で、「紅白や日本のテレビを象徴する人といえば黒柳さん。まさに、テレビ界のレジェンド」。番組プロデューサーは黒柳徹子を起用した理由をこう説明した。
それについて異論はないが、最近では自身の番組「徹子の部屋」でもゲストを座ったままでお迎えするようになった黒柳徹子。女性誌にも「紅白は大丈夫!? 衝撃の車椅子生活 極秘通院」という記事が掲載されるほど、周囲は心配している。長丁場の「紅白」だけに黒柳徹子の体力が持つかどうか。実際、スケジュールの都合とはいいつつも、黒柳徹子は会見の席にも現れなかった。
白組、紅組の司会人選にもさまざまなドラマが見え隠れする。白組の司会者は井ノ原快彦。「あさイチ」の司会者でもあり、NHKへの貢献度は高いものの、2006年の中居正広に始まり、2010年からは嵐、そして、今回の井ノ原と白組の司会は10年連続でジャニーズ事務所のタレントが務める。ほかに適任者はいないのか、おまけに今年は7組ものジャニーズグループが出演する。
■噛み噛みだった綾瀬はるかが今年も司会を勤める理由
2年前に続いて今年の紅組司会者を務めるのは綾瀬はるか。2年前はかなり噛み噛みの司会だったが、好感度も高く失敗しても許される空気があり、逆にそのあわてっぷりが可愛いと評価も高かった。2016年から3年間にわたって放送する大型ドラマ「精霊の守り人」の主演も決まっており、妥当な人選だろう。
ただ、近年の紅組司会者といえば、その年のNHKの朝ドラや大河のヒロインが起用されるケースが多かった。昨年は朝ドラ「花子とアン」のヒロイン・吉高由里子、一昨年前は大河「八重の桜」の綾瀬、その前も、「梅ちゃん先生」の堀北真希、「おひさま」の井上真央、「ゲゲゲの女房」の松下奈緒といった具合だ。
一方、今年は、大河は「平清盛」と並ぶ平均視聴率ワースト1を記録した「花燃ゆ」、朝ドラ「まれ」がともに視聴者からの評判が芳しくなかったことで、「花燃ゆ」ヒロインの井上真央、「まれ」主演の土屋太鳳を起用するわけにもいかなかったのかもしれない。目下、絶好調の「あさが来た」を上期にやっていたら波留が起用された可能性もある。
そして出演者の人選だ。毎年、出演者が決定すると、「どうしてあの歌手が落ちたの?」「どうしてあの歌手が出るんだ?」などと外野が騒ぐのも恒例となっているが、それにしても今年は特に外野の声が大きい。
ネットでは和田アキ子や細川たかしといったベテラン勢が「ヒット曲もないのに、なぜ出られるんだ?」という不満のコメントが噴出。確かに和田アキ子は毎年、「あの鐘を鳴ら」している気がするし、細川たかしも、「北酒場」と、あまり有名じゃないタイトルの宴会ソングを交互で歌っているイメージがある。
「ほかにもっとふさわしい人がいるのでは」と言いたくなる気持ちもわかる。森進一が今年で勇退すると宣言したのは、そうした事情を察したからかもしれない。今後ますますベテラン枠は厳しくなる。厚顔無恥で行くか勇退するか、道は2つにひとつだ。
そういう声が多いと感じるのは、SNSなどで発言するのが圧倒的に若い世代だからで、中高年世代も同じことだ。発言手段を持たないだけで、同じように不満を持っているのは間違いない。
一方で、事情はどうあれ、いったんお引き取りいただいたはずの小林幸子が、「ラスボス」とかなんとか言われ、ネット民に大人気という噂を聞きつけて、再登場をお願いするポリシーの無さはどうかという側面はある。なんだかんだいって、小林幸子のド派手衣装を超える目玉を作れなかったことはNHKにとって反省すべき点だっただろう。果たして、「ネット民に人気」を鵜呑みにし、再び「ラスボス」を降臨させる結果がどうなるのか見ものである。
サブちゃんのいなくなった「紅白」なんて、とサブちゃんと一緒に昨年から「紅白」を卒業した中高年も多いと聞く。そういう中高年には、「安心して下さい!」とテレビ東京が「年忘れにっぽんの歌」という受け皿が用意されている。「紅白」落選組はもちろん、あの世の方たちもVTRで登場し、まさに夢の競宴。年々こちらのほうが豪華になっているほどだ。
ちょっと脱線するが、「年忘れにっぽんの歌」は毎年、五反田・ゆうぽうとホールから生放送していたのに、今年はゆうぽうとが閉館の憂き目に遭い、「オリンパスホール八王子」で事前に収録したものを放送するそうだ。八王子といえば、一昨年前「紅白」を卒業したサブちゃんこと北島三郎のお膝元でもあるので、もはや「紅白」では見られない、貴重なサブちゃんの「祭」で盛り上がるに違いない。収録だけど。
演歌勢を毛嫌いする若者向けには、民放各局が長尺の歌番組を放送しているので、そちらのほうがよっぽど豪華に見える。今の時代、趣味趣向も多様化され、歌の好みも世代間で大きく異なる。老若男女に愛され、すべての人が口ずさめる歌などもはや存在しないに等しい。
■「ザッツ、日本! ザッツ、紅白!」
今年のテーマは「ザッツ、日本! ザッツ、紅白!」。“今年は、紅白がもっとも紅白らしく輝く、いわば紅白の決定版! 出場歌手も、じぶんたちらしさでいっぱいの「ザッツ(=これぞ)」なステージを届けます”とのことだが、このメッセージもカラ元気にしか見えない。
お茶の間も家族だんらんもとっくになくなっているのに、その幻に向けて番組を作っている。そんなことはわかっていながらも、伝統の「紅白」をなんとしてでも守ろうとするNHKだが、そういう時代にあらがって、国民的歌番組をやろうというのは難しい話だ。
とここまで書いてきたが、なんだかんだいっても紅白歌合戦にはテレビのよさがある。名前こそ「紅白歌合戦」だが、もうずいぶん前から、中身は「老若歌合戦」と呼ぶ方がしっくりくる。オネエキャラが幅を効かせるテレビにあって、もはや男vs.女でもなく、むしろ、老vs.若の戦い。若者の歌と中高年の歌を一緒くたに見られる機会など「紅白」ぐらいしかない。
ネット動画は好きなシーンだけを選んで見ることができる、テレビはそうはいかない。その不自由さが「ザッツテレビ」。年に一度ぐらいその不自由さを味わってみるのも一興である。
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